農林水産省は、倉庫業務の終了により平成22年10月までに用途廃止された旧政府倉庫等の処分について、財務局長等への事務委任に先立って、地方公共団体に対する購入等の意思の確認(以下「公的要望の確認」という。)等を地方農政局長に行わせることとしている。しかし、11倉庫等について、地方農政局において公的要望の確認等に長期間を要していたり、処分に向けての計画の策定や処分手続が適時適切に行われていなかったり、農林水産本省において統一的な進行管理等が適切に行われていなかったりなどしていて、倉庫業務を終了してから長期間が経過しているのに処分が完了していなかったり、処分手続が順調に進捗していなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、地方農政局において旧政府倉庫等の処分に向けた具体的かつ詳細な計画を策定し、これに基づき農林水産本省において統一的な進行管理及び地方農政局に対する指導等を行ったり、地方農政局において建物等存置のままでは土地の売払いが困難な場合等の建物等の取壊し等を計画的、効率的に行ったり、公的要望の確認及び地方公共団体等との売払いなどに向けた協議等に具体的な期限を設定したりなどするよう、農林水産大臣に対して25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、農林水産本省及び地方農政局において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 25年9月に、食料安定供給特別会計(食糧管理勘定及び業務勘定)所属普通財産の取扱要領(以下「取扱要領」という。)を改正して、これに基づいて各地方農政局において、旧政府倉庫等の処分に向けての具体的かつ詳細な計画を同年10月までに策定した。
イ 農林水産本省において、取扱要領に基づき各地方農政局から定期的に提出されるアの計画に基づいた統一的な進行管理を行うとともに、各地方農政局に対して指導等を行った。
ウ 旧政府倉庫等の処分に当たって必要となる建物等の取壊し等については、各地方農政局において、農林水産本省と協議しつつ11倉庫等について検討を行い、このうち2倉庫について取り壊した上で売却等を行うこととする計画を25年10月までに決定した。
エ 各地方農政局における公的要望の確認及び地方公共団体等との売払いなどに向けた協議等に際して、取扱要領に基づき、あらかじめ地方公共団体等との間で目標期限の設定等を行った。