近年、地球規模の課題や国際社会の諸問題に取り組む上で、国際機関等はますます重要な役割を担うようになっており、多国間援助は、二国間援助の活用と相互に補い合うものとして、有効な国際協力の手段の一つとなっている。
そして、このような状況において、多国間援助を適切に実施していくためには、国民の理解を深めつつ、効率的な実施等を図っていくことが重要となる。
そこで、多国間援助を実施している11府省庁(内閣府本府、金融庁、総務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省(各省には各省の外局を含む。以下同じ。))について、有効性等の観点から、次のような点に着眼して各府省庁横断的に検査を実施した。
ア 拠出等を行った国際機関等の運営状況、事業内容等を適時適切に把握し、拠出等の効果を十分に把握しているか。
イ 国際機関等への拠出金等は、拠出等の目的に従って適切に活用されるなどしているか。また、追加拠出等が、拠出金等の活用状況を適時適切に把握するなどして、その必要性の検討を十分に行った上で実施されているか。
ウ 資金が滞留するなどしている場合に、適時適切な対応が執られているか。
エ 拠出金等の活用状況について、情報の開示が適切に行われているか。
オ 拠出金等は、DAC報告に適切に計上されているか。
11府省庁が21年度から25年度までの間に多国間援助として国際機関等に拠出等を行った拠出金等260件、20年度以前に拠出等を行い26年3月末時点において存続している出資金3件及び拠出金10件の計273件(拠出金等の拠出等先計140国際機関等。21年度から25年度までの拠出等計2兆1225億余円。なお、当初からの拠出等の累計額は、このうち判明している155件について計3兆5008億余円)を対象として検査を実施した。
検査に当たっては、11府省庁から調書を徴して、拠出等先の国際機関等の事業実施等の状況の調査、分析等を行うとともに、11府省庁に赴いて国際機関等から提出された会計報告等の関係書類を確認し説明を聴取するなどして会計実地検査を行った。