独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)は、民間の金融機関から長期・固定金利の住宅ローン債権を買い取るなどする証券化支援事業を行っている。しかし、融資金の詐取等の不適正案件や早期延滞案件が多数発生している状況の下で、金融機関においては機構から示された有効な融資審査の方法が十分に実行されておらず、機構において、金融機関に対する十分な働きかけや効果的な買取審査が行われていなかったり、金融機関が十分な融資審査を行うよう動機付ける取組が十分でなかったりする事態が見受けられた。
したがって、機構において、金融機関における融資審査の状況等を十分に把握し、その状況に応じて十分な融資審査を行うよう金融機関に働きかけを行ったり、自ら効果的な買取審査を行ったりするとともに、金融機関による十分な融資審査を動機付けるものとなるよう、特に重要な審査方法についてはその実行を債権買取りの条件とすることを検討するなどして再売買権がより実効性のあるものとなるようにしたり、提示金利に差を設ける仕組みを導入したりするなど必要な処置を講ずることにより、住宅ローン債権に係る審査が適切に実施されて不適正案件等の発生の未然防止に資するものとなるよう、独立行政法人住宅金融支援機構理事長に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
そして、金融機関ごとの融資審査の状況等に応じて提示金利に差を設ける仕組みを導入するなどの取組については、更に検討を行っていくとしている。