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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第2節 団体別の検査結果 |
  • 第53 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、(第36 独立行政法人労働者健康福祉機構)、(第38 独立行政法人国立高等専門学校機構) |
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(1)-(3) 独立行政法人が保有している土地について自主的な見直しを不断に行うとともに、有効に利用されていない土地等について具体的な処分計画又は利用計画を策定するよう改善の処置を要求したもの


部局等
(1) 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
(2) 独立行政法人労働者健康福祉機構本部、7労災病院
(3) 独立行政法人国立高等専門学校機構本部、17国立高等専門学校
科目
現金及び預金、土地
有効に利用されていない土地並びに現金及び預金に係る平成25年3月31日現在の帳簿価額
(1) 土地     1億8920万円
(2) 土地     7億2800万円
  現金及び預金 1億6903万円
  計      8億9703万円
(3) 土地     13億7880万円

本院は、独立行政法人が、その業務を確実に実施するために必要な資産であるとして国等から政府出資見合いの資産として承継して保有している土地等のうち、有効に利用されていない土地等の具体的な処分計画又は利用計画の策定等について、平成25年10月31日に、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園(以下「のぞみの園」という。)、独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「労働者健康福祉機構」という。)及び独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「国立高等専門学校機構」という。また、以下、これらを合わせて「3独立行政法人」という。)の各理事長に対して、「独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が保有している有効に利用されていない土地について」等として、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

これらの処置要求の内容は、3独立行政法人のそれぞれの検査結果に応じたものとなっているが、これを総括的に示すと以下のとおりである。

1 独立行政法人の保有資産等の概要

(1) 3独立行政法人の保有資産

3独立行政法人は、土地(事業用地、宿舎用地等。帳簿価額(25年3月31日現在。以下同じ。)は、のぞみの園88億7364万余円、労働者健康福祉機構694億3563万余円、国立高等専門学校機構1445億7255万余円)を保有しており、そのほとんどは、3独立行政法人が設立された際に、それぞれの業務を確実に実施するために必要であるとして、国等から政府出資見合いの資産として承継した資産である。

(2) 保有資産の見直し

独立行政法人は、22年の独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)の改正により、中期目標期間の途中であっても、通則法第8条第3項の規定により、その保有する重要な財産であって主務省令で定めるものが将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合には、当該財産(以下「不要財産」という。)を処分しなければならないこととされ、通則法第46条の2の規定により、不要財産であって政府からの出資又は支出(金銭の出資に該当するものを除く。)に係るものについては、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付することとされている。

そして、政府は、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月閣議決定。以下「基本方針」という。)において、各独立行政法人が、幅広い資産を対象に、自主的な見直しを不断に行い、保有する必要性があるかなどについて厳しく検証して、不要と認められるものについては速やかに国庫に納付することなどを掲げている。

(3) 労働者健康福祉機構が保有する労災病院等に係る資産処分収入の取扱い

労働者健康福祉機構は、厚生労働大臣が定める廃止対象労災病院等(注1)以外の労災病院等に係る資産の処分により生じた収入(以下「資産処分収入」という。)を、従来、労災病院の増改築工事等の費用に充ててきており、第2期中期目標期間(21事業年度から25事業年度まで(以下、事業年度を「年度」という。))に係る中期計画においては、医療の提供を確実に実施するために、労災病院の増改築費用等への有効活用に努めることとしている。そして、設立以降24年度までの資産処分収入の額は、計25億0591万余円となっている。

労働者健康福祉機構は、設立以降、和歌山、九州両労災病院(以下、これらを合わせて「2労災病院」という。)に係る大規模な増改築工事等を行っており、また、21年度以降の10年間において、北海道中央労災病院等12労災病院(注2)(以下「12労災病院」という。)に係る大規模な増改築工事等の施設整備計画を策定した上で、毎年度同計画を見直して、これに基づき施設整備を行うこととしている。

注(1)
厚生労働大臣が定める廃止対象労災病院等  労働者健康福祉機構は、独立行政法人労働者健康福祉機構法(平成14年法律第171号)附則第3条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定めた霧島温泉、珪肺、大牟田、岩手、筑豊各労災病院、及び同条第2項の規定に基づき政令で定められた施設(休養施設及び労災保険会館)の委譲又は廃止の業務を行うこととされている。そして、労働者健康福祉機構は、これらの労災病院等の委譲又は廃止により資産を処分したときには、同法附則第7条第3項の規定に基づき、処分により生じた収入の額を国庫に納付するものとされている。
注(2)
12労災病院  北海道中央、秋田、福島、千葉、燕、富山、旭、大阪、山陰、岡山、香川、熊本各労災病院

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

独立行政法人は、前記のとおり、基本方針において、幅広い資産を対象に、自主的な見直しを不断に行うことなどが求められている。そして、労働者健康福祉機構は、前記のとおり、資産処分収入については、労災病院の増改築費用等への有効活用に努めることとしており、施設整備計画を策定し、毎年度同計画を見直して、これに基づき労災病院の施設整備を行うこととしている。

そこで、本院は、有効性等の観点から、3独立行政法人が保有している政府出資見合いの資産である土地が業務を確実に実施するという目的に沿って有効に利用されているか、利用されていない土地について売却等の処分計画や施設整備等の利用計画が策定されているか、労働者健康福祉機構において資産処分収入は施設整備計画に適切に計上され有効に活用されているかなどに着眼して、前記の土地等を対象として、3独立行政法人の本部等において、施設の配置図等の関係書類、土地の現況、過去の資産処分収入の取扱いなどを確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) のぞみの園

のぞみの園が特殊法人であった心身障害者福祉協会から承継した土地についてみたところ、宿舎、管理事務所等の跡地等を更地のまま保有するなどしていて、具体的な処分計画又は利用計画が策定されないまま24年度末現在で3年以上にわたり有効に利用されていない土地が、面積計11,215.65㎡、帳簿価額計1億8920万余円見受けられた。

(2) 労働者健康福祉機構

ア 土地が有効に利用されていない事態

労働者健康福祉機構が特殊法人であった労働福祉事業団から承継した土地についてみたところ、更地のまま保有するなどしていて、具体的な処分計画又は利用計画が策定されないまま24年度末現在で4年以上にわたり有効に利用されていない土地が、表1のとおり、北海道中央労災病院せき損センター等7労災病院(以下「7労災病院」という。)において、面積計18,518.21㎡、帳簿価額計7億2800万余円見受けられた。

表1 労働者健康福祉機構において具体的な処分計画又は利用計画が策定されないまま有効に利用されていない土地

(平成24年度末現在)
労災病院の名称 面積(㎡) 帳簿価額
北海道中央労災病院せき損センター 5,825.00 5525万余円
釧路労災病院 941.00 2757万余円
秋田労災病院 788.80 745万余円
福島労災病院 3,699.00 9210万余円
大阪労災病院 3,677.70 4億2088万余円
和歌山労災病院 1,369.00 1745万余円
九州労災病院門司メディカルセンター 2,217.71 1億0726万余円
18,518.21 7億2800万余円

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

九州労災病院門司メディカルセンター(平成20年3月31日以前は門司労災病院)は、労働者健康福祉機構が設立された16年4月から北九州市に所在する土地(面積2,217.71㎡、帳簿価額1億0726万余円)を管理している。

しかし、同センターは、25年3月31日現在、上記土地の一部を暫定的に職員に駐車場として利用させているのみであり、16年4月から具体的な処分計画又は利用計画を策定していなかった。

イ 資産処分収入の利用計画が具体的に定められていない事態

労働者健康福祉機構は、設立以降24年度までに得た資産処分収入の額計25億0591万余円のうち、2労災病院に係る大規模な増改築工事等の費用等に計23億3687万余円を充てており、資産処分収入の額のうち上記の増改築工事等の費用等に充てた額の残額は、24年度末で計1億6903万余円となっている。そして、2労災病院に係る大規模な増改築工事は23年4月までにしゅん工していて、上記の残額1億6903万余円は12労災病院に係る増改築工事等の費用に充てることが可能な状態となっている。しかし、労働者健康福祉機構は上記の残額を預金として保有しており、12労災病院に係る増改築工事等の施設整備計画において資産処分収入の具体的な利用計画を定めていなかった。

(3) 国立高等専門学校機構

国立高等専門学校機構が国から承継した土地についてみたところ、更地のまま保有するなどしていて、具体的な処分計画又は利用計画が策定されないまま24年度末現在で2年以上にわたり有効に利用されていない土地が、表2のとおり、苫小牧工業高等専門学校等17高等専門学校(以下、国立高等専門学校を「高専」といい、苫小牧工業高等専門学校等17高等専門学校を「17高専」という。)において、面積計42,969.15㎡、帳簿価額計13億7880万余円見受けられた。

表2 国立高等専門学校機構において具体的な処分計画又は利用計画が策定されないまま有効に利用されていない土地

(平成24年度末現在)
高専の名称 面積(㎡) 帳簿価額
苫小牧工業高等専門学校 4,492.10 3411万余円
八戸工業高等専門学校 5,889.43 1億6250万円
仙台高等専門学校 2,673.00 1億0500万円
福島工業高等専門学校 2,739.33 1億2960万円
長岡工業高等専門学校 2,193.62 1億2350万円
富山高等専門学校 290.00 1434万余円
石川工業高等専門学校 3,274.06 1億9622万余円
沼津工業高等専門学校 288.19 3080万円
鈴鹿工業高等専門学校 1,452.61 3756万余円
呉工業高等専門学校 590.77 2634万余円
大島商船高等専門学校 5,216.00 7823万余円
香川高等専門学校 7,606.00 2億3723万余円
久留米工業高等専門学校 220.00 1768万余円
有明工業高等専門学校 3,225.44 8297万余円
佐世保工業高等専門学校 1,452.24 6878万余円
都城工業高等専門学校 439.36 986万余円
沖縄工業高等専門学校 927.00 2402万余円
42,969.15 13億7880万余円

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例2>

有明工業高等専門学校が管理する土地のうち、福岡県大牟田市に所在する正山10番宿舎の跡地は、平成19年3月に宿舎が利用されなくなり、その後、22年3月に老朽化により宿舎が取り壊されて更地(面積284.39㎡、帳簿価額1763万余円)となっていた。

しかし、同校は、25年3月31日現在、具体的な処分計画又は施設整備等の利用計画を策定しておらず、当該土地を更地のまま保有していて有効に利用していなかった。

(改善を必要とする事態)

3独立行政法人において、業務を確実に実施するために必要であるとして国等から承継した土地が有効に利用されておらず、これらの土地について具体的な処分計画又は利用計画を策定しないまま保有していたり、労働者健康福祉機構において、資産処分収入を労災病院の増改築等に有効活用するなどの具体的な利用計画を定めないまま保有していたりしていて、通則法の改正の趣旨及び基本方針にのっとっていないなどの事態は適切とは認められず、改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、3独立行政法人において、それぞれ次のことなどによると認められる。

(1) のぞみの園

有効に利用されていない土地について、自主的な見直しを不断に行うなどの体制が十分に整備されていないこと、有効に利用されていない土地についての不断の見直しや具体的な処分計画又は利用計画を策定することについての理解が十分でないこと

(2) 労働者健康福祉機構

  • ア 7労災病院において、有効に利用されていない土地について、不断の見直しや具体的な処分計画又は利用計画を策定することについての理解が十分でないこと
  • イ 本部において、7労災病院における土地のような有効に利用されていない土地について、各労災病院が管理する土地の利用状況等を定期的に把握して自主的な見直しを不断に行うなどの体制が十分に機能していないこと
  • ウ 本部において、資産処分収入について、労災病院の増改築等に係る施設整備計画における財源としての具体的な利用計画を定めることなどについての理解が十分でないこと

(3) 国立高等専門学校機構

  • ア 17高専において、有効に利用されていない土地について、不断の見直しや具体的な処分計画又は利用計画を策定することについての理解が十分でないこと
  • イ 本部において、17高専における土地のような有効に利用されていない土地について、各高専が管理する土地の利用状況等を定期的に把握して自主的な見直しを不断に行うなどの体制が整備されていないこと

3 本院が要求する改善の処置

3独立行政法人が保有している土地はそのほとんどが独立行政法人化に伴って国等から政府出資見合いの資産として承継した資産であり、労働者健康福祉機構における資産処分収入で得た資金は承継した資産を処分して得られた資産である。したがって、有効に利用されていない資産については、具体的な処分計画又は利用計画を策定し、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなった資産については国庫納付等の処分を着実に行うことが必要である。

ついては、3独立行政法人において、有効に利用されていない土地の処分又は利用及び資産処分収入の有効活用を図るために、次のとおり改善の処置を要求する。

(1) のぞみの園

有効に利用されていない土地について、処分又は利用を図るために自主的な見直しを不断に行うための体制を整備するとともに、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる場合には、国庫納付等の具体的な処分計画を策定し、必要があると認められる場合には、施設整備等の具体的な利用計画を策定すること

(2) 労働者健康福祉機構

  • ア 7労災病院に対して、有効に利用されていない土地について、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる場合には、国庫納付等の具体的な処分計画を策定させ、必要があると認められる場合には、施設整備等の具体的な利用計画を策定させること
  • イ 今後同種の事態が発生しないように、各労災病院の土地の利用状況等を定期的に把握して、自主的な見直しを不断に行うための体制を充実強化すること
  • ウ 7労災病院を含む全労災病院に対して、今後、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる資産が生じた場合等には、アと同様の処置を速やかに講ずることの必要性について周知徹底を図ること
  • エ 資産処分収入について、施設整備計画における財源を見直して、労災病院に係る増改築工事等の費用に充てられるよう具体的な利用計画等を定めること

(3) 国立高等専門学校機構

  • ア 17高専に対して、有効に利用されていない土地について、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる場合には、国庫納付等の具体的な処分計画を策定させ、必要があると認められる場合には、施設整備等の具体的な利用計画を策定させること
  • イ 今後同種の事態が発生しないように、各高専の土地の利用状況等を定期的に把握して、自主的な見直しを不断に行うための体制を整備すること
  • ウ 17高専を含む全高専に対して、今後、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる資産が生じた場合等には、アと同様の処置を速やかに講ずることの必要性について周知徹底を図ること