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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第9 厚生労働省 |
  • 平成24年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(8)社会福祉法人が経営する特別養護老人ホームの積立金等について


平成24年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

厚生労働省は、社会福祉法人が経営する特別養護老人ホーム(以下「特養ホーム」という。)に対して市町村が支払った介護給付費及び介護保険制度の実施前において必要な介護を居宅で受けることが困難な高齢者を市町村が特養ホームに入所させる場合の養護に係る費用(以下「措置費」という。)について、その一部を負担している。そして、特養ホームが安定的な経営を継続して行っていくためには、特定の目的の支出に備えるための積立金(以下「目的積立金」という。)を計画的に積み立てるとともに、財務状況の透明性の向上を図っていくことが重要となっている。しかし、多数の特養ホームにおいて、多額の次期繰越活動収支差額等があるのに、将来の施設の改修等に備えた目的積立金を貸借対照表に計上していなかったり、措置費の残余である移行時特別積立預金(以下「特別積立預金」という。)と移行時特別積立金(以下「特別積立金」という。)との間に開差が生じていたりなどしている事態が見受けられた。

したがって、厚生労働省において、特養ホームにおける将来の施設の改修等に備えた目的積立金の積立てを計画的に行うよう指導したり、特別積立預金に見合う金額を特別積立金として経理させるとともに、保有している特別積立預金を有効に活用するための具体的な使途等を改めて検討させるよう指導したりすることについて、都道府県等に対する技術的助言等を行うよう、厚生労働大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、26年6月に都道府県等に対して通知を発して、特養ホームの財務状況の透明性の向上が図られるよう、次のような処置を講じていた。

ア 特養ホームにおいて次期繰越活動収支差額に余剰が生ずる場合には、施設整備等積立金等の目的積立金の計画的な積立てに努めるよう指導することについて技術的助言等を行った。

イ 特養ホームにおいて特別積立預金の額が特別積立金の額を下回る場合には、適切な手続を経て特別積立金を特別積立預金と同額まで取り崩すよう指導するとともに、特別積立預金を保有している場合には、これを有効に活用するための具体的な使途等を検討するよう指導することについて技術的助言等を行った。