国土交通省は、港湾法(昭和25年法律第218号)等に基づき、直轄事業、補助事業等により港湾施設を整備しており、直轄事業で整備するなどした港湾施設(以下「国有港湾施設」という。)については、港湾管理者に管理の委託等をしなければならないこととなっている。しかし、国有港湾施設の管理委託契約及び維持管理計画書について、財政上の問題が生ずることなどの理由から港湾管理者との協議が継続している状況となっていて締結や引渡しなどに至っていなかったり、港湾管理者において維持管理計画書に基づく維持管理が行われていなかったりしている事態や、国有港湾施設が原状又は用途を変更して利用されるなどしているのに同法及び管理委託契約に基づく管理手続が的確に行われていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、予防保全の重要性を港湾管理者に対して周知徹底するとともに、港湾管理者が港湾施設ごとに優先順位を設けた上で計画的に維持工事等の取組を行うことができるようにしたり、直轄事業で計画的な改良工事を実施したりするなどの取組をより推進し、改めて港湾管理者との間で必要な協議等を実施するよう各地方整備局等を指導し、また、各港湾管理者の維持管理状況等に関する監査をより的確に行い、必要に応じて港湾管理者に対して的確な報告を求めたり、必要な指示を行ったりするよう各地方整備局等を指導するとともに、必要な手続がとられていない国有港湾施設については、港湾管理者に必要な報告を求めるなどするよう、国土交通大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示し、並びに同法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、25年12月に各地方整備局等に対して事務連絡を発するなどして、次のような処置を講じていた。