厚生労働省は、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金等(以下「整備交付金」という。)を市町村に交付して、介護保険の被保険者であって常時介護が必要な状態にあると認められた者等(以下「要介護者等」という。)に対して地域密着型サービスを提供する認知症対応型通所介護事業所及び小規模多機能型居宅介護事業所(以下、両者を合わせて「地域密着型施設」という。)の整備を行っている。しかし、サービスの需要が的確に把握されていなかったり、サービス利用上の問題があったりなどしていたため、事業所が全く利用されていなかったり、利用が低調となっていたりしていて、事業効果が十分発現していない事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、サービスの需要を的確に把握することの必要性について、都道府県を通じるなどして市町村に周知するとともに、整備交付金の交付申請の審査等に当たり需要の有無等の把握を的確に行ったかについて十分確認するよう都道府県等に周知し、また、都道府県を通じるなどして、市町村において地域密着型施設の整備後の利用状況を的確に把握して事業効果の発現のための取組について事業所を指導するとともに、地域密着型施設が提供するサービスの機能や特徴等について要介護者等に対する周知等を十分に行うための指導や助言を行うよう、厚生労働大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 26年2月に開催した都道府県担当課長会議及び同年4月に発した事務連絡において、整備交付金の交付申請に当たり、サービスの需要を的確に把握することの必要性について、都道府県を通じるなどして市町村に周知するとともに、交付申請の審査等に当たり、需要の有無等の把握を的確に行ったかについて十分に確認するよう都道府県等に周知した。
イ アの都道府県担当課長会議において、利用が低調等となっている地域密着型施設が所在する管内の市町村に対して、当該施設の整備後の利用状況を的確に把握してフォローアップを行うなど事業効果の発現のための取組について事業所を指導するとともに、地域密着型施設が提供するサービスの機能や特徴等について要介護者等に対する周知等を十分に行うよう指導や助言を行うことについて、都道府県に周知した。