1 本院が要求した改善の処置
東日本高速道路株式会社(以下「東会社」という。)、中日本高速道路株式会社(以下「中会社」という。)、西日本高速道路株式会社(以下「西会社」という。)、本州四国連絡高速道路株式会社(以下「本四会社」という。)、首都高速道路株式会社及び阪神高速道路株式会社(以下「阪神会社」という。また、以下、これらの会社を総称して「6会社」という。)は、高速道路を常時良好な状態に保つように維持、修繕その他の管理を行っている。しかし、一般道路と高速道路本線との間で流出入したり高速道路本線間を連絡したりするために高速道路本線を横断する橋りょう(以下「高速連絡橋」という。)について、点検要領で定められた頻度で詳細点検を実施していなかったり、耐震補強対策を執っていなかったりしている事態、また、高速道路の新設に当たり高速道路本線と立体交差させて付け替えるなどした国、地方公共団体等が管理するこ道橋について、管理協定を一部において管理者と締結していなかったり、管理者が実施している点検状況、コンクリート片等剥落対策や耐震補強対策の実施状況の把握、情報共有等が十分でなかったり、近接目視、打音等の方法による点検の実施を管理者に促すことができていなかったり、使用状況の把握が十分でなかったりなどしている事態が見受けられた。
したがって、6会社の代表取締役社長に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により、次のとおり改善の処置を要求した。
ア 高速連絡橋について
- (ア)西会社において、詳細点検を実施することの重要性を十分理解して、確実に実施していくこと
- (イ)東会社及び西会社において、耐震補強対策を実施することの重要性を十分理解して、早期に完了すること
イ こ道橋について
- (ア)6会社において、管理協定の締結に向けた協議を早急に開始等したり、こ道橋の管理者が実施している点検状況を的確に把握して情報共有し、近接目視、打音等の方法による点検の実施を促すことにより、今後のこ道橋の維持管理が適切なものとなるよう連絡体制の構築に向けた取組を早急に講じたり、点検状況を情報共有することにより損傷状況等を的確に把握して、長寿命化計画の対象となっているこ道橋のみならず対象外となっているこ道橋についても適切な時期にコンクリート片等剥落対策を実施するよう管理者に求めたりすること
- (イ)東会社、中会社、西会社、本四会社及び阪神会社において、耐震補強対策の実施状況を的確に把握して、できるだけ早期に耐震性能の検討を行うなどして耐震補強対策を完了するよう管理者に求めること
- (ウ)東会社、中会社及び西会社において、使用状況を的確に把握して、使用される見込みがなく不要なこ道橋をできるだけ早期に撤去するよう管理者に求めること
2 当局が講じた処置
本院は、6会社の本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、6会社は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 高速連絡橋について
- (ア)西会社は、詳細点検を実施していなかった高速連絡橋について、25年11月に詳細点検を完了して損傷等がないことを確認した。
- (イ)東会社は、耐震性能の検討を行っていなかった高速連絡橋について、26年6月に検討を行い、耐震補強対策の必要がないことを確認した。また、西会社は、耐震性能の検討を行っていなかった高速連絡橋のうち、一部の高速連絡橋については25年12月に撤去するなどし、残りの高速連絡橋についても耐震性能の照査を行って、耐震補強対策が必要と認められたものは26年8月までに着手して同年11月までに完了することとした。
イ こ道橋について
- (ア)6会社は、各会社と各管理者を構成員とする「高速道路を跨ぐ橋梁の維持管理に関する連絡協議会」(以下「連絡協議会」という。)等を都道府県等ごとに設置し、25年10月から26年7月までの間に開催して、管理協定の締結に向けた協議を開始等したり、連絡協議会等において管理者が実施している点検状況を把握して情報共有し、近接目視、打音等の方法による点検の実施を促すなどの連絡体制を構築したり、連絡協議会等において点検状況を情報共有することにより損傷状況等を把握して、長寿命化計画の対象のこ道橋及び対象外のこ道橋のいずれについても適切な時期にコンクリート片等剥落対策を実施するよう管理者に求めたりした。
- (イ)東会社、中会社、西会社、本四会社及び阪神会社は、連絡協議会等において、耐震補強対策の実施状況を把握して、早期に耐震性能の検討を行うなどして対策を完了するよう管理者に求めた。
- (ウ)東会社、中会社及び西会社は、連絡協議会等において、使用状況を把握して、使用される見込みがなく不要なこ道橋を早期に撤去するよう管理者に求めた。