独立行政法人国際交流基金(以下「基金」という。)は、日々の会計処理や、各年度における予算執行管理、資産管理、財務諸表の作成等の決算事務等に関して、従前から運用していた財務会計システムの機能が業務内容に対応しきれないとして、平成22年10月から23年6月までの間に、会計機能、予算機能、固定資産機能等を有する財務会計システムのソフトウェア(以下「財務システム」という。)を新たに開発するため、基金において作成した仕様書に基づき、株式会社ネットコム等4者と「財務会計システム評価、改修・開発支援業務」等10契約を締結し、設計、プログラム製造、テスト等を行わせ、計36,458,625円を支払っている。また、基金は、23年7月から24年3月までの間に、財務システムの改修、調査等を行うため、ITS株式会社等2者と「新財務会計システム改修(バグ改修)業務」等8契約を締結し、計7,245,000円を支払っている。
本院は、有効性等の観点から、財務システムについて、業務に必要な機能、性能等が備えられているか、業務に利用されているかなどに着眼して、上記の18契約を対象として、基金本部において契約関係書類を確認したり、開発の状況を聴取したりするなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
財務システムは、23年6月に完成していた。しかし、基金は、財務システムの開発の業務を担当する部門(以下「システム部門」という。)と実際に財務システムを利用して業務を行う部門(以下「業務部門」という。)との連携がないまま財務システムの開発を行っていたため、次のとおり、財務システムは、業務に必要な機能、性能等が備えられておらず、業務に使用できないものとなっていた。
以上のことから、基金は、前記のとおり、システム改修等業務を実施するため、2者との間で計8契約を締結し、財務システムの改修や財務システムに対する調査等を行っていたが、改善には至らず、財務システムは業務に使用できるものとはならなかった。
このため、財務システムは、完成した23年6月以降全く利用されておらず、財務システムの開発に係る支払額計36,458,625円及び財務システムの改修、調査等に係る支払額計7,245,000円、合計43,703,625円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、基金において、財務システムの開発に当たり、システム部門と業務部門とが連携しておらず、業務に必要な機能、性能等についての検討が十分でなかったことなどによると認められる。