本院は、特定調達に係る契約の状況について、平成25年9月27日に、日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)、日本郵便株式会社(24年9月30日以前は郵便事業株式会社(以下「事業会社」という。)及び郵便局株式会社(以下「局会社」という。)。以下「日本郵便」という。)、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」という。)及び株式会社かんぽ生命保険(以下「かんぽ生命」という。また、以下、これらの会社を総称して「4会社」という。)のそれぞれの取締役兼代表執行役社長又は代表取締役社長に対して、「特定調達に係る契約事務の実施について」として、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
これらの処置要求の内容は、4会社のそれぞれの検査結果に応じたものとなっているが、これらを総括的に示すと以下のとおりである。
日本郵政は、日本郵政株式会社法(平成17年法律第98号)等の規定に基づき、日本郵便の業務の支援のほか、宿泊施設、病院等(以下、これらを合わせて「附属施設」という。)を全国に計88か所設置してその運営等を行っている。
日本郵便は、日本郵便株式会社法(平成17年法律第100号)等の規定に基づき、郵便、銀行及び保険の窓口業務、郵便業務等を行っている。そして、これらの業務を行うため、全国に13の支社と計2万を超える郵便局(以下、支社と郵便局を合わせて「郵便局等」という。)を設置している。
ゆうちょ銀行は、銀行法(昭和56年法律第59号)等の規定に基づき、預金の受入れなどの業務を行っている。そして、これらの業務を行うため、本店、支店等のほか、貯金事務センター及び貯金事務計算センター(以下、これらを合わせて「貯金センター」という。)を全国に計13か所設置している。
かんぽ生命は、保険業法(平成7年法律第105号)等の規定に基づき、生命保険業務を行っている。そして、この業務を行うため、支店のほか、サービスセンター及び情報管理センター(以下、これらを合わせて「保険センター」という。)を全国に計7か所設置している(以下、附属施設、郵便局等、貯金センター及び保険センターを合わせて「施設」という。)。
4会社の本社及び施設は、それぞれの建物で使用する電気及びガスの調達に係る契約事務等を実施しており、これらの料金の支払事務のほとんどは本社で行っていて、その支払額は23年度で274億1285万余円、24年度(4月から9月までの6か月分)で148億0009万余円となっている。また、日本郵便及びゆうちょ銀行は、郵便局間、本支店等間において、現金等の警備輸送を行う業務(以下「現金警備輸送業務」という。)を実施しており、これらに係る契約事務は日本郵便の支社及びゆうちょ銀行本社が行っていて、その契約額は23年度で52億4257万余円、24年度で47億1855万余円となっている。さらに、4会社の本社が所在する建物を管理する日本郵政本社と、日本郵政の附属施設は、それぞれの建物の清掃業務を委託しており、これらに係る契約事務を行っていて、その契約額は23年度で1億6385万余円、24年度で2億0710万余円となっている。
我が国の電気及びガスの小売市場は、近年自由化が進められている。このうち、電気については、16年4月に、契約電力が原則として500kW以上の使用者は、一般の需要に応じて電気を供給する事業者(以下「一般電気事業者」という。)以外の事業者からも供給が受けられるようになった。そして、その範囲は、17年4月に、契約電力が原則として50kW以上の使用者にまで拡大されている。また、ガスについては、19年4月に、年間ガス使用量が10万m3以上の使用者は、一般の需要者に導管を敷設してガスを供給する事業者(以下「一般ガス事業者」という。)以外の事業者からも供給が受けられるようになった。
政府調達に関する協定(平成7年条約第23号。以下「協定」という。)は、世界貿易機関(WTO)の下で運用されている協定の一つで、各加盟国の中央政府、地方政府及び協定が定める機関による調達の分野における内外無差別原則の確立と手続の透明性の確保を目的として、各国が遵守すべき調達手続上の義務等を規定している。そして、我が国政府は、調達手続を更に透明性、公正性及び競争性の高いものとするなどのため、「物品に係る政府調達手続について(運用指針)」(平成6年アクション・プログラム実行推進委員会)等を我が国の自主的措置として決定している(以下、これら我が国の自主的措置と協定とを合わせて「協定等」という。)。
協定によると、産品及びサービスの調達が適用対象とされている。このうち、産品については、全ての産品を適用対象とすることとしていて、適用対象となる品目は具体的に示されていないが、「国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令」(昭和55年政令第300号)等により、現金及び有価証券を除く動産等の調達が適用対象とされており、電気及びガスの調達も例外ではないとされている。また、サービスについては、適用対象となるサービスの種類が具体的に示されており、現金警備輸送業務は「装甲車による運送サービス」に、建物の清掃業務は「建築物の清掃サービス」にそれぞれ該当するため、これらの調達は適用対象となる。
4会社は、協定等の適用対象機関とされていることから、予定価格等、評価の基礎となる額(以下「評価の基礎」という。)が10万SDR(注1)(以下「基準額」という。)以上となる産品及びサービスの調達(以下「特定調達」という。)を行うに当たっては、協定等に従った契約事務を行うこととされている。そして、協定等によると、評価の基礎は、契約期間における支払見込額の総額とすることとされているが、期間を延長する可能性がある場合は、当該延長期間を含んだ期間における支払見込額の総額とすることとされている。
特定調達を行うに当たっては、原則として一般競争に付することとされており、緊急の必要により競争に付することができないなどの場合に限って随意契約によることができるとされている。そして、一般競争に付する際には、契約期間やこれを延長する可能性に関する情報等を官報に公告すること(以下「入札公告」という。)とされており、随意契約の際には、契約前に契約相手方等を官報に公示することとされている。また、いずれの場合も、契約の相手方を決定したときは、契約額等を官報に公示すること(以下「落札公示」という。)とされている。
4会社は、特定調達を行うに当たり、協定等を遵守した契約事務を行うため、協定等に準じて「政府調達に関する協定等に係る契約手続」等(以下「特定調達手続」といい、協定等と合わせて「WTO手続」という。)をそれぞれ定めている。
4会社は、本社のほか、大規模な施設において電気及びガスを大量に使用しており、電気料金及びガス料金の支払額は、前記のとおり多額に上っている。また、日本郵便及びゆうちょ銀行が実施する現金警備輸送業務に係る委託契約や日本郵政が本社及び附属施設において実施する建物の清掃業務に係る委託契約についても、前記のとおり、契約額がそれぞれ多額に上っている。
そこで、本院は、合規性、経済性等の観点から、4会社がこれらの調達に係る契約の事務を行うに当たり、WTO手続を遵守して、透明性及び公正性を確保しているか、競争の利益を享受できるように事務手続を行っているかなどに着眼して検査した。
検査に当たっては、23、24両年度における電気及びガスの需給契約のうち電気料金等の支払額が基準額以上になると見込まれる契約並びに23、24両年度に実施した現金警備輸送業務及び清掃業務に係る委託契約を対象として、4会社の本社のほか、83施設において、入札書、契約書、請求書等を確認するなどして会計実地検査を実施するとともに、210施設に対して、入札、契約状況等に係る調書の作成及び提出を求めるなどして検査を実施した。
検査したところ、契約事務がWTO手続に従ったものとなっておらず、適切とは認められない事態が、次のとおり見受けられた。
協定等に従った契約事務を行っていなかった契約が、日本郵政において102件(支払額又は契約額の計18億5319万余円)、日本郵便において308件(支払額60億1880万余円)、ゆうちょ銀行において12件(支払額又は契約額の計3億0851万余円)、かんぽ生命において5件(同1億9647万余円)あり、これらを態様別に示すと次のとおりである。
ア 入札公告を行った上で一般競争に付していなかったもの(日本郵政99件17億0577万余円、日本郵便308件60億1880万余円、ゆうちょ銀行9件1億5191万余円、かんぽ生命3件1億0626万余円)
検査した前記4会社の本社及び計293施設のうち、日本郵政本社及び4会社の276施設は、23、24両年度のいずれかの年度又は両年度における電気料金等の支払額(注2)が基準額以上となっていた。
しかし、これらのうち4会社の210施設が締結していた23、24両年度における電気及びガスの調達に係る419件の需給契約(支払額計79億8276万余円)は、評価の基礎となる予定価格を算定する際に用いる前年度(22年度又は23年度)の電気料金及びガス料金の支払額が基準額以上となっていたのに、入札公告を行った上で一般競争に付すなどのWTO手続に従った契約事務を行わずに、一般電気事業者及び一般ガス事業者に申込書を提出することによって締結した従前の需給契約を毎年度継続していたことから、随意契約となっていた(表1参照)。
表1 入札公告を行った上で一般競争に付していなかったもの
会社名 |
支払額等
\
品目
|
平成23年度 | 24年度 | 計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
施設数 | 契約件数 (件) |
支払額 (千円) |
施設数 | 契約件数 (件) |
支払額 (千円) |
施設数 | 契約件数 (件) |
支払額 (千円) |
||
日本郵政 | 電気 | 43 | 43 | 954,684 | 44 | 44 | 527,025 | 45 | 87 | 1,481,710 |
ガス | 5 | 5 | 134,048 | 7 | 7 | 90,011 | 7 | 12 | 224,060 | |
計 | 48 | 48 | 1,088,732 | 51 | 51 | 617,037 | 51 | 99 | 1,705,770 | |
日本郵便 | 電気 | 143 | 143 | 3,638,657 | 144 | 144 | 1,991,051 | 147 | 287 | 5,629,709 |
ガス | 11 | 11 | 256,102 | 10 | 10 | 132,996 | 12 | 21 | 389,099 | |
計 | 148 | 154 | 3,894,760 | 148 | 154 | 2,124,047 | 152 | 308 | 6,018,808 | |
ゆうちょ銀行 | 電気 | 4 | 4 | 72,113 | 3 | 3 | 28,516 | 4 | 7 | 100,630 |
ガス | 1 | 1 | 34,740 | 1 | 1 | 16,547 | 1 | 2 | 51,288 | |
計 | 5 | 5 | 106,853 | 4 | 4 | 45,064 | 5 | 9 | 151,918 | |
かんぽ生命 | 電気 | 2 | 2 | 97,101 | 1 | 1 | 9,166 | 2 | 3 | 106,268 |
ガス | — | — | — | — | — | — | — | — | — | |
計 | 2 | 2 | 97,101 | 1 | 1 | 9,166 | 2 | 3 | 106,268 | |
合計 | 電気 | 192 | 192 | 4,762,557 | 192 | 192 | 2,555,760 | 198 | 384 | 7,318,318 |
ガス | 17 | 17 | 424,892 | 18 | 18 | 239,555 | 20 | 35 | 664,447 | |
計 | 203 | 209 | 5,187,449 | 204 | 210 | 2,795,316 | 210 | 419 | 7,982,766 |
銀座郵便局(平成24年9月30日までは事業会社の銀座支店)は、年間7000万通を超える郵便物等を配達する大規模な郵便局であることから、大量の電気及びガスを使用しており、22、23両年度の電気料金及びガス料金の支払額並びに24年4月から9月までの電気料金及びガス料金の支払額を通年分に換算した金額は、いずれも基準額以上となっていた。
しかし、同郵便局は、電気及びガスに係る23、24両年度の需給契約について、WTO手続に従った契約事務を行わずに一般電気事業者及び一般ガス事業者と従前の契約を継続する随意契約により締結して、計1億7255万余円を支払っていた。
なお、日本郵政本社及び4会社の57施設は、23、24両年度のいずれかの年度又は両年度における電気及びガスの調達に当たり、入札公告を行った上で一般競争に付すなどのWTO手続に従った契約事務を行って需給契約を締結していた。そして、これらの契約のうち複数の応札者があったり、応札者は1者だったものの下見積りが複数者から提出されて実質的な競争が行われたりした23件の契約額は、表2のとおりであり、一般電気事業者又は一般ガス事業者が定めた約款等に基づく試算額に比べて低額となっていた。
表2 複数の応札者があるなどした電気及びガスの需給契約の契約額と約款等に基づく試算額との比較
会社名 | 契約件数 (件) |
契約額(A) (千円) |
試算額(B) (千円) |
差額(C)=(B)−(A) (千円) |
低減率(D)=(C)/(B)(%) |
---|---|---|---|---|---|
日本郵政 | 7 | 499,392 | 535,762 | 36,370 | 6.7 |
日本郵便 | 9 | 437,552 | 502,215 | 64,663 | 12.8 |
ゆうちょ銀行 | 5 | 582,664 | 627,536 | 44,871 | 7.1 |
かんぽ生命 | 2 | 101,447 | 108,622 | 7,174 | 6.6 |
計 | 23 | 1,621,055 | 1,774,136 | 153,080 | 8.6 |
イ 契約期間を延長する可能性に関する情報を入札公告に掲載していなかったもの(日本郵政1件1億2114万余円、ゆうちょ銀行1件3707万余円)
日本郵政本社は、24年度における電気の調達に当たり、入札公告を行った上で一般競争に付すなどして、契約期間を最長で2年まで延長できる自動更新条項を付した需給契約を事業者と契約額1億2114万余円で締結していた。また、1貯金センターは、23年度における電気の調達に当たり、同様に一般競争に付すなどして、契約期間を最長で4年まで延長できる自動更新条項を付した需給契約を事業者と契約額3707万余円で締結していた。
しかし、協定等によると、入札公告には、契約期間を延長する可能性に関する情報を掲載することとされているのに、日本郵政本社及び1貯金センターは、上記2件の契約について、これを行っていなかった。
ウ 落札公示を行っていなかったもの(日本郵政2件2627万余円、ゆうちょ銀行2件1億1952万余円、かんぽ生命2件9020万余円)
2附属施設及び2貯金センターは、24年度における電気の調達に当たり、予定価格が基準額以上となっていたことから入札公告を行ったが、当該入札に応札した事業者がいなかったため、一般電気事業者に申込書を提出して、需給契約を随意契約によりそれぞれ締結して、24年4月から9月までの間に計2627万余円、計1億1952万余円を支払っていた。また、1保険センターは、23、24両年度における電気の調達に当たり、予定価格が基準額以上となっていたことから、入札公告を行った上で一般競争に付すなどして、事業者と需給契約を契約額計9020万余円で締結していた。
しかし、協定等によると、前記のとおり、落札公示を行わなければならないのに、上記の5施設は、上記計6件の契約について、落札公示を行う必要はないと誤認するなどしていたため、これを行っていなかった。
協定等に従った契約事務を行っていなかった契約が、日本郵便において73件(契約額51億6440万余円)、ゆうちょ銀行において1件(同11億1300万円)あり、これらを態様別に示すと次のとおりである。
ア 入札公告を行っていなかったり、契約期間を延長する可能性に関する情報を入札公告に掲載していなかったりしていたもの(日本郵便37件18億8940万余円、ゆうちょ銀行1件11億1300万円)
日本郵便の5支社(注3)は、23年度における現金警備輸送業務を実施するに当たり、契約期間を最長で3年又は4年まで延長できる自動更新条項を付した37件の契約を事業者と契約額計18億8940万余円で締結していた。また、ゆうちょ銀行本社は、24年度における現金警備輸送業務を実施するに当たり、契約期間を最長で4年まで延長できる自動更新条項を付した契約を事業者と契約額11億1300万円で締結していた。
協定等によると、契約期間を延長する可能性がある場合の評価の基礎は、当該延長期間を含んだ期間における支払見込額の総額とすることとされており、また、入札公告には、契約期間を延長する可能性に関する情報を掲載することとされている。
しかし、上記の5支社及びゆうちょ銀行本社は、上記計38件の契約について、契約期間が最長で3年又は4年まで延長されることを考慮しないで評価の基礎を算定していたことから、基準額を下回ると誤認して入札公告を行っていなかったり、延長する前の契約期間に係る予定価格等が基準額以上であったため入札公告は行ったものの契約期間を延長する可能性に関する情報を掲載していなかったりしていた。
イ 一般競争に付した上で新たに契約を締結することとせずに契約を変更していたもの(日本郵便36件32億7499万余円)
日本郵便の2支社(注4)は、22年10月から23年9月までの間を契約期間とする現金警備輸送業務を実施するに当たり、事業者と15件の契約を契約額計4億3413万余円で締結していた。その後、上記の2支社は、局会社本社の指示に基づき、契約期間をいずれも24年3月まで6か月間延長する変更契約15件をそれぞれの事業者と締結しており、変更契約に伴う契約額の増加額(以下「契約変更額」という。)を計2億4970万余円としていた。また、上記の2支社を含む11支社(注5)は、24年度における現金警備輸送業務を実施するため、局会社本社の指示に基づき、23年度に締結していた契約の期間を25年3月まで延長するとともに、複数の契約を一つに集約したり、現金等を警備輸送する郵便局の数を増やしたりするなどして、70件の変更契約をそれぞれの事業者と締結しており、その契約変更額を計36億0555万余円としていた。
しかし、上記2支社の15件の変更契約のうち6件(契約変更額計2億0207万余円)及び11支社の70件の変更契約のうち30件(契約変更額計30億7292万余円)については、延長期間に係る同業務について予定価格を算定した場合には基準額以上になることが見込まれ、現に契約変更額が基準額以上となっていた。したがって、競争に付することができない特段の事情がない場合は、協定等の趣旨である調達における手続の透明性、公正性及び競争性を確保するため、延長期間に係る部分については新たな契約として入札公告を行った上で一般競争に付すなどのWTO手続に従った契約事務を行うべきであったのに、上記の11支社は、上記計36件の契約について、これを行っていなかった。
日本郵便の東北支社は、平成22年8月に、22年10月から23年9月までの間の現金警備輸送業務を実施するに当たり、一般競争に付した上で、青森中央郵便局等3郵便局から113郵便局に現金等を警備輸送するなどの契約を事業者と契約額4541万余円で締結していた。そして、同支社は、23年8月に、局会社本社の指示に基づき、契約期間を24年3月まで延長して、契約変更額を2756万余円とする第1回変更契約を同事業者と締結していた。また、同支社は、24年度の現金警備輸送業務を実施するため、局会社本社の指示に基づき、青森中央郵便局等8郵便局から190郵便局に現金等を警備輸送することとするなどした上で、契約の期間を25年3月まで延長して、契約変更額を4713万余円とする第2回変更契約を同事業者と締結していた。
しかし、同支社は、第1回変更契約及び第2回変更契約の契約変更額がいずれも基準額以上となることが見込まれていたのに、新たな契約として入札公告を行った上で一般競争に付すなどのWTO手続に従った契約事務を行っていなかった。
日本郵政本社は、23年度における建物の清掃業務を実施するに当たり、入札公告を行った上で一般競争に付すなどして、契約期間を最長で2年まで延長できる自動更新条項を付した委託契約を事業者と契約額2251万余円で締結していた。また、1附属施設は、24年度における建物の清掃業務を実施するに当たり、同様に一般競争に付すなどして、契約期間を最長で3年まで延長できる自動更新条項を付した委託契約を事業者と契約額1888万余円で締結していた。
しかし、協定等によると、前記のとおり入札公告には契約期間を延長する可能性に関する情報を掲載することとされているのに、日本郵政本社及び1附属施設は、上記2件の契約(契約額計4140万余円)について、これを行っていなかった。
以上のように、日本郵政及びゆうちょ銀行の本社並びに4会社の施設が、電気及びガスの調達に係る需給契約や現金警備輸送業務及び建物の清掃業務に係る委託契約において、一般競争に付していなかったり、契約期間を延長する可能性に関する情報を入札公告に掲載していなかったり、新たに契約を締結することなく既に締結していた契約を変更していたりなどしていてWTO手続に従った契約事務を行っていない事態は適切とは認められず、是正改善の要があると認められる。
このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。
日本郵政公社から業務をそれぞれ承継した4会社は、民営化されているがその事業活動には公共性があり、前記のとおり協定等に従うこととされている。
そして、4会社は、今後も引き続き電気及びガスの調達に係る需給契約並びに現金警備輸送業務及び建物の清掃業務に係る委託契約を締結していくことが見込まれることから、これらの契約を一般競争に付すなどWTO手続に従った契約事務を行って締結することとすれば、競争による経済的な効果も期待できると認められる。
ついては、4会社において、特定調達に係る契約を締結するに当たり、WTO手続に従った契約事務を行って、透明性及び公正性を確保して、競争の利益を享受できるよう、次のとおり是正改善の処置を求める。