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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第10 農林水産省 |
  • 平成24年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5)鳥獣被害防止総合支援事業等における費用対効果分析について


平成24年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、鳥獣被害防止総合支援事業等を実施する事業主体に補助金等を交付する都道府県に対して交付金を交付している。そして、鳥獣被害防止総合対策交付金実施要綱等(以下「実施要綱等」という。)に基づき、事業主体が鳥獣による被害を防止するための侵入防止柵の設置等の整備事業を実施する場合には、当該事業主体において費用対効果分析を行うこととなっている。しかし、費用対効果分析の実施に当たり、年効果額の算定の基礎となる被害状況を示す根拠が明確でなかったり、事業主体全体を一つの単位として投資効率を算定していて地区単位で投資効率を試算すると妥当投資額が総事業費を下回る地区が多数あったり、直営施工により侵入防止柵を設置する場合の総事業費に労務費等を加えないで投資効率を算定したりしている事態が見受けられた。

したがって、農林水産省において、実施要綱等により、被害状況の適切な調査方法及び根拠資料の保存期間を示したり、原則として集落等の地区を単位として投資効率を算定するよう明確に示したりするとともに、都道府県に対して、実施要綱等の内容及び直営施工により侵入防止柵を設置する場合の総事業費に労務費等を加えることについて、事業主体に対する周知徹底を図ること及び費用対効果分析の内容等について十分に精査することを指導するよう、農林水産大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 26年2月に鳥獣被害防止総合対策交付金実施要領等(以下「実施要領等」という。)を改正して、被害状況をほ場単位や農家単位等で把握した上で現地確認等の調査又は農業共済組合等第三者の有するデータに基づく客観的な数値等を活用することとするとともに、年効果額の算定に用いる数値の根拠資料を、事業終了の年度の翌年度から起算して5年間整理保管しておくこととし、投資効率の算定の単位については、原則として、集落等の地区を単位とすることとした。

イ 都道府県に対して、26年2月に、実施要領等の内容及び直営施工により侵入防止柵を設置する場合の総事業費に労務費等を加えることについて、事業主体に対して周知徹底を図るよう指導するとともに、事業主体による費用対効果分析の内容等について十分精査するよう指導した。