文部科学省は、環境教育への積極的な取組を推進するために、公立の義務教育諸学校等(以下「公立学校」という。)に太陽光発電設備を設置する地方公共団体(以下「事業主体」という。)に対して交付金を交付している。しかし、公立学校に設置された太陽光発電設備が授業や特別活動等で十分に活用されていないなど環境教育への活用が低調となっている事態や、災害時の非常用電源としての使用方法が災害による危険等発生時において学校の職員がとるべき措置の具体的内容及び手順を定めた危険等発生時対処要領(以下「学校防災マニュアル等」という。)に記載されておらず、災害時での使用が困難となり得る事態が見受けられた。
したがって、文部科学省において、事業主体に対して、環境教育における太陽光発電の導入の意義及び効果や新たに太陽光発電設備を導入する場合に環境教育への活用方法を事前に検討することの重要性を周知し、環境教育への活用を一層促すとともに、災害時の非常用電源としての使用方法を学校防災マニュアル等に記載することなどについて必要な指導を行うよう、文部科学大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、25年11月及び26年4月に通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。
ア 事業主体に対して、環境教育における太陽光発電の導入の意義及び効果や新たに太陽光発電設備を導入する場合に環境教育への活用方法を事前に検討することを周知して、環境教育への活用を促した。
イ 事業主体に対して、太陽光発電設備のうち停電時でも使用可能な機能を有するものについて、学校防災マニュアル等に非常用電源としての使用方法を記載することなどの指導を行った。