(3件 不当と認める国庫補助金 11,390,000円)
循環型社会形成推進交付金(以下「交付金」という。)は、循環型社会形成推進交付金交付要綱(平成17年4月環境事務次官通知)に基づき、市町村(一部事務組合、広域連合及び特別区を含む。以下同じ。)が循環型社会形成の推進に必要な廃棄物処理施設の整備事業等を実施するために、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に規定する基本方針に沿って作成した循環型社会形成推進地域計画に基づく事業等を実施する場合に、その経費に充てるために国が交付するものである。
そして、循環型社会形成推進交付金交付取扱要領(平成17年4月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知)によれば、交付対象事業費の範囲は交付対象設備等に係る工事費及び事務費とされており、事務費は工事費の金額に所定の率を乗じて得た額の範囲内とされていて、業務委託に係る委託料は事務費に含めることとされている。また、交付対象となる廃棄物処理施設等の範囲は明確にされており、設備に係る建築物が交付対象とされる設備も明示されている。
本院が事業主体である30市町村において会計実地検査を行ったところ、3町において、事務費に含めることとされている業務委託に係る委託料を工事費に含めて交付対象事業費を算出していたり、交付対象とされていない建築物の整備に要した費用を交付対象事業費に含めていたりしていたため、交付金相当額計11,390,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3事業主体において交付対象事業費の算定に対する理解が十分でなかったこと、また、3県において交付金事業の実績報告書の審査及び事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の業務委託に係る委託料を工事費に含めて交付対象事業費を算出していた事態について、事例を示すと次のとおりである。
奈良県吉野郡下市町は、廃棄物処理施設の基幹的設備改良事業として、下市町し尿処理施設の基幹的設備の改良を事業費447,687,600円(交付対象事業費304,140,000円、交付金交付額152,070,000円)で実施し、下市町し尿処理施設改造工事に係る工事費286,230,000円と施工監理等業務委託に要した費用10,500,000円とを合わせて工事費として、これに事務費を加えるなどして交付対象事業費を算出していた。
しかし、この施工監理等業務委託に要した費用は業務委託に係る委託料であることから、工事費ではなく事務費に該当し、上記の工事費に含めることができない費用であった。
したがって、上記の工事費から施工監理等業務委託に要した費用を除くなどして適正な交付対象事業費を算定すると293,385,750円となり、適正な交付金交付額は146,692,000円となって、交付金相当額5,378,000円が過大に交付されていた。
これを部局等別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
年度 | 事業費 (国庫補助 対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(414) | 奈良県 | 吉野郡下市町 | 22 | 447,687(304,140) | 152,070 | 10,754(10,754) | 5,378 | 事務費に含めることとされている業務委託に係る委託料を工事費に含めていたもの |
(415) | 和歌山県 | 伊都郡高野町 | 19〜23 | 343,852(330,467) | 110,154 | 9,886(9,886) | 3,294 | 交付対象とされていない建築物の整備に要した費用を交付対象事業費に含めていたもの |
(416) | 徳島県 | 那賀郡那賀町 | 22、23 | 809,025(624,000) | 208,000 | 8,154(8,154) | 2,718 | 同 |
(414)—(416)の計 | 1,600,565(1,258,607) | 407,224 | 28,794(28,794) | 22,29211,390 |