独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)は、我が国における優秀なスポーツ選手及びその指導者等が行う日常のスポーツ活動(以下「日常スポーツ活動」という。)に対して助成金を交付している。しかし、指導者等と担当選手との指導等の関係を適切に把握しておらず助成対象活動の要件に合致しているかなどの交付決定時の審査が十分に行われていなかったり、助成金を交付しているスポーツ選手及びその指導者等(以下「助成活動者」という。)に対する調査等の権限を活用して証拠書類の提出を求めておらず、額の確定時の審査が十分に行われていなかったりする事態が見受けられた。
したがって、センターにおいて、活動計画書等に指導者等と担当選手との指導等の関係の把握に必要な情報を記載させるなどして交付決定時の審査を適切に行うこと、交付要綱等を改めるなどして指導者等の活動範囲を明確に規定すること、助成活動者に対する調査等の権限を活用するなどして額の確定時の審査を適切に行うこと及び手引等の記載内容を改めるなどして証拠書類の保存義務を助成活動者に周知徹底することにより、助成金の交付の適正性が確保されるよう、独立行政法人日本スポーツ振興センター理事長に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、センター本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、センターは、本院の指摘を踏まえて検討し、26年2月に交付要綱等を改正して、日常スポーツ活動に対する助成を廃止していた。