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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第3節 不当事項に係る是正措置等の検査の結果

第2 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に係る処置の履行状況について


検査対象
38省庁等
検査の概要
本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として検査報告に掲記したものについて、当該処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査するもの
改善の処置の履行状況を検査した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項の件数
83件(検査報告 平成18年度~24年度)
上記のうち改善の処置が一部履行されていなかった件数
1件

1 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に関する検査の概要

(1)検査の概要

本院は、検査の過程において会計検査院法第34条又は第36条の規定による意見表示又は処置要求を必要とする事態として指摘したところ、その指摘を契機として省庁及び団体(以下「省庁等」という。)において改善の処置を講じたものを、検査報告に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項(以下「処置済事項」という。)として掲記している。

一方、本院は、毎年次策定している会計検査の基本方針にのっとり、検査の結果が予算の編成・執行や事業運営等に的確に反映され実効あるものとなるように、その後の是正改善等を継続して検査することとしている。検査報告に掲記した処置済事項についても、省庁等が制度を改めるなどの改善の処置が履行されること(改善の処置に基づき、その後の会計経理等が適切に行われることをいう。以下同じ。)により初めて実効あるものとなることから、当該改善の処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査している。

(2)平成24年度決算検査報告に掲記した改善の処置の履行状況

本院は、平成24年度決算検査報告に、平成15年度から23年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、平成23年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたもの87件から、検査報告掲記時点で既に履行済であったなどのため検査の必要がなかったもの(以下「検査の必要がなかったもの」という。)7件、及び25年次(24年10月から25年9月まで)は履行状況の検査の対象となる会計経理等の実績がなかったことから検査を実施しなかったもの2件を除いた78件についての検査の結果を掲記した。

その内訳は、改善の処置が履行されていたもの(以下「履行済」という。)が45件、検査した範囲では改善の処置が履行されていたもの(以下「検査分履行済」という。)が33件、改善の処置が一部履行されていなかったもの(以下「一部不履行」という。)及び改善の処置が全く履行されていなかったもの(以下「不履行」という。)は0件となっていた。

そして、上記の検査分履行済33件と25年次は履行状況の検査の対象となる会計経理等の実績がなかったことから検査を実施しなかったもの2件との計35件及び平成24年度決算検査報告に新たに掲記した処置済事項64件の合計99件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性等の観点から、改善の処置が履行されているかなどに着眼して、上記の99件のうち、検査の必要がなかったもの13件、及び今年次は履行状況の検査の対象となる会計経理等の実績がなかったことなどから検査を実施しなかったもの(以下「検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの」という。)3件を除いた83件について、25年8月から26年7月までの間に、関係する38省庁等のうち、33省庁等において会計実地検査を行うとともに、5団体については、報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

(検査の結果)

(1)検査報告に掲記した処置済事項及び改善の処置の履行状況

上記の83件について改善の処置の履行状況を検査したところ、履行済が64件、検査分履行済が18件、一部不履行が1件、不履行は0件となっていた。これを、平成24年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況と、18年度から23年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況とに分けて記述すると、次のとおりである。

ア 平成24年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

平成24年度決算検査報告に掲記した処置済事項64件のうち、検査の必要がなかったもの13件及び検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの1件を除いた50件について検査したところ、履行済が43件、検査分履行済が7件となっていた。

イ 18年度から23年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

18年度から23年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたもの35件のうち、検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの2件を除いた33件について検査したところ、履行済が21件、検査分履行済が11件、一部不履行が1件となっていた。

ア及びイに係る改善の処置の履行状況を検査報告年度別及び省庁等別に示すと、表1及び表2のとおりである。

表1 検査報告年度別の改善の処置の履行状況

(単位:件)
検査報告年度 改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした処置済事項(A)
検査の必要がなかったもの(B) 検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの(C) 検査対象の処置済事項(A)—(B)—(C)
改善の処置の履行状況
履行済 検査分履行済 一部不履行 不履行
平成
18年度
1 1 1
19年度 2 2 2
20年度 3 1 2 1 1
21年度 3 3 3
22年度 12 1 11 6 4 1
23年度 14 14 8 6
35 2 33 21 11 1
24年度 64 13 1 50 43 7
合計 99 13 3 83 64 18 1

表2 省庁等別の改善の処置の履行状況

(単位:件)
省庁等名(平成26年7月31日現在) 検査対象の
処置済事項
改善の処置の履行状況
履行済 検査分履行済 一部不履行 不履行
内閣府(警察庁) 1 1
同(消費者庁) 1 1
総務省 2 2
法務省 7 1 6
外務省 注(1)
3
注(1)
2
1
財務省 2 2
文部科学省 1 1
厚生労働省 5 4 1
農林水産省 11 10 1
国土交通省 3 3
環境省 注(2)
2
注(2)
2
防衛省 4 4
日本銀行 1 1
日本中央競馬会 1 1
東日本高速道路株式会社 2 2
中日本高速道路株式会社 2 2
西日本高速道路株式会社 2 2
独立行政法人国立青少年教育振興機構 1 1
独立行政法人物質・材料研究機構 1 1
独立行政法人製品評価技術基盤機構 1 1
独立行政法人国立環境研究所 1 1
独立行政法人国立印刷局 1 1
独立行政法人国民生活センター 1 1
独立行政法人国際協力機構 注(1)
1
注(1)
1
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 2 2
独立行政法人日本学術振興会 1 1
独立行政法人理化学研究所 2 1 1
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 1 1
独立行政法人労働者健康福祉機構 2 2
独立行政法人都市再生機構 1 1
独立行政法人日本原子力研究開発機構 2 1 1
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 1 1
独立行政法人国立成育医療研究センター 1 1
独立行政法人国立長寿医療研究センター 1 1
日本電信電話株式会社 1 1
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 1 1
東日本電信電話株式会社 4 4
西日本電信電話株式会社 7 7
83 64 18 1
注(1)
外務省のうち1件及び独立行政法人国際協力機構の1件は、外務省及び独立行政法人国際協力機構の両方に係る処置済事項であり、件数の合計に当たっては、その重複分を控除している。
注(2)
環境省のうち1件は、独立行政法人原子力安全基盤機構に係る処置済事項であるが、同機構は平成26年3月1日に環境省の外局である原子力規制委員会に統合されたことから、本欄の件数に算入している。

(2)一部不履行を検査報告に掲記したものの概要

検査の結果、一部不履行1件については、本章中に不当事項として掲記しており、この概要を示すと表3のとおりである。

表3 一部不履行を検査報告に掲記したものの概要

処置済事項の件名 平成25年度決算検査報告における掲記状況
公立の義務教育諸学校等施設の整備に要する経費に充てるための交付金について、契約金額に基づき額の確定を行うことにより、交付金事業を経済的かつ効率的に実施するよう改善させたもの
(リンク参照)
0201(リンク参照)

3 本院の所見

一部不履行1件については、関係省庁において改善の処置について更なる徹底を図るなどして、改善の処置が確実に履行されることが肝要である。

本院は、上記の一部不履行1件、前記の検査分履行済18件、検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの3件及び平成25年度決算検査報告に掲記した処置済事項76件の計98件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととする。