本院は、北海道開発局帯広開発建設部(以下「開発建設部」という。)における不正行為について、会計検査院法第27条の規定に基づく国土交通大臣からの報告及び予算執行職員等の責任に関する法律(昭和25年法律第172号)第4条第4項の規定に基づく同大臣からの通知を受けるとともに、国土交通本省、北海道開発局及び開発建設部において、合規性等の観点から不正行為の内容がどのようなものであるかなどに着眼して会計実地検査を行った。
本件は、開発建設部において、経理課上席経理専門官(平成21年3月31日以前は管財専門官)米村某が、契約担当官の補助者として国有財産の処分に係る事務に従事中、20年12月頃から22年4月頃までの間に、北海道帯広市に所在する未利用の国有地を隣接する土地の所有者2名(以下「隣接者」という。)に売り払うとして、虚偽の国有財産売買契約書を作成するなどして、その土地代金を隣接者から詐取したものである。そして、開発建設部は24年8月に、職員がその職務を行うについて、違法に隣接者に損害を与えたことにより、国家賠償法(昭和22年法律第125号)に基づく賠償金計992,895円を隣接者に支払ったものであり、開発建設部に同額の損害が生じていて、不当と認められる。
なお、本件損害額については、25年9月末現在で補が全くされていない。