独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)は、平成23年10月に独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「旧機構」という。)から雇用促進住宅の管理運営等に係る業務を承継して実施している。しかし、旧機構において、雇用促進住宅の家賃等滞納者に対して通達に定める貸与契約の解除手続を適正に行っていなかったり、貸与契約の解除に伴い発生する損害金の発生額及び未収額を適切に把握し管理していなかったりなどしている事態が見受けられた。
したがって、機構において、損害金の発生額及び未収額を適切に把握し管理して、家賃等滞納者等に対して損害金の請求等を行い、判決で請求が認められた損害金を管理状況記録簿に記録するとともに、通達に定める貸与契約の解除手続を適正に行うよう雇用促進住宅の管理運営等に係る業務の委託を受けた者に対して指導し、また、雇用促進住宅に係る損害金の債権管理簿や時効中断の措置等の債権管理の事務に関する具体的な手続を整備して、上記の委託を受けた者等に対して周知し、適切に事務を行うよう、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に対して23年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、機構において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、家賃等の損害金については、24年度に雇用促進住宅管理システムの改修を行って発生額及び未収額を債権として適切に把握し管理して、家賃等滞納者等に対して損害金の請求等を行い、また、判決で請求が認められた損害金を管理状況記録簿に記録するなどの処置を講じていた。
また、通達に定める貸与契約の解除手続及び損害金の把握や管理については、24年1月に雇用促進住宅の管理運営等に係る業務の委託先に対して通知を発して、貸与契約の適正な解除手続について指導するとともに、同年3月に雇用促進住宅に係る損害金の債権管理簿や時効中断の措置等の債権管理の事務に関する具体的な手続を整備して、上記の委託先等に対してその内容を通知する処置を講じていた。