エネルギー対策特別会計の周辺地域整備資金(以下「整備資金」という。)は、原子力発電施設等の設置を円滑に進めるための電源立地地域対策交付金の一部に対応できるようあらかじめ資金として積み立てることにされたものである。しかし、原子力発電所の事故等により、原子力発電施設の着工までには今後も長期間を要し、整備資金に係る需要が増大する時期についても更に遅れることが見込まれるにもかかわらず、当面需要が見込まれない多額の資金が滞留しているなどの事態が見受けられた。
したがって、経済産業省において、整備資金の積立ての対象とされている14基の原子力発電施設のうち、当面の間は、着工済み3基のみを対象にするなどして、資金残高の規模を縮減させるとともに、エネルギー基本計画の見直しなどを踏まえて、今後整備資金に係る需要額の算定が必要になる場合には、原子炉設置許可申請を着工の確実性の指標にするなどして需要額の算定対象とする原子力発電施設を選定することにより積立目標額の規模を見直すなどして、当面需要が見込まれない資金を滞留させないような方策を検討するよう、経済産業大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、資源エネルギー庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、同庁は、本院指摘の趣旨に沿い、整備資金について、平成24年度予算においては49億円を、平成25年度予算においては66億6672万余円を、平成26年度予算においては200億7487万余円をそれぞれ取り崩して資金残高の規模を縮減することとする処置を講じていた。なお、資金残高は25年度末で526億7411万余円となっている。
そして、同庁は、資金を滞留させないような方策について、26年9月末現在、今後のエネルギー政策の状況等を踏まえて適切に判断していくとしているが、本院指摘の趣旨に沿った方策の検討には至っていない。