独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「機構」という。)は、社団法人全国社会保険協会連合会等3法人(以下「運営委託法人」という。)に、社会保険料を財源として設置された病院等(以下「社会保険病院等」という。)の運営を委託している。しかし、患者等から診療費の支払がない場合の当該未収金(以下「患者未収金」という。)に係る督促、保全措置及び徴収不能損失処理の事務が適正かつ的確に行われていなかったり、社会保険病院等の運営に係る支出の一部についてその在り方を検討する必要があったり、監査が行われていない状況となっていたりしている事態が見受けられた。
したがって、機構において、社会保険病院等の円滑かつ健全な運営を図るために、患者未収金の督促、保全措置及び徴収不能損失処理の事務並びに社会保険病院等の運営に係る支出の在り方についての方針を検討して、これらの方針を運営委託法人に指示するとともに、病院等の運営を目的として平成26年4月に機構から改組される予定の独立行政法人地域医療機能推進機構(以下「新機構」という。)の運営に反映させるよう、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長に対して25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、患者未収金の督促、保全措置及び徴収不能損失処理の事務並びに社会保険病院等の運営に係る支出の在り方に関する方針を定めた上で、25年10月に運営委託法人に対して通知を発するなどして、運営委託法人の患者未収金の督促事務のマニュアル等に基づき適切な対応を行うよう周知徹底を図るとともに社会保険病院等の運営に係る支出についての基準を示すなどしたり、新機構の会計規程、給与規程等を整備するとともに監査の体制を確立するなどして、機構が定めた上記の方針を新機構の運営に反映させたりする処置を講じていた。