海上自衛隊は、潜水艦用ディーゼル機関に使用されている連接棒大端部軸受(以下「軸受」という。)が摩耗限度等に関する交換基準に達している場合等に、これを製造請負契約等により調達するなどしている。しかし、海上自衛隊において、納入された軸受が仕様書等に適合していなかったことを軸受の損傷事故に係る調査報告書等により把握することができたにもかかわらず、その事実を看過して、瑕疵や損害の有無等について十分に調査及び検証を行っていなかった事態が見受けられた。
したがって、海上幕僚監部において、〔1〕 海上自衛隊が締結した契約32件について、仕様書等に適合していない軸受を特定するなどして事実関係の確認を行うとともに、当該軸受が早期に交換基準に達していた場合等における損害を十分調査するなどした上で、契約条項等を踏まえて川崎重工業株式会社(以下「川崎重工」という。)と代金の減額等について協議を行ったり、〔2〕 装備施設本部が締結した契約4件に係る軸受について、上記と同様に事実関係の確認等を行った上で、契約事務を行った同本部に対して当該事態を報告して今後の処理について調整したり、〔3〕 物品管理官等に通知を発するなどして、仕様書等に適合していない物品が納入されていた事態が判明した場合は、瑕疵、損害等の有無について迅速かつ適切に調査及び検証を行って契約の適正な履行の確保を図ることの重要性等について更なる周知徹底を図ったりするよう、防衛省海上幕僚長に対して平成25年3月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、海上幕僚監部等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、海上幕僚監部は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。