独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)は、民間の金融機関(以下「金融機関」という。)から長期・固定金利の住宅ローン債権(以下「債権」という。)を買い取る証券化支援事業を行っている。しかし、融資実行日から2年以内に、元利金の支払が3か月以上延滞となった債権等(以下「早期延滞案件」という。)や融資金を詐取するなどの不適正な借入れに係る案件(以下「不適正案件」という。)が多数発生している状況の下で、金融機関においては機構から示された申込内容や返済能力等についての有効な審査(以下「融資審査」という。)の方法が十分に実行されておらず、機構において、金融機関に対する十分な働きかけや債権の買取りの可否の判断に当たっての効果的な審査(以下「買取審査」という。)が行われていなかったり、金融機関が十分な融資審査を行うよう動機付ける取組が十分でなかったりする事態が見受けられた。
したがって、機構において、金融機関における融資審査の状況等を十分に把握して、その状況に応じて十分な融資審査を行うよう金融機関に働きかけを行ったり、自ら効果的な買取審査を行ったりするとともに、金融機関による十分な融資審査を動機付けるものとするために、特に重要な審査方法の実行を債権買取りの条件とすることを検討するなどして、金融機関に対して債権の買戻しなどを求める権利がより実効性のあるものとしたり、提示金利に差を設ける仕組みを導入したりして、融資審査が適切に実施されて不適正案件等の発生の未然防止に資するものとなるよう、独立行政法人住宅金融支援機構理事長に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。