各省各庁の長は、一般会計の歳入歳出決算に添付される「国の債務に関する計算書」及び特別会計の歳入歳出決算に添付される「債務に関する計算書」(以下、これらを合わせて「計算書」という。)を各省各庁の支出負担行為担当官の報告書に基づき作成している。そして、債務には、複数年度にわたって国が支出の義務を負担する国庫債務負担行為があり、原則として、財務省会計センターが管理している官庁会計システム(以下「システム」という。)に必要な情報を入力することにより、国庫債務負担行為に係る債務の発生又は消滅が計上される。しかし、財務本省等における平成21年度から23年度までの年度末の国庫債務負担行為に係る債務額について、必要な情報の入力漏れなどに起因する計算書の誤びゅうが見受けられた。
したがって、財務省において、各府省の本府省がその所管する各官署の支出負担行為担当官の負担した債務額を確認するためなどの方策を検討したり、国庫債務負担行為と支出負担行為及び支出とを関連付ける入力(以下「関連付け」という。)の漏れを防止するための方策について検討したり、システムの操作方法等について担当者に周知徹底を図ったり、各府省に対して国庫債務負担行為に関するデータ入力の一覧表と契約書等の関係資料とを確実に対照するなどして計算書に正確な計数が計上されていることの確認を求めるなど、債務の計数の確認体制を充実させたりするよう、財務大臣に対して25年7月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、財務本省等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、財務省は、本院指摘の趣旨に沿い、26年5月までに次のような処置を講じていた。
ア 各府省の本府省がその所管する各官署の支出負担行為担当官の負担した債務額を確認するためなどの機能をシステムに追加した。
イ 関連付けの漏れを防止するための機能をシステムに追加するなどした。
ウ 各府省の担当者に対して、システムの操作方法等について、説明会を実施するなどして周知徹底を図った。
エ 各府省に対して通達等を発して、システムに追加した機能により出力した情報に基づき計算書に正確な計数が計上されていることの確認を求めるなどして、債務の計数の確認体制を充実させた。