独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)は、障害者である常用雇用労働者の割合が法定雇用率を達成していない事業主から障害者雇用納付金を徴収して、法定雇用率を達成している事業主等に対して障害者雇用調整金又は報奨金を支給するなどの業務を行っている。しかし、事業主が、常用雇用労働者に該当しない障害者を雇用障害者数に含めて納付金の申告又は調整金若しくは報奨金の申請をするなどしていることにより、納付金の徴収が不足していたり、調整金及び報奨金が過大に支給されていたりしている事態が見受けられた。
したがって、機構において、納付金の徴収不足額並びに調整金及び報奨金の過大支給額について、事業主に対して速やかに納付及び返還を求めるとともに、実態の労働時間によって常用雇用労働者に該当するか否かを判断する取扱いになっている旨を支給申請書等に係る記入説明書に明記した上で事業主に対して説明会を開催するなどして更なる周知徹底を図るとともに、勤務実態等が確認できる関係書類の提出を適宜求めるなどして事業主から提出された支給申請書等の記載内容を確認することとするなど効果的な審査等が行われるようにするよう、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に対して平成24年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、機構において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、事業主に対して納付金の納付並びに調整金及び報奨金の返還のための処置を執るとともに、次のような処置を講じていた。
そして、納付金の申告書及び常用雇用労働者が300人を超える事業主が行う調整金の支給申請書の記載内容の確認については、26年度以降の事業所調査を強化することなどにより実施することとしている。