日本中央競馬会(以下「競馬会」という。)は、競走の公正を確保するための措置の一環等として、競馬会所属の騎手がトレーニング・センター(以下「トレセン」という。)と中央競馬が開催される5競馬場又は地方競馬が開催される9競馬場との区間で乗車したタクシーの運行に係る経費を負担している。しかし、中央競馬における開催最終日の最終騎乗の終了後のタクシーの運行については第三者との接触を防止する必要がないにもかかわらず、また、地方競馬が開催される競馬場との間のタクシーの運行については競走の公正を確保するために必要な措置とは認められないにもかかわらず、これに係る経費を競馬会が負担している事態が見受けられた。
したがって、競馬会において、自動車運行契約に基づく経費の負担を合理的な範囲に限定する処置を講ずるよう、日本中央競馬会理事長に対して平成24年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、競馬会本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、競馬会は、本院指摘の趣旨に沿い、中央競馬が開催される5競馬場からトレセンまで開催最終日に運行されるタクシーについては、騎乗の変更に対応するため最終レースまでその要員として待機させた騎手に係る分を除いて経費を負担しないこととする処置を講じていた。
そして、トレセンと地方競馬が開催される9競馬場との間で運行されるタクシーについては、競走の公正を確保することとは別に、中央競馬と地方競馬との交流による競走の施行への影響が大きいことなどを理由として引き続き競馬会が経費を負担することとした上でより一層経費を節減するために、今後、契約金額等の見直しを行うこととしている。