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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果|第2節 団体別の検査結果|第38 独立行政法人国立高等専門学校機構|不当事項|予算経理

物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って購入代金を支払っていたもの[独立行政法人国立高等専門学校機構本部、18国立高等専門学校](434)


科目
経常費用
部局等
独立行政法人国立高等専門学校機構本部、18国立高等専門学校
不適正な会計経理により支払われた経費の概要
物品の購入等に係る代金
不適正な会計経理により支払われた経費の財源
(1) 運営費交付金等
(2) 国庫補助金
不適正な会計経理により支払われた金額
(1) 151,482,936円(平成18年度〜23年度)
(2)  16,109,067円(平成19年度〜22年度) 計 167,592,003円

1 国立高等専門学校における物品の購入等に係る会計経理の概要

独立行政法人国立高等専門学校機構は、国立高等専門学校(以下「高専」という。)を設置することなどにより、職業に必要な実践的かつ専門的な知識及び技術を有する創造的な人材を育成するとともに、我が国の高等教育の水準の向上と均衡ある発展を図ることを目的として、各高専の設置運営や教育研究活動等の業務を行っている(高専における物品の購入等に係る会計経理の概要等については、後掲756ページの「国立高等専門学校における不適正経理の再発防止策への取組状況や物品管理の状況を適切に把握することなどにより、再発防止策への取組が確実に実施され、また、物品の管理が適正に行われるよう是正改善の処置を求めたもの」参照)。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、合規性等の観点から、高専における物品の購入等に係る検収、支払等の経理処理が独立行政法人国立高等専門学校機構会計規則(平成16年独立行政法人国立高等専門学校機構規則第34号。以下「会計規則」という。)等に基づき適正に行われているかに着眼して、函館工業高等専門学校等18高専(注1)(以下「18高専」という。)において、平成19年度から23年度までの間に締結した物品の購入等に係る契約を対象として、支払決議書等の書類により会計実地検査を行った。そして、検査の過程において不適正な会計経理の事態が判明した場合には、可能な範囲において過去の年度まで遡って検査した。

注(1)
18高専  函館工業、苫小牧工業、秋田工業、茨城工業、小山工業、東京工業、富山、石川工業、福井工業、岐阜工業、豊田工業、鈴鹿工業、奈良工業、津山工業、呉工業、新居浜工業、佐世保工業、熊本各高等専門学校

(2) 検査の結果

検査したところ、18高専全てにおいて、18年度から23年度までの間に、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って、物品の購入代金等を支払っていたものが、運営費交付金等を財源とする支払額151,482,936円、国庫補助金(注2)を財源とする支払額16,109,067円、計167,592,003円あった。

注(2)
国庫補助金  大学改革推進等補助金、独立行政法人国立高等専門学校機構設備整備費補助金及び独立行政法人国立高等専門学校機構施設整備費補助金

これらを態様別に示すと、次のとおりである(表参照)。

ア 預け金

業者に架空取引を指示するなどして、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより代金を支払い、当該支払金を業者に預け金として保有させて、後日、これを利用して契約した物品とは異なる物品を納入させていたもの1高専  1,959,990円

イ 差替え

業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより代金を支払い、実際には契約した物品とは異なる物品に差し替えて納入させていたもの2高専  1,454,018円

ウ 翌年度納入

物品が翌年度に納入されているのに、関係書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして代金を支払っていたもの18高専 144,580,778円

エ 前年度納入

物品が前年度以前に納入されていたのに、関係書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして代金を支払っていたもの14高専  19,597,217円

表 不適正な会計経理により支払われた物品の購入等代金の内訳

(単位:円)
高専名、財源の内訳 年度 預け金 差替え 翌年度納入 前年度納入
函館工業高等専門学校 平成
19〜23
16,792,320 16,792,320
苫小牧工業高等専門学校 19〜21 1,375,149 1,375,149
秋田工業高等専門学校 19〜23 978,402 9,769,295 341,457 11,089,154
茨城工業高等専門学校 19、20、22 868,817 868,817
小山工業高等専門学校 19〜23 3,265,317 1,461,290 4,726,607
東京工業高等専門学校 18〜22 1,959,990 475,616 34,732,520 2,581,673 39,749,799
富山高等専門学校 19〜21 9,129,331 278,098 9,407,429
石川工業高等専門学校 19〜23 3,904,946 1,496,557 5,401,503
福井工業高等専門学校 19〜23 27,427,184 6,072,037 33,499,221
岐阜工業高等専門学校 19〜23 3,150,924 1,230,040 4,380,964
豊田工業高等専門学校 19、21、22 77,882 224,810 302,692
鈴鹿工業高等専門学校 20、21、23 5,308,233 2,788,128 8,096,361
奈良工業高等専門学校 19〜21 558,738 1,049,540 1,608,278
津山工業高等専門学校 19〜22 2,431,650 218,715 2,650,365
呉工業高等専門学校 19 311,955 311,955
新居浜工業高等専門学校 19〜22 8,824,864 218,404 9,043,268
佐世保工業高等専門学校 19〜23 2,602,616 321,300 2,923,916
熊本高等専門学校 19〜23 14,049,037 1,315,168 15,364,205
18高専計 18〜23 1,959,990 1,454,018 144,580,778 19,597,217 167,592,003
運営費交付金等 18〜23 1,959,990 1,454,018 128,537,861 19,531,067 151,482,936
国庫補助金 19〜22 16,042,917 66,150 16,109,067
大学改革推進等補助金 19〜21 5,017,681 66,150 5,083,831
独立行政法人国立高等専門学校機構設備整備費補助金 21、22 8,126,915 8,126,915
独立行政法人国立高等専門学校機構施設整備費補助金 19、20 2,898,321 2,898,321

これらのアからエまでの事態は、18高専において、契約した物品が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って物品の購入代金計167,592,003円を支払っていたものであり、不当と認められる。また、このうち国庫補助金については当該国庫補助金が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、18高専において、公金の取扱いの重要性や会計規則の遵守に対する認識が欠けていたことなどによると認められる。