国は、昭和48年及び54年の二度の石油危機を教訓として、過度な石油依存から脱却し、エネルギーの供給を安定化させるために石油代替エネルギー(新エネルギー・再生可能エネルギー等)の開発及び導入の促進を図ってきている。平成14年には、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進し、もって地球環境の保全に寄与することなどを目的としてエネルギー政策基本法(平成14年法律第71号)を制定して、これに基づきエネルギー基本計画を策定している。そして、23年3月に発生した東日本大震災を契機として、電力供給システムにおける再生可能エネルギーを含めた多様なエネルギー源の活用が改めて大きな課題となったことなどから、26年4月にエネルギー基本計画を見直し、再生可能エネルギーに関しては、「2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。」とする政策の方向性を示している。
また、エネルギー政策の一環として、再生可能エネルギー源の利用促進等を目的として、再生可能エネルギーを用いて発電された電気を電気事業者が固定価格で買い取ることなどを義務付け、電気の使用者に賦課金を請求することができるとした固定価格買取制度が24年7月に導入されている。
このような状況の下、再生可能エネルギーに関する事業を主に行っている内閣府、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構における再生可能エネルギーに関連する事業の予算額は毎年度多額に上っており、また、環境保全、地球温暖化等に対する意識の高まりなどから、再生可能エネルギーに関する国民の関心が高まっている。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、これら関係府省等や地方公共団体等における再生可能エネルギー設備の導入、稼働、廃止等の状況、固定価格買取制度の認定を受けた再生可能エネルギー発電設備に対する国庫補助金等の取扱状況、再生可能エネルギーに関する計画の策定状況等について横断的な検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
[国庫補助事業により導入したペレット製造設備等が稼働を休止している事例]
[国庫補助事業により導入した風力発電設備が稼動を休止している事例]
[再生可能エネルギーに関する事業の実施に当たり、環境省が農林水産省と連携を図っている事例]
[補助金適正化法に基づき、国庫補助金を一部返還している事例]
[売電収入の使途を限定している事例]
[固定価格買取制度の適用に当たり、国庫補助金の取扱いに関する規定がなく国庫補助金を返還することとはなっていない事例]
[固定価格買取制度の適用に当たり、国庫補助金を返還しなくてもよいこととしている事例]