独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)は、良質で低廉な賃貸住宅の供給を行うことなどを目的として、住宅・都市整備公団が特別借受賃貸住宅制度により借り受けた住宅(以下「借受住宅」という。)の運営を、機構が設立された平成16年7月に承継して実施している。しかし、空き家の解消のために効果的な対策等を講じていなかったり、借受期間を更新する際に住宅所有者と借受料の減額協議を行っていなかったりしていることなどにより借受住宅の運営収支の赤字が多額に上っている事態や、借受住宅の返還後の賃貸住宅の経営のために住宅所有者に適時適切に助言していなかったり、住宅所有者から機構への割賦金の返済を免除する際の適用要件が緩やかになっていたりしていることにより割賦金の回収が適切に行われていない事態が見受けられた。
したがって、機構において、個々の団地の状況等を踏まえた上で、効果的な空き家解消対策等を検討したり、借受期間の更新時に住宅所有者と借受料の減額協議を行ったりして借受住宅の収支の改善に努めるとともに、借受住宅の返還後の住宅所有者による賃貸住宅の円滑な経営に資するよう住宅所有者に適時適切に助言したり、割賦金の返済を免除する際の適用要件を見直したりして割賦金の回収を適切に行うよう、独立行政法人都市再生機構理事長に対して25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本社等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、25年12月に支社等に対して通知を発して、次のような処置を講じていた。