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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成26年10月

再生可能エネルギーに関する事業の実施状況等について


検査対象
内閣府、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、44都道府県
検査の対象とし
た再生可能エネ
ルギーの概要
非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもので、太陽光、風力、水力、 バイオマス、地熱等
検査の対象とし
た再生可能エネ
ルギー設備の数
(1) 国が自ら又は委託者として導入した再生可能エネルギー設備
  発電設備   47設備
  熱利用設備  39設備
(2) 地方公共団体等が国庫補助金等を活用して導入した再生可能エネルギー設備
  発電設備    1設備(平成11年度)
       6,628設備(平成21年度~25年度)
  熱利用設備 1,122設備
(3) 経済産業省所管の国庫補助金を活用した太陽光発電設備
  (住宅用)
     1,091,724設備
検査の対象とし
た再生可能エネ
ルギー設備の導
入に係る事業費
(1) 発電設備  191億6199万円(平成21年度~25年度)
  熱利用設備 39億2351万円(平成21年度~25年度)
検査の対象とし
た再生可能エネ
ルギー設備の導
入に係る国庫補
助金等交付額
(2) 発電設備    2億8496万円(平成10、11、13各年度)
       1808億8557万円(平成21年度~25年度)
  熱利用設備  509億0257万円(平成21年度~25年度)

(3) 太陽光発電設備(住宅用)
    2214億2663万円(平成20年度~25年度)

1 検査の背景

(1) 再生可能エネルギーの概要

再生可能エネルギーとは、資源に限りがある石油、石炭、天然ガス等の化石エネルギーや原子力とは異なり、エネルギー源として永続的に利用することができるエネルギーであり、太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱等の地球上で自然に起こる現象を利用して繰り返し使えるエネルギーであるとされている。そして、再生可能エネルギーの主な利用形態としては、発電と熱利用があり、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料を燃焼して電気をつくる火力発電は大量の二酸化炭素を排出するが、太陽光、風力、水力、地熱等の再生可能エネルギー源を利用して発電する場合には、発電時に二酸化炭素をほとんど排出しない という特徴があるとされている。

また、平成9年に制定された「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(平成9年法律第37号。以下「新エネ法」という。)において、「新エネルギー利用等」とは、非化石エネルギーを製造することなどのうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、その促進を図ることが非化石エネルギーの導入を図るため特に必要なものとして政令で定めるものをいうとされている。そして、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」(平成9年政令第208号)において、太陽電池を利用して電気を発生させること、風力を発電に利用することなどが定められており、太陽光、風力、水力(出力1,000kW以下(中小水力)の発電設備を利用)、地熱(バイナリー方式)、太陽熱、水を熱源とする熱、雪氷熱、バイオマス(燃料製造・発電・熱利用)が新エネルギー源とされている。また、21年に制定された「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(平成21年法律第72号。以下「エネルギー供給構造高度化法」という。)において、「「再生可能エネルギー源」とは、太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるものをいう。」とされ、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令」(平成21年政令第222号)において、「再生可能エネルギー源」として、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、自然界に存する熱及びバイオマスが定められている。したがって、上記の新エネルギー源は、いずれも再生可能エネルギー源に含まれることになる。このほか、近年では、波力、潮流等の海洋エネルギーも再生可能エネルギーとして注目されている。

これらの再生可能エネルギーを関係法令等に基づき整理すると、図表0-1のとおりとなる。

図表0-1 再生可能エネルギーの概念図

図表0-1 再生可能エネルギーの概念図画像

25年度における我が国の年間発電電力量(9379億kWh)のうち、再生可能エネルギー源による発電電力量(1004億kWh)の占める割合は、水力発電が約8.5%、水力発電を除く再生可能エネルギー源によるものが約2.2%、合わせて約10.7%となっている。

また、25年度末における我が国の再生可能エネルギー発電設備(以下「再エネ発電設備」という。)の導入状況についてみると、図表0-2-1及び図表0-2-2のとおり、再エネ発電設備の累計導入量は計約2955.3万kWとなっており、このうち、太陽光発電設備(住宅用)が約697.6万kW、太陽光発電設備(非住宅用)が約733.9万kWとなっていて、太陽光発電設備の我が国における再生可能エネルギーの導入量に占める割合は、48.4%と最も多くなっており、24年7月から25年度末までの間における導入量でみると97.3%となっている。

図表0-2-1 平成25年度末における我が国の再エネ発電設備の導入状況

(単位:件)
区分 太陽光
住宅用)
太陽光
非住宅用)
風力 中小水力 バイオマス 地熱
平成24年6月までの
累積導入量
導入容量 約470万kW 約90万kW 約260万kW 約960万kW 約230万kW 約50万kW 約2060万kW
24年度(7月~3月 末
の導入量
導入件数 211,005 17,407 6 15 10 1 228,444
導入容量 96.9万kW 70.4万kW 6.2万kW 0.1万kW 3.0万kW 0.0万kW 176.8万kW
25年度の導入量 導入件数 288,118 103,062 14 25 37 1 391,257
導入容量 130.7万kW 573.5万kW 4.6万kW 0.3万kW 9.1万kW 0.0万kW 718.5万kW
24年7月から25年度
末までの間の導入
導入件数 499,123 120,469 20 40 47 2 619,701
導入容量 227.6万kW 643.9万kW 10.9万kW 0.5万kW 12.2万kW 0.0万kW 895.3万kW
構成比 25.4% 71.9% 1.2% 0.0% 1.3% 0.0% 100%
25年度末における
累計導入量
導入容量 約697.6万kW 約733.9万kW 約270.9万kW 約960.5万kW 約242.2万kW 約50.0万kW 約2955.3万kW
構成比 23.6% 24.8% 9.1% 32.5% 8.1% 1.6% 100%
注(1)
本表は経済産業省「再生可能エネルギー発電設備の導入状況について」に基づき会計検査院で作成した。
注(2)
平成24年6月までの導入量は、年度ごとに集計していないなどのため、累積導入量としている。また、同年7月以降は固定価格買取制度導入後の導入件数、導入容量であり、同年6月以前とは集計方法が異なっている。

図表0-2-2 平成25年度末における我が国の再エネ発電設備の導入状況

図表0-2-2 平成25年度末における我が国の再エネ発電設備の導入状況画像

(2) エネルギー政策の変遷

ア 石油代替エネルギーの開発及び導入

国は、昭和48年及び54年の二度の石油危機を教訓として、過度な石油依存から脱却し、エネルギーの供給を安定化させるため、石油代替エネルギーの開発及び導入の重要性を認識することになった。そして、石油代替エネルギーの開発の促進等のため、55年に「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」(昭和55年法律第71号。平成23年7月7日以降は「非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」)を制定し、石油代替エネルギーに関する技術でその企業化の促進を図ることが特に必要なものの開発等の業務を総合的に行わせるために新エネルギー総合開発機構(15年10月1日以降は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構。以下「NEDO」という。)を設立するなどしている。そして、NEDO等において、「サンシャイン計画」(昭和49年度~平成4年度。予算総額5166億円)、「ムーンライト計画」(昭和53年度~平成4年度。同1297億円)、「ニューサンシャイン計画」(5年度~14年度。同3547億円)等の国家プロジェクトを実施させることにより、石油代替エネルギーに関する技術開発を推進するなどしてきた。

また、国は、新エネルギーの普及促進を目的として、9年に制定した新エネ法に基づき、新エネルギーの導入事業を行う民間事業者に対して費用の一部を助成したり、金融機関からの借入れに対する債務保証を行ったり、地方公共団体が実施する太陽光発電設備(住宅用)等の助成費用に対して補助を行ったりしている。

そして、14年には、エネルギーの安定供給の確保、環境への適合及び市場原理の活用をエネルギーの需給に関する施策についての基本方針とする「エネルギー政策基本法」(平成14年法律第71号。以下「エネルギー基本法」という。)を制定し、15年10月に、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るためにエネルギーの需給に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定(閣議決定)している。基本計画は、少なくとも3年ごとに検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならないこととなっており、国は、19年3月、22年6月及び26年4月にそれぞれ新しい基本計画を策定(閣議決定)している。

イ 基本計画における再生可能エネルギーの位置付け及び導入目標の変遷

22年6月に策定された基本計画においては、再生可能エネルギーに関する導入目標として、2030年(平成42年)に向けて電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネルギー由来)の比率を約70%(2020年(平成32年)には約50%以上)とすることなどが掲げられていた。しかし、東日本大震災(23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害及びこれに伴う原子力発電所事故による災害をいう。以下同じ。)の発生により、基幹電源と位置付けられていた原子力発電の信頼性が大きく揺らいだことにより、電力供給システムにおける再生可能エネルギーを含めた多様なエネルギー源の活用が大きな課題となった。そこで、国は、24年9月に、エネルギー・環境会議において、省エネルギー・再生可能エネルギーといったグリーンエネルギーを最大限に引き上げることを通じて、原子力発電に対する依存度を減らすことなどを基本方針とする革新的エネルギー・環境戦略を決定した。

その後、25年1月に、同戦略はゼロベースで見直すこととされ、同年2月の第183回通常国会の内閣総理大臣施政方針演説において、省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できる限り原発依存度を低減させることとする方針が示された。そして、国は、エネルギーを巡る環境が大きく変化してエネルギー政策の大規模な調整を求められることになったことを踏まえて、26年4月に、22年6月に策定した基本計画を変更した新たな基本計画を策定(閣議決定)している(以下、26年4月に策定した基本計画を「第四次計画」という。)。

これまでの基本計画における再生可能エネルギーの位置付け及び導入に関する記述は、図表0-3のとおりとなっている。

図表0-3 基本計画における再生可能エネルギーの位置付け及び導入に関する記述

策定年月 基本計画における再生可能エネルギーの位置付け、政策の方向性 導入に関する記述 被災7県(全体)
平成15年10月  補完的なエネルギーとして位置付けつつも、安全の確保に留意しつつ、コスト低減や系統安定化、性能向上等のための技術開発等について、産学官等関係者が協力して戦略的に取り組むことにより、長期的にはエネルギー源の一翼を担うことを目指し、施策を推進する。 記述なし
19年3月  補完的なエネルギーとして位置付けつつも、安全の確保に留意しつつ、コスト低減や系統安定化、性能向上等のための技術開発等について、産学官等関係者が協力して戦略的に取り組むことにより、長期的にはエネルギー源の一翼を担うことを目指し、施策を推進する。
 その際、再生可能エネルギーであって、太陽光、風力、バイオマス、雪氷熱など特に導入を促進すべきエネルギー源を新エネルギーとして位置付け、重点的に支援を行うことが重要である。
記述なし
22年6月  現時点ではコストや供給安定性の面で課題はあるものの、環境負荷が小さく、多くが国内で調達可能なエネルギーである。エネルギー源の多様化や新たな市場・雇用機会の創出といった効果も期待できることから、積極的な利用拡大を図る。  電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネルギー由来)の比率を約70%(2020年には約50%以上)とする。(現状34%)
26年4月  現時点では安定供給面、コスト面で様々な課題が存在するが、温 室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネル ギー源である。2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。  これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準を更に上回る水準の導入を目指し、エネルギーミックスの検討に当たっては、これを踏まえることとする。

ウ 第四次計画における再生可能エネルギーの位置付け及び導入

第四次計画には、中長期(今後20年程度)のエネルギー需給構造を視野に入れて、今後取り組むべき課題と長期的、総合的かつ計画的なエネルギー政策の方針がまとめられている。

特に、電力供給については、安定供給、低コスト、環境適合等をバランスよく実現できる供給構造を実現すべく、各エネルギー源の電源としての特性を踏まえて活用することが重要であるとされている。各エネルギー源には、①発電(運転)コストが低廉で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源となる「ベースロード電源」として、地熱、一般水力(流れ込み式)、原子力、石炭が、②発電(運転)コストがベースロード電源の次に安価で、電力需要の動向に応じて、出力を機動的に調整できる電源となる「ミドル電源」として、天然ガス等が、また、③発電(運転)コストは高いが、電力需要の動向に応じて、出力を機動的に調整できる電源となる「ピーク電源」として、石油、揚水式水力等が、それぞれ位置付けられている。

また、再生可能エネルギーについては、現時点では安定供給面、コスト面で様々な課題が存在するが、温室効果ガス(二酸化炭素、メタン等)を排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源であると位置付けられている。そして、政策の方向性として、「2013年(平成25年)から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。」とされ、そのため、系統(注1)強化、規制の合理化、低コスト化等の研究開発等を着実に進めるとされている。このため、再生可能エネルギー等関係閣僚会議を創設し、政府の司令塔機能を強化するとともに、関係省庁間の連携を促進するとされている。さらに、「具体的な取組として、固定価格買取制度の適正な運用を基礎としつつ、環境アセスメントの期間短縮化等の規制緩和等を今後とも推進するとともに、高い発電コスト、出力の不安定性、立地制約といった課題に対応すべく、低コスト化・高効率化のための技術開発、大型蓄電池の開発・実証や送配電網の整備などの取組を積極的に進めていく。」とされている。

そして、再生可能エネルギーの導入については、これまでの基本計画を踏まえて示された水準(注2)を更に上回る水準の導入を目指し、エネルギーミックスの検討に当たっては、これを踏まえるとされており、具体的な数値目標は設定されていない。

(注1)
系統  電気を使用者に供給するための、発電、送電、変電、配電等の各設備によって構成されるシステム
(注2)
基本計画を踏まえて示された水準  2009年8月に策定した「長期需給エ ネルギー見通し(再計算)」(2020年(平成32年)の発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は13.5%(1414億kWh))及び 2010年6月に開催した総合資源エネルギー調査会総合部会・基本計画委員会合同会合資料の「2030年のエネルギー需給の姿」(2030年 (平成42年)の発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は約2割(2140億kWh))

エ 環境保全及び地球温暖化への対応

(ア) 環境保全への対応

国は、5年に環境基本法(平成5年法律第91号)を制定し、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策(以下「環境保全施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、環境保全施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することとしている。

そして、国は、同法に基づき、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めた環境基本計画を6年12月に策定(閣議決定)しており、その後、12年12月、18年4月及び24年4月にそれぞれ新しい環境基本計画を策定(閣議決定)している(以下、24年4月策定の環境基本計画を「第四次環境基本計画」という。)。

第四次環境基本計画においては、環境行政の究極の目標である持続可能な社会を、「低炭素」・「循環」・「自然共生」の各分野を統合的に達成することに加えて、「安全」がその基盤として確保される社会であると位置付けており、持続可能な社会を実現する上で重視すべき方向として、①政策領域の統合による持続可能な社会の構築、②国際情勢に的確に対応した戦略をもった取組の強化、③持続可能な社会の基盤となる国土・自然の維持・形成、④地域をはじめ様々な場における多様な主体による行動と参画・協働の推進を設定するとともに、地球温暖化に関する取組等の優先的に取り組む重点分野が定められている。そして、このうち地球温暖化に関する取組においては、施策の基本的方向性として、中長期的な国内対策として再生可能エネルギーの導入拡大等を実施すること、また、地方公共団体に期待される役割として、地域資源をいかした再生可能エネルギー等の導入を実施することが示されている。

(イ) 地球温暖化への対応

地球温暖化とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいうとされている。そして、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、全ての者が自主的かつ積極的にこの課題に取り組むことが重要であるとされている。

世界各国は、この地球温暖化問題に対処するため、4年5月に、環境と開発に関する国際連合会議において、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約」(以下「気候変動枠組条約」という。)を採択しており、6年3月に発効している。そして、我が国も、5年5月に、気候変動枠組条約を国会で承認して、批准するなどしている。その後、条約締約国は、7年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)を開催しており、9年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)では、先進国の拘束力のある削減目標(注3)を明確に規定した「京都議定書」に合意している。

(注3)
削減目標  2008年(平成20年)から2012年(平成24年)までの5年間(以下、この5年間を「京都議定書第一約束期間」という。)平均で1990年(平成2年)に比べて温室効果ガスを日本6%、米国7%、EU8%等それぞれ削減

そして、国は、10年に、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年法律第117号。以下「温対法」という。)を制定して、京都議定書の規定に基づく約束を履行するために必要な目標の達成に関する計画(以下「京都議定書目標達成計画」という。)を定めるとともに、温室効果ガスの排出の抑制等のために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めることなどとしており、17年4月に京都議定書目標達成計画(20年3月全部改定)を策定(閣議決定)して、温室効果ガスの排出抑制・吸収量について目標達成のための対策と施策を行っている。そして、京都議定書目標達成計画において、「太陽光や太陽熱、風力、バイオマス等を活用した新エネルギーは、地球温暖化対策に大きく貢献するとともに、エネルギー源の多様化に資するため、国の支援策の充実等によりその導入を促進する。」などとされている。

このように、再生可能エネルギーは、地球温暖化対策の面からも導入促進が求められている。

また、国は、24年度末をもって京都議定書第一約束期間が終了したことに伴い京都議定書目標達成計画に基づく取組も同時期に終了したことから、25年に温対法を改正し、京都議定書目標達成計画に代わり、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るために地球温暖化対策に関する計画(以下「地球温暖化対策計画」という。)を定めることとした。

(ウ) 地球温暖化対策と太陽光発電の導入

上記のとおり、京都議定書目標達成計画において、地球温暖化対策の面からも再生可能エネルギーの導入促進が求められていることから、国は、20年7月に、温室効果ガスについて、2050年(平成62年)までの長期目標として現状から60~80%の削減を掲げて、世界に誇れるような低炭素社会の実現を目指すことが必要であるとして、「低炭素社会づくり行動計画」(以下「行動計画」という。)を策定(閣議決定)している。行動計画によれば、太陽光発電の導入量を2020年に10倍、2030年には40倍にすることを目標として、導入量の大幅拡大を進めるとともに、価格については、3~5年後に太陽光発電システムの価格を現在の半額程度に低減することを目指すとされている。そして、文部科学省等4省(注4)は、20年11月に、行動計画を受けるなどして、「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」を策定している。

このアクションプランは、行動計画等において目標となっている太陽光発電の導入に関し、家庭・企業・公共施設等への拡大に向けた関係者の取組を促進するため、より多くの公的施設(道路、鉄道、港湾等)への導入促進、教育機関(小学校、中学校、高等学校等)における太陽光発電の導入拡大等の当面の具体的な措置を取りまとめたものである。その後、21年3月には、上記の4省を含む内閣官房等9省庁等(注5)が、上記のアクションプランの「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン(進捗状況フォローアップと今後の取組)」を取りまとめて公表しており、この中で、今後の新たな取組として、今後整備する国の庁舎等についても、率先して太陽光発電の導入を推進すること、学校、病院や社会福祉施設、警察署、農林漁業団体の建物等への導入分野の拡大、多様化を図るために各々関係する省庁の間で連携を加速させることなどに取り組んでいくとしている。

また、国は、京都議定書目標達成計画に掲げられた先進的な温暖化対策を政府自らが、事業者や家庭に先駆けて率先して導入することにより、社会全体への普及を牽引することが求められるなどの状況を踏まえ、温対法及び京都議定書目標達成計画に基づき策定された「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画」(平成17年4月閣議決定)を引き継ぎ、19年度から24年度までの期間を対象として、新たな「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画」(以下「政府の実行計画」という。)を、19年3月に策定(閣議決定)するなどしている。政府の実行計画によれば、国の庁舎に設置する太陽光発電に関して、新築及び既存の庁舎についてその導入を図ることとされ、関係府省ごとに太陽光発電の導入に関する整備計画を策定し、計画的な整備を進めることとされている。そして、政府の実行計画に基づき各府省が導入した太陽光発電設備の出力の合計値は、24年度末において7,708kWとなっており、各府省が策定した整備計画における整備目標の合計値6,587kWを上回っている状況となっている。

(注4)
文部科学省等4省  文部科学省、経済産業省、国土交通省、環境省
(注5)
内閣官房等9省庁等  内閣官房、警察庁、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省

オ 再生可能エネルギー等の導入拡大政策等

(ア) 再生可能エネルギー等の導入拡大政策

国は、前記のとおり、9年以降、新エネルギ―の導入事業を行う民間事業者に対して費用の一部を助成したり、金融機関からの借入れに対する債務保証を行ったりなどしている。また、14年に、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号。以下「RPS法」という。)を制定し、15年4月以降電 気事業法(昭和39年法律第170号)に規定する一般電気事業者(注6)、特定電気事業者 (注7)及び特定規模電気事業者(注8)(以下、これらを「電気事業者」という。)に対して、太陽光、風力、水力(出力1,000kW以下の発電)、バイオマス(廃棄物発電等)又は地熱によって発電された電気を一定量以上調達することを義務付けることとした。なお、RPS法における電気の価格については、電気事業者と再生可能エネルギー発電事業者(以下「再エネ事業者」という。)との間で定めることとなっている。

そして、国は、21年11月に、エネルギー供給構造高度化法に基づき、電気事業者に対して、500kW未満の太陽光発電の余剰電力について、国が定めた1kWh当たりの価格(以下「調達価格」という。)及び調達価格による調達に係る期間(以下「調達期間」という。)での調達を義務付ける制度(以下「余剰電力買取制度」という。)を創設している。余剰電力買取制度については、電気事業者が調達する電気の調達費用のうち、電気事業者が自ら電気を調達した場合の費用を超過する分の費用について、太陽光発電促進付加金(注9)として、通常の電気料金と併せて電気利用者から徴収する仕組みとなっている。

その後、国は、23年に、電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用を促進することとして、RPS法に代わって「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成23年法律第108号。以下「再エネ法」という。)を制定し、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関し、その価格、期間等について特別の措置を講ずることにより、電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用を促進することが、我が国の国際競争力の強化、地域の活性化等に寄与するなどとしている。そして、24年7月以降は、電気事業者に対して、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力(出力30,000kW以下の発電)、バイオマス又は地熱)を用いて発電された電気(以下「再エネ電気」という。)について、調達価格及び調達期間での調達を義務付ける制度(以下「固定価格買取制度」という。)を導入して実施している。

このほか、国は、25年に、「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」(平成25年法律第81号)を制定し、農山漁村において農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電を促進するための措置を講ずることにより、農山漁村の活性化を図るとともに、エネルギー供給源の多様化に資することとしている。

(注6)
一般電気事業者  一般(不特定多数)の需要に応じて電気を供給する事業者
(注7)
特定電気事業者  限定された区域における需要に応じて、自らの発電設備や電線路を用いて電気を供給する事業者
(注8)
特定規模電気事業者  契約電力が50kW以上の需要家に対して、一般電気事業者が有する電線路を通じて電気を供給する事業者
(注9)
太陽光発電促進付加金  一般電気事業者が太陽光発電の余剰電力買取制度における電力の買取りに要した費用の一部を、電気の使用者に対して電気の使用量に応じるなどして負担させる付加金であり、平成26年9月分をもって廃止することとなっている。
(イ) 再生可能エネルギーに関する規制改革の取組

国は、前記のように、再生可能エネルギー源の利用を促進することとして、再エネ法を制定し、固定価格買取制度を導入している。一方、再生可能エネルギーの導入については、電気事業法上の規制、環境影響評価の手続上の規制、農地転用等の土地利用上の規制、自然公園法(昭和32年法律第161号)等の自然環境保全上の規制等各種の規制を考慮する必要があることから、規制改革が再生可能エネルギーの利用促進における大きな課題となっている。

そして、国は、25年1月に、規制改革は、我が国の経済を再生するに当たっての阻害要因を除去し、民需主導の経済成長を実現していくために不可欠の取組であるとして、内閣総理大臣の諮問機関として規制改革会議を設置し、同年6月に、規制改革会議の答申を踏まえて、「規制改革実施計画」を策定(閣議決定)した。

この規制改革実施計画においては、再生可能エネルギーがエネルギー・環境分野に位置付けられ、最大限の推進を図ることなどとされている。そして、エネルギーの安定供給・地産地消及び低炭素・循環型社会の推進の観点から、規制改革を着実に推進することとなっている。

規制改革実施計画における再生可能エネルギーに関する主な規制改革の概要は、図表0-4のとおりとなっている。

図表0-4 規制改革実施計画における再生可能エネルギーに関する主な規制改革の概要

区分 主な規制改革の概要
太陽光発電  電気主任技術者による発電設備の点検頻度が増加する保安規制が検討されていて、事業者の負担が増える懸念がある。このため、経済産業省は、必要な保安水準を確保する最小限の点検頻度となるよう配慮する。
風力発電  隣接する複数の風力発電所・変電所を統括する事業場の設置において、電気事業法上の「直接統括する事業場」になるのか基準が明確ではないため、隣接した発電所・変電所にもそれぞれ電気主任技術者が必要になっている。このため、経済産業省は、直接統括する事業場に関する基準を明確化する。
小水力発電  慣行水利権(旧河川法施行の明治29年以前あるいは法定河川として指定される以前から、特定の者による排他・継続的な事実上の水の支配をもとに社会的に承認された権利)を利用した短期間の小水力発電の水利使用の許可要件が明確ではない。このため、国土交通省は許可を行う場合の要件を明確化する。
バイオマス発電  未利用資源を燃料に利用する場合、廃棄物か有価燃料かの基準が明確ではないため、自治体の見解を得るのに時間がかかる。このため、環境省は「バイオマス発電燃料等に係る廃棄物該当性の判断事例集」を作成し、自治体に周知する。
地熱発電  温泉法が拡大解釈されて、温泉の湧出が見込まれる場合には掘削の許可が必要となっている。このため、環境省は許可が不要な掘削について類型化する。
環境影響評価  風力・地熱発電に係る環境影響評価の手続に係る期間を短縮するために必要な措置を講ずることが求められている。このため、経済産業、環境両省は、環境影響評価における国の審査について、火力発電所リプレースに係る審査と同様に行い、全体で45日程度に短縮することを目指す。
再生可能エネルギー共通  第二種電気主任技術者の確保が困難となっている。このため、経済産業省は、第二種電気主任技術者の確保ができるように検討する。
(ウ) 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた送電網の整備に係る取組

東日本大震災により、全国で電力の供給力が大幅に不足する事態が発生した。

一般電気事業者等は供給力の広域的な活用を図ったものの、地域間連系線(注10)等の容量の制約や系統運用が各一般電気事業者の供給区域単位で行われていることなどにより、供給力の広域的な活用には限界があり、国民生活に大きな影響を与えることとなった。

このような状況を踏まえ、資源エネルギー庁は、24年2月に、総合資源エネルギー調査会の下に、安定供給確保や再生可能エネルギーをはじめとした分散型電源の導入促進の観点から検討を行うことを目的として「地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会」を設置した。

同研究会は、同年4月に、中間報告を取りまとめ、同報告書において、固定価格買取制度の導入をはじめ、再生可能エネルギー導入に関する気運が高まる中、太陽光発電及び風力発電に対する今後の導入拡大の可能性についての評価を示した。

また、風力発電については、東北・北海道地域のうち、電力需要は小さいが、特に風況が良好であるにも関わらず系統の制約があるためにその導入が進まない地域について、例外的に何らかの形で地域内系統の整備を政策的に支援すべきであるとした。

(注10)
地域間連系線  電力会社の系統を相互に接続する設備
(エ) 再生可能エネルギーに関する北海道及び沖縄本島の現状

北海道及び沖縄本島は、電力の系統規模が小さいことなどから、再生可能エネルギーの接続量には一定の限界がある地域とされている。

特に、北海道は、広大な土地と地代の安さから、固定価格買取制度の施行後に太陽光発電設備の導入が急速に進み、500kW未満の設備を除き、現行の設備及び接続条件では電気を安定的に供給するための系統への接続量が限界に近づきつつある状況であるとされている。このため、資源エネルギー庁は、北海道電力株式会社と検討を行い、25年4月に、北海道における太陽光発電の系統への接続について、接続条件の改正、大型蓄電池の変電所への導入等の対応策を講じている。

また、沖縄本島においても、同様に再生可能エネルギーの系統への接続量は限界に近づきつつある状況であるとされている。このため、同庁は、沖縄電力株式会社と検討を行い、25年12月に、大型蓄電池の設置による接続可能量の拡大及び拡大の影響に係る送電網実証事業を実施することを決定している。

(3) 各府省等が実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

エネルギー基本法において、国は、基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上するなどその円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととなっている。

再生可能エネルギーに関する事業を実施している主な機関は、内閣府、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省(以下、これらを総称して「6府省」という。)及びNEDO(以下、6府省とNEDOを合わせて「7府省等」という。)となっている。

7府省等が実施している再生可能エネルギーに関する事業のうち主な事業の概要等は、以下のとおりである。

ア 内閣府が実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

① がんばる地域交付金(地域活性化・効果実感臨時交付金)(25年度予算額870億円。再生可能エネルギーに関する事業費についてはこの金額の内数)

景気回復が波及していない財政力の弱い市町村が、同交付金に係る実施計画に基づき行う国庫補助事業及び地方単独事業の地方負担額に充当するもの。再生可能エネルギー設備の導入に要する費用の地方負担額にも充当され得る。

② 沖縄振興特別推進交付金(同803億余円の内数)

沖縄県が、沖縄の振興に資する事業等を自主的に選択して作成した沖縄振興交付金事業計画に基づく事業等の実施に要する経費に充てるため、国が同県に交付金を交付するもの。県立学校の太陽光発電設備等の導入に要する費用が対象となる。

イ 文部科学省が実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

① 学校施設環境改善交付金(同1219億余円の内数)

地方公共団体が「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(昭和33年法律第81号)に基づき作成した施設整備計画に従って実施する事業に要する経費に充てるため、国が地方公共団体に交付するもの。太陽光発電、風力発電、太陽熱利用又は蓄電池の導入に要する費用が対象となる。

② 公立学校施設整備費負担金(同541億余円の内数)

地方公共団体が、公立の小中学校等における教室不足を解消するため、校舎・屋内運動場等を新築又は増築する場合等に、その経費の一部を国が負担するもの。再生可能エネルギーに関しては、校舎等の新増築等と併せて太陽光発電設備等を導入する際に、建築に係る経費と太陽光発電設備等の導入に係る経費を分けて算出することが困難な場合にのみ、太陽光発電設備等の導入に係る経費について対象となる。

③ エコキャンパス推進事業(同324億余円の内数)

私立の高等学校、大学等が実施する、学校環境に配慮した学校施設の改修や新エネルギーの活用等エコキャンパス推進に必要な施設の改修等に対して国が補助を行うもの。太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、太陽熱利用等施設の導入に要する費用が対象となる。

ウ 農林水産省が実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

① 農山漁村地域整備交付金(同1128億余円の内数)

都道府県又は市町村が実施する農業農村基盤整備、森林基盤整備、水産基盤整備等の事業に要する経費に充てるため、国が都道府県又は市町村に交付金を交付するもの。同交付金の地域用水環境整備事業において、小水力発電設備の導入に要する費用が対象となる。

② 森林整備加速化・林業再生基金(同539億余円の内数)

都道府県が、国が交付する国庫補助金を財源として基金を造成し、同基金を活用することにより、地方公共団体及び民間団体が行う地域の木材・木質バイオマスの利用を促進するために必要な施設等の導入等に対する支援を行うもの。木質バイオマス熱供給施設等及び木質バイオマス発電設備等の導入等に要する費用が対象となる。

エ 経済産業省が実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

① 浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業(同375億円)

福島県沖において、国内初の浮体式洋上風力発電システムの本格的な実証事業を行い、技術的な確立を行うとともに、安全性・信頼性・経済性を明らかにするもの。

② 風力発電のための送電網整備実証事業費補助金(同250億円)

風況が良好で大規模な土地の確保が可能な風力発電に適した地域であって送電網の脆弱な地域において、送電網整備を行う民間事業者を支援し技術開発等の実証を行うもの。

③ 再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金(同190億余円)

固定価格買取制度施行における賦課金の電力多消費産業に対する減額措置によって生じる欠損金を再エネ法に基づき補塡するもの。

オ 国土交通省が実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

① 社会資本整備総合交付金(同1兆0194億余円の内数)

国土交通省所管の地方公共団体向けの個別補助金を一つの交付金として原則一元化したもの。同交付金の吸収源対策公園緑地事業、新世代下水道支援事業制度等において、地方公共団体における太陽光発電設備、バイオマス発電設備等の導入に要する費用が対象となる。

② 直轄管理ダムにおける水力発電設備の設置(同501億余円の内数)

直轄管理ダムにおいて、ダムの維持管理費の縮減を図ることを目的として、ダムからの放流水を活用したダム管理用水力発電設備の設置を行うもの。

カ 環境省が実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

① 再生可能エネルギー等導入推進基金(同245億円)

都道府県又は政令指定都市が、国が交付する国庫補助金を財源として基金を造成し、同基金を活用することにより、地方公共団体及び民間団体が行う地域の避難所や防災拠点等への再生可能エネルギー等の導入等に対する支援を行うもの。公共施設及び民間施設における再生可能エネルギー等の導入等に要する費用が対象となる。

② 循環型社会形成推進交付金(同960億余円の内数)

市町村が作成する廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)を広域的かつ総合的に推進するための廃棄物処理・リサイクル施設の整備計画(循環型社会形成推進地域計画)に位置付けられた施設整備に対し交付金を交付するもの。廃棄物を燃焼する際の余熱を利用したバイオマス発電設備の導入に要する費用が対象となる。

キ NEDOが実施している再生可能エネルギーに関する事業の概要等

① 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発(同48億円)

太陽光発電の導入を根本的に加速させ、発電コストを大幅に引き下げることを目的として、変換効率の向上や製造コストの低減を図るための各種太陽電池の要素技術の確立、横断的な材料開発及び周辺技術の開発を行うもの。

② 海洋エネルギー技術研究開発事業(同25億余円)

海洋エネルギー(波力、潮流等)発電に係る国内における導入普及を推進するとともに、海外市場を見据えた技術開発を行うもの。

③ 新エネルギー系統対策蓄電システム技術開発(同17億円)

大規模風力発電及び太陽光発電の大量導入による系統対策として、安全性・耐久性等を追求した蓄電システムの技術開発を行うもの。

そして、7府省等における21年度から25年度までの間の各年度の再生可能エネルギーに関する事業を含む予算額は、図表0-5のとおりとなっており、いずれも多額に上っている。

このうち、一般会計以外では、エネルギー対策特別会計の予算額が最も大きくなっている。

なお、この予算額には、再生可能エネルギーに関する事業以外の事業にも使用できる額も含まれているため、実際に再生可能エネルギーに関する事業に使用されている額は、この予算額の範囲内の額となる。

図表0-5 再生可能エネルギーに関する事業を含む予算額(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
内閣府 一般会計 0 0 0 0 0
文部科学省 一般会計 368,766 208,372 285,976 183,056 160,630
東日本大震災復興特別会計 1,998 2,097
農林水産省 一般会計 292,612 279,391 240,161 317,107 208,141
食料安定供給特別会計 30 0 21 0 547
東日本大震災復興特別会計 644 1,150
経済産業省 一般会計 0 400 182,188 600 999
エネルギー対策特別会計 107,718 90,180 55,773 21,730 77,723
東日本大震災復興特別会計 0 39,200
国土交通省 一般会計 418 297 3,156 21,175 22,246
社会資本整備事業特別会計 47,006 40,004 42,085 47,726 50,189
東日本大震災復興特別会計 491 695
環境省 一般会計 81,425 48,337 138,148 63,925 105,146
エネルギー対策特別会計 43,596 9,420 15,843 33,035 56,229
NEDO エネルギー対策特別会計 15,277 17,706 25,208 27,708 23,996
注(1)
NEDOの予算額は、6府省の予算額との重複額を控除した額である。
注(2)
7府省等の再生可能エネルギーに関する事業を含む予算額は、内閣府所管の一般会計、農林水産省所管の食料安定供給特別会計、経済産業省所管の一般会計及び東日本大震災復興特別会計、環境省所管の一般会計を除き、表記されている額の内数である。このため、計欄は設けていない。
注(3)
内閣府の予算額には、再生可能エネルギーに関する事業を実施することができるものの、全体の予算額に対する再生可能エネルギーに係る予算額の割合が低いことなどから、地域活性化・公共投資臨時交付金、地域活性化・経済危機対策臨時交付金、地域活性化・きめ細かな臨時交付金、沖縄特別振興対策事業費補助金、地域活性化交付金(きめ細かな交付金)、地域活性化交付金(住民生活に光をそそぐ交付金)、沖縄新産業創出対策事業推進費補助金、地域経済活性化・雇用創出臨時交付金、環境未来都市先導的モデル事業費補助金、沖縄振興特別推進交付金、特定地域再生事業費補助金及び地域活性化・効果実感臨時交付金については計上していない。
注(4)
文部科学省の予算額には、再生可能エネルギーに関する事業を実施することができるものの、全体の予算額に対する再生可能エネルギーに係る予算額の割合が低いことなどから、公立学校施設整備費負担金については計上していない。
注(5)
国土交通省の予算額には、再生可能エネルギーに関する事業を実施することができるものの、全体の予算額に対する再生可能エネルギーに係る予算額の割合が低いことなどから、社会資本整備総合交付金、治水ダム建設事業費補助、地域自主戦略交付金、地方道路整備臨時交付金、沖縄振興自主戦略交付金、沖縄振興公共投資交付金、港湾機能高度化施設整備費補助金、防災・安全社会資本整備交付金、小笠原諸島振興開発事業費補助、下水道事業費補助、地域住宅交付金、都市公園事業費補助、先導的都市環境形成促進事業費補助金、住宅・建築物環境対策事業費補助金、住宅市街地総合整備促進事業費補助、都市公園防災事業費補助、都市再生推進事業費補助、まちづくり交付金、地域活力基盤創造交付金、市街地整備総合交付金、水の安全・安心基盤整備総合交付金、活力創出基盤整備総合交付金及び地域住宅支援総合交付金については計上していない。