防衛省は、防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和27年法律第266号)等に基づき、自衛官等が公務又は通勤によらない負傷や疾病により部外の医療機関において診療を受けた場合に療養の給付等に係る診療委託費を負担しているが、交通事故等の第三者による行為(以下「第三者行為」という。)によって生じた療養の給付等については、国は療養の給付等に要した価額の限度で加害者に対する損害賠償請求権を取得することになっている。しかし、陸上、海上、航空各自衛隊(以下「各自衛隊」という。)において、高額療養費等の適用を受けた自衛官等に係る診療委託費について、負傷の原因が第三者行為に該当するかどうか確認及び検討を行った結果を記録して保存する仕組みが整備されていない事態や、陸上、海上両自衛隊において、療養の給付等を受けた自衛官等や療養実施担当者が必要な事務手続をとっていなかったり、国の債権に係る債権発生通知義務者が第三者行為に係る損害賠償請求権の発生を遅滞なく歳入徴収官に通知していなかったりしていて、歳入徴収官が適時適切な債権管理を行うことができないなどの事態が見受けられた。
したがって、防衛省において、各自衛隊に対して、高額療養費等の適用を受けた負傷の原因が第三者行為に該当するかどうか確認及び検討を行った結果を記録して保存する仕組みを整備させたり、陸上、海上両自衛隊に対して、第三者行為によって生じた療養の給付等について、療養の給付等を受けた自衛官等及び療養実施担当者が行う事務手続を周知徹底するとともに、債権発生通知義務者は金額が未確定であっても遅滞なく歳入徴収官等に通知するよう周知徹底したり、陸上自衛隊に対して、療養の給付等が第三者行為によって生じた場合の事務処理要領等を定めさせたりするよう、防衛大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、防衛省内部部局、陸上幕僚監部等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、防衛省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。