独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下「機構」という。)は、三菱電機株式会社との間で契約を締結して、人工衛星等の研究、開発等を行っており、契約書等に基づき、制度調査及び原価監査を実施している。しかし、過去の過大請求事案を踏まえるなどして再発防止策を講じてきたとされているにもかかわらず、これらの契約において同会社による過大請求が発生していて、作業現場や工数計上の実態等の把握が十分に行われていないなど制度調査及び原価監査が有効に機能していない事態が見受けられた。
したがって、機構において、制度調査及び原価監査が効果的に実施できる体制を整備して抜き打ちの調査及び監査が実施できるようにするなどして牽制効果が十分に働く実施方法に改めたり、制度調査については、作業現場に赴いて作業の実態、工数計上の手続等を実地に確認する調査(以下「フロアチェック」という。)を行う場合には作業実態等を把握するようその充実及び強化を図るとともに、原価計算方式に関連する内部統制の整備及び運用状況について適切に調査し把握して必要に応じて適切な指導を行うなどしたり、原価監査については、関係書類等の照合にとどまることなく適切に事実の把握及び確認を行ったりするよう、独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事長に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構筑波宇宙センターにおいて、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、25年7月までに、契約事務実施要領等を改正して、次のような処置を講じていた。