気象庁は、津波観測施設を適切に管理することを目的として、巨大津波観測計及び津波観測計を設置している岸壁等や検潮所の耐震性能等に対する調査を行い、設置場所に対する管理上の配慮の緊急度についての分類(以下「管理分類」という。)を行っている。しかし、津波観測施設の管理分類を適切に行っていなかったり、管理分類の結果を管区気象台等へ周知していなかったり、将来の移設等を検討するため設置場所の管理者等との連絡調整を行っていなかったりしている事態が見受けられた。また、提供しても支障がない津波に関する情報(以下「提供可能津波情報」という。)が地方自治体等の地域防災をより広く支援するものとなっていない事態が見受けられた。
したがって、気象庁において、管理分類の手法を見直すことなどにより再分類を行い、再分類の結果を管区気象台等へ周知して、設置場所の管理者等との間で、将来、巨大津波観測計及び津波観測計の機器の更新を行う際等に備えて、より耐震性能等の優れた岸壁等への移設等を実施するための協議を進める環境を整えるなどする処置を講ずるとともに、提供可能津波情報の保有状況を一覧化するなどして、地方自治体等に開示等を行うよう、気象庁長官に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求し及び意見を表示した。
本院は、気象庁本庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、気象庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。