独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、平成19年度から地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)融資事業等として、中小企業の経営の革新を支援するなどの助成事業(以下「ファンド事業」という。)の財源となる基金を造成する44都道府県に対して、その資金の一部を償還期限を10年以内として無利子で貸し付けている。しかし、基金の規模がファンド事業の実績に見合っていない基金が見受けられる状況となっているのに、機構において、ファンド事業を実施した期間の運用益等の収入の累計額及び同期間の助成金等の支出の累計額等を用いた収支の状況を適切に把握しておらず(以下、上記の運用益等の累計額を助成金等の累計額等で除した割合を「収支割合」という。)、44都道府県がファンド事業の規模を踏まえて基金の規模を見直していないなどの事態が見受けられた。
したがって、機構において、44都道府県に対して、都道府県は一定事業年度ごとにファンド事業の実績を踏まえて基金の規模を見直すこととされていることなどについて周知徹底を図ったり、基金造成から5年を目途に基金の見直しを行うよう助言したり、必要とされる基金の規模を把握するための指標を設定した上で同指標の状況について毎年度報告させたり、44都道府県が基金の規模を見直すべきかを判断するために参考となる情報を提示したりするよう、独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長に対して25年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。