国立大学法人東京大学(以下「東京大学」という。)は、教育研究等の業務を確実に実施するために必要であるとして、国から土地や建物を承継している。しかし、具体的な処分計画又は利用計画等を策定しないまま、利用していない土地を保有しているなどの事態が見受けられた。
したがって、東京大学において、利用していない土地等について、今後も引き続き保有することに合理的な理由が存在するか否かを検討して、保有することに合理的な理由が存在しない場合には、具体的な売却等の処分計画を策定し、合理的な理由が存在する場合には、具体的な利用計画等を策定するなどして、当該資産の有効活用を図るよう、国立大学法人東京大学学長に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、東京大学において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、東京大学は、本院指摘の趣旨に沿い、役員会において、利用していない土地等について、今後も引き続き保有する合理的な理由の有無や保有する場合の具体的な利用方法等の検討を行っていた。そして、24年4月に具体的な利用計画等を策定し、25年5月までに土地の利用を開始するなどして、有効活用を図る処置を講じていた。