ページトップ
  • 平成24年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第80 西日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

サポートサービスの販売手数料について、契約の継続状況の実態を把握して適切に見直すよう改善させたもの


科目
営業費用
部局等
西日本電信電話株式会社本社
販売手数料の概要
サポートサービスの契約の取次実績に応じて支払う手数料
契約の相手方
テルウェル西日本株式会社等7会社
販売手数料の支払額
2億6459万余円(平成23、24両年度)
節減できた販売手数料
1億3229万円(平成23、24両年度)

1 販売手数料等の概要

(1) 営業業務委託契約の概要

西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)は、中小事業所向けに行う情報通信機器等の販売、各種保守サービスの提供等の取次業務を委託するために、毎年度、NTT西日本が指定する営業地域ごとに、テルウェル西日本株式会社(以下「テルウェル西日本」という。)及び株式会社NTT西日本—関西等8会社(注1)(以下、これらの8会社を「8地域会社」といい、テルウェル西日本と合わせて「9委託会社」という。)と営業業務委託契約をそれぞれ締結している。そして、これらの契約に基づく委託費には、取次業務の拠点となる営業所の運営に要する固定費のほか、NTT西日本が販売した情報通信機器に関する各種保守サービス等の契約の取次実績に応じて支払う販売手数料が含まれている。

注(1)
8会社  株式会社NTT西日本—関西、株式会社NTT西日本—みやこ、株式会社NTT西日本—兵庫、株式会社NTT西日本—東海、株式会社NTT西日本—北陸、株式会社NTT西日本—中国、株式会社NTT西日本—四国、株式会社NTT西日本—九州

(2) サポートサービス等の概要

NTT西日本は、上記各種保守サービスの一つとして、販売した情報通信機器に関する設定方法、取扱方法等について電話による相談に応じたり、顧客のパソコンの操作支援を遠隔操作で行ったりする「オフィスネットおまかせサポートサービス」(以下「サポートサービス」という。)を平成22年9月から提供している。そして、サポートサービスの契約をNTT西日本と締結した顧客は、サポートサービスを受けるパソコンの台数に応じて利用料(月額3,900円〜82,000円)をNTT西日本に支払うこととなっている。なお、サポートサービスの新規契約者は、申出により契約後3か月間の利用料の支払が免除されることになっている。

一方、NTT西日本は、営業業務委託契約に基づき、9委託会社がサポートサービスの契約を獲得するごとに、獲得した契約に係る利用料の12か月分に相当する額を販売手数料として9委託会社に一括して支払うこととしている。これは、顧客の事業所を訪問して故障修理及び設定サポートを行う類似のサービスの提供を取り次ぐ委託契約において、利用料の12か月分に相当する額を販売手数料として支払うことにしていることから、これに準じたことによるとしている。そして、NTT西日本は、全33支店(注2)管内における9委託会社に対する販売手数料として、23年度は1億5246万余円、24年度は2億5953万余円、計4億1200万余円を支払っている。

注(2)
全33支店  大阪、大阪東、大阪南、和歌山、京都、奈良、滋賀、兵庫、名古屋、静岡、岐阜、三重、金沢、富山、福井、広島、島根、岡山、鳥取、山口、愛媛、香川、徳島、高知、福岡、北九州、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島、宮崎、沖縄各支店

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

NTT西日本は、上記のとおり、営業業務委託契約に基づき、毎年度多額の販売手数料を9委託会社に支払っている。そこで、本院は、経済性等の観点から、サポートサービスの販売手数料は適切な額に設定されているかなどに着眼して、NTT西日本本社及び17支店(注3)において、テルウェル西日本及び株式会社NTT西日本—関西等6会社(注4)(以下、テルウェル西日本とこれらの6会社を合わせて「7委託会社」という。)が23、24両年度に獲得したサポートサービスの契約に対して支払われた販売手数料を対象として、契約関係資料の内容を確認するなどして会計実地検査を行った。

注(3)
17支店  大阪、大阪東、大阪南、和歌山、京都、奈良、名古屋、三重、広島、山口、愛媛、香川、徳島、福岡、佐賀、長崎、宮崎各支店
注(4)
6会社  株式会社NTT西日本—関西、株式会社NTT西日本—みやこ、株式会社NTT西日本—東海、株式会社NTT西日本—中国、株式会社NTT西日本—四国、株式会社NTT西日本—九州
(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

NTT西日本は、23、24両年度に、17支店管内で7委託会社がサポートサービスの契約を計3,827件(23年度1,212件、24年度2,615件)獲得したことに対する販売手数料として、計2億6459万余円(23年度9081万余円、24年度1億7377万余円)を支払っていた。

しかし、7委託会社が23、24両年度に獲得した上記3,827件の契約の継続状況をみると、24年度末の時点で全契約の56%に当たる2,169件(23年度864件、24年度1,305件)が12か月以内に解約されており、全契約の52%に当たる2,019件(23年度750件、24年度1,269件)が6か月以内に解約されていた。

さらに、契約締結後12か月を超えた契約の継続状況を把握するために、7委託会社が23年度中に獲得した1,212件の契約について24年度末における継続状況をみたところ、12か月を超えて継続していた契約は、全契約の3割足らずの348件にすぎなかった。そして、23年度に獲得した契約の24年度末の時点の無料期間を除いた平均継続契約期間は6か月となっていた。

このように、NTT西日本において、サポートサービスの契約の多くが12か月以内で解約されているのに、その実態に応じた額とすることなく、利用料の12か月分に相当する額の販売手数料を支払っている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(節減できた販売手数料)

前記のとおり、23年度に獲得した契約の無料期間を除いた平均継続契約期間が6か月であったことなどを考慮して、販売手数料を利用料の6か月分に相当する額にしたとして23、24両年度の7委託会社に係る販売手数料の支払額を試算すると、23年度4540万余円、24年度8688万余円、計1億3229万余円となり、前記の支払額計2億6459万余円との差額1億3229万余円が節減できたと認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、本社において、契約の継続状況を把握してサポートサービスの販売手数料の額を適時適切に見直していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、NTT西日本は、契約の継続状況について実態調査を行い、その結果を踏まえて販売手数料の額を適切に見直していくこととして、テルウェル西日本については、25年3月に、同年4月以降の販売手数料を利用料の6か月分に相当する額とする営業業務委託契約を締結するとともに、8地域会社については、同年10月以降、サポートサービスの提供の取次業務を含む営業業務を別会社に委託することとし、同月に、当該別会社との間で、販売手数料を利用料の6か月分に相当する額とする営業業務委託契約を締結する処置を講じた。