中小企業庁は、資金繰りに支障が生じている中小企業者への資金供給を円滑にするために、社団法人全国信用保証協会連合会(平成25年4月以降は一般社団法人全国信用保証協会連合会。以下「連合会」という。)に対して補助金を交付し、連合会は、これを財源として、信用保証協会(以下「協会」という。)の収支悪化等により、中小企業者からの信用保証の引受けに支障が生ずる事態を避けるために、各協会の収支差額変動準備金の状況を基に、財政基盤の強化が必要と思われる協会に対して無利子による貸付けを実施している。しかし、貸付けを受けた32協会は地方公共団体からの出えん金等から成る基金と基金準備金(以下、これらを合わせて「基本財産」という。)を十分保有しているのに、連合会はこれを考慮することなく貸付けを実施したり、貸付けの必要性や必要額を見直すことなく貸し続けたりしている事態が見受けられた。
したがって、中小企業庁において、各協会の収支差額変動準備金の状況に加えて、基本財産の額及び基本財産に一定の倍数を乗じた最高限度額に対する保証債務残高の割合(以下「保証消化率」という。)を考慮して、貸付けの対象となる協会を選定し貸付金額を設定したり、貸付期間中でも貸付けの必要性を見直せるように金銭消費貸借契約の内容を見直したり、連合会に償還され不要と認められる貸付金を毎年度多額の資金が投入されている損失補償金の出えんに必要となる資金に充当することとしたりなどするよう、経済産業大臣に対して25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、中小企業庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、中小企業庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。