法務省は、東日本大震災における刑務所、少年刑務所及び拘置所の刑事施設、少年院及び少年鑑別所(以下、これらを合わせて「刑事施設等」という。)の被災状況等を踏まえて、防災用物品を整備することとしている。そして、各刑事施設等は、防災用物品の調達の一環として、災害時にガス、電気等の供給が途絶えるなどした場合に、職員及び被収容者の非常食の加熱、湯茶の給与等に使用する湯を沸かすなどのために、防災用移動式炊事機器(以下「炊事機器」という。)を調達して、刑事施設等の本庁、管下の刑務支所、拘置支所等に配置している(以下、炊事機器が配置される箇所を「整備箇所」という。)。しかし、整備箇所において、炊事機器の能力、災害時に炊事機器を使用して調理した食糧等を給与する対象として想定される人員等に照らして、炊事機器の調達台数が過大となっている事態が見受けられた。
したがって、法務省において、整備箇所に配置する炊事機器の台数を施設の規模等に応じたものとすることにより、災害時に必要とされる施設において有効に活用されるよう、炊事機器の配置について、整備箇所の職員定員、被収容者の収容定員等を考慮して十分に検討を行い、他の整備箇所への管理換等の方針を策定するよう、法務大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求した。
本院は、法務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、法務省は、本院指摘の趣旨に沿い、整備箇所に配置する炊事機器の台数を施設の規模等に応じたものとすることにより、災害時に必要とされる施設において有効に活用されるよう、炊事機器の配置について、整備箇所の職員定員、被収容者の収容定員等を考慮して検討を行い、26年7月に、他の整備箇所への管理換の方針を策定する処置を講じていた。