独立行政法人国立大学財務・経営センター(以下「センター」という。)は、国立大学法人等に対して施設整備等に必要な資金の貸付事業及び交付事業を行っている。しかし、貸付事業において、個々の附属病院の収支状況等に即した審査基準等が定められていなかったり、交付事業において、営繕事業費の配分方法が国立大学法人等の自己収入等の獲得額の格差を十分に考慮したものとなっていなかったり、今後の財源の見込みが十分に立っているとは認められなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、センターにおいて、個々の附属病院の収支状況等に即した適切な審査基準等を定めたり、国立大学法人等の自己収入等の獲得額の格差等を考慮した営繕事業費の配分方法について文部科学省と協議しつつ検討したり、今後の財源の見込みについて十分に検討したりするよう、独立行政法人国立大学財務・経営センター理事長に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、センターにおいて、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、センターは、本院指摘の趣旨に沿い、貸付事業については、審査基準に個々の附属病院の収支状況等に即した審査指標を追加する見直しを行い、25年度中に改定することとしている。また、交付事業については、文部科学省と協議した上で、国立大学法人等の個々の保有資産や自己収入の状況に配慮するなどした営繕事業費の配分方法の見直しを行うこととし、国立大学法人等の中期計画期間に配慮しつつ実施することとしている。そして、今後の交付事業の財源の見込みについては、国立大学法人等の土地処分収入を可能な限り確保できるように文部科学省に引き続き協力を要請するとともに、これ以外の新たな財源について引き続き検討を行っていくこととしている。