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  • 平成26年10月

各府省庁が所管する政府開発援助(国際機関等への拠出・出資)の実施状況について


3 検査の状況

(1) 国際機関等への拠出・出資の実施状況

ア 拠出・出資予算等の状況

我が国のODAに係る予算は、一般会計(国債整理基金特別会計に繰り入れるものを除く。(注3)以下同じ。)予算のほか、特別会計(国債整理基金特別会計を除く。(注3)以下同じ。)予算、拠出国債及び出資国債(注3)、財政投融資等によって賄われているが、このうち国際機関等への拠出等については、一般会計予算、特別会計予算、拠出国債及び出資国債によって実施されている(以下、国際機関等への拠出等の財源となる一般会計予算、特別会計予算、拠出国債及び出資国債の発行額を合わせて「拠出・出資予算」という。)。

(注3)
拠出国債及び出資国債は、交付国債の一種で、拠出又は出資する現金に代えて、その全部又は一部を払い込むために発行される国債で、いずれも無利子、譲渡禁止、要求払いとなっている。なお、拠出国債及び出資国債の償還は国債整理基金特別会計により行われており、その償還財源については一般会計予算から国債整理基金特別会計に繰り入れられている。

21年度から25年度までの間の11府省庁における拠出・出資予算の内訳の推移は、表2のとおりとなっている。

一般会計予算についてみると、21年度の1935億余円に対して22年度は2138億余円と10%の増加となり、23年度及び24年度は減少が続いたが、25年度は2116億余円と24年度の1955億余円に対して8%の増加となっている。

特別会計予算についてみると、21年度から24年度までは2億余円とほぼ横ばいで、25年度は4億余円と24年度に対して74%の増加となっている。

拠出国債及び出資国債についてみると、21年度の1935億余円に対して22年度は2445億余円と26%の増加となったが、それ以降減少が続き、25年度は1890億余円とピーク時の22年度に対して22%の減少となっている。

表2 11府省庁における拠出・出資予算の内訳(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
内訳\年度 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
一般会計 193,529 213,804 203,297 195,599 211,661 1,017,891
特別会計 292 279 270 286 499 1,629
拠出国債及び出資国債 193,598 244,592 242,991 233,196 189,011 1,103,390
387,421 458,676 446,558 429,082 401,172 2,122,911
(注)
拠出国債及び出資国債の額は、当該年度の発行額である。

そして、21年度から25年度までの間の11府省庁における拠出・出資予算のうち一般会計及び特別会計の予算及び決算の推移は、表3のとおりとなっている。

予算額の府省庁別構成比をみると、外務省が78.1%、財務省が16.2%で、両省が全体の9割以上を占めている。

予算額の推移を府省庁別にみると、総務省、文部科学省、農林水産省及び経済産業省の4省は、毎年度、一般会計の予算が継続して減少しており、内閣府本府は、世界保健機関に対して拠出を行うために、24年度に新たに予算を計上している。財務省の予算は、21年度の257億余円から25年度の477億余円まで継続して増加しているが、これは主として、国際通貨基金等の国際開発金融機関等への拠出額等の増加によるものである。また、環境省の予算は、21年度の3億余円から22年度の13億余円、23年度の42億余円と大幅に増加しているが、これは主として、生物多様性条約第10回締約国会議における我が国の声明に基づいた生物多様性条約拠出金に対する新たな拠出等によるものである。

そして、決算額については、11府省庁とも予算額とほぼ同額であり、執行率は非常に高い状況となっている。

表3 11府省庁における拠出・出資予算のうち一般会計及び特別会計の予算及び決算等の 推移(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
府省庁名 会計名 区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 府省庁別予算
額の構成比
内閣府本府 一般会計 予算額 44 44 0.0%
決算額 40 40
執行率 90.5% 90.5%
金融庁 一般会計 予算額 76 97 85 83 85 429 0.0%
決算額 76 83 81 83 85 412
執行率 99.9% 85.7% 96.3% 99.9% 99.9% 96.0%
総務省 一般会計 予算額 612 568 551 530 530 2,793 0.2%
決算額 603 559 545 528 527 2,763
執行率 98.4% 98.3% 98.9% 99.4% 99.4% 98.9%
外務省 一般会計 予算額 155,702 173,120 159,965 152,480 155,353 796,622 78.1%
決算額 155,701 173,120 159,953 152,431 155,349 796,556
執行率 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9%
財務省 一般会計 予算額 25,745 27,881 29,691 34,311 47,753 165,384 16.2%
決算額 25,745 27,678 29,677 34,309 47,751 165,162
執行率 99.9% 99.2% 99.9% 99.9% 99.9% 99.8%
文部科学省 一般会計 予算額 381 347 299 281 270 1,580 0.1%
決算額 381 347 299 281 270 1,580
執行率 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9%
厚生労働省 一般会計 予算額 7,769 7,765 5,911 5,393 5,406 32,245 3.1%
決算額 7,769 7,765 5,911 5,393 5,406 32,245
執行率 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9%
農林水産省 一般会計 予算額 2,151 2,012 1,822 1,588 1,431 9,005 0.8%
決算額 2,151 2,012 1,821 1,587 1,431 9,004
執行率 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9%
経済産業省 一般会計 予算額 606 576 564 520 488 2,755
決算額 583 566 551 520 488 2,709
執行率 96.2% 98.2% 97.5% 99.9% 99.9% 98.3%
特許特別会計 予算額 292 279 270 286 499 1,629
決算額 292 279 270 286 499 1,629
執行率 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 100.0% 99.9%
予算額 899 856 835 806 988 4,385 0.4%
決算額 876 846 821 806 988 4,338
執行率 97.4% 98.8% 98.3% 99.9% 99.9% 98.9%
国土交通省 一般会計 予算額 143 123 111 114 97 590 0.0%
決算額 143 123 111 114 97 590
執行率 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%
環境省 一般会計 予算額 339 1,310 4,294 250 244 6,439 0.6%
決算額 338 1,310 4,294 250 244 6,438
執行率 99.7% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9%
合計 一般会計 予算額 193,529 213,804 203,297 195,599 211,661 1,017,891
決算額 193,495 213,567 203,247 195,540 211,651 1,017,503
執行率 99.9% 99.8% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9%
特別会計 予算額 292 279 270 286 499 1,629
決算額 292 279 270 286 499 1,629
執行率 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 100.0% 99.9%
合計 予算額 193,822 214,084 203,567 195,885 212,160 1,019,521 100%
決算額 193,788 213,847 203,518 195,826 212,151 1,019,132
執行率 99.9% 99.8% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9%
(注)
「予算額」は、当初予算額に補正予算額等を加えたものである。

イ 国際機関等別の拠出等の状況

検査の対象とした前記の21年度から25年度までの間に拠出等が行われた260件(拠出金等額計2兆1225億余円)の拠出金等について、拠出等を受けた国際機関等を分類して、それぞれについて義務的拠出金、任意拠出金及び出資金の別に拠出金等の額を取りまとめたところ、表4のとおり、金額では、国際開発金融機関等への拠出等が1兆1233億余円で全体の52%、次いで国連(基金及び計画)への拠出等が4372億余円で全体の20%を占めており、また、件数では、その他の国際機関等への拠出等が124件で全体の47%、次いで国連(基金及び計画)への拠出等が55件で全体の21%を占めている。

表4 国際機関等別及び資金の種類別の拠出等状況(平成21年度~25年度)

(単位:件、百万円)
国際機関等の分類 資金の種類 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数   金額
構成比 構成比
国連(事務局) 義務的拠出金 3 13,417 3 8,109 3 8,092 3 6,849 3 7,914 3 44,382
任意拠出金 15 6,964 12 4,672 11 3,066 11 3,322 12 3,086 16 21,111
出資金 - - - - - - - - - - - -
18 20,381 15 12,781 14 11,159 14 10,171 15 11,000 19 7.3% 65,493 3.0%
国連(基金及び計画) 義務的拠出金 10 3,339 10 3,035 10 2,821 10 3,255 10 2,125 10 14,577
任意拠出金 30 82,425 33 107,811 31 81,445 31 79,646 33 71,388 45 422,718
出資金 - - - - - - - - - - - -
40 85,765 43 110,846 41 84,267 41 82,901 43 73,514 55 21.1% 437,295 20.6%
国連専門機関 義務的拠出金 12 14,008 12 14,131 12 11,733 12 11,048 12 10,852 12 61,774
任意拠出金 17 16,241 18 57,253 18 53,406 19 56,224 21 19,041 29 202,168
出資金 - - - - - - - - - - - -
29 30,250 30 71,384 30 65,140 31 67,273 33 29,893 41 15.7% 263,942 12.4%
国際開発金融機関 義務的拠出金 - - - - - - - - - - - -
任意拠出金等 9 70,201 11 71,593 12 82,745 13 87,527 12 89,514 14 401,581
出資金 2 136,730 3 150,993 6 156,275 6 139,778 6 137,972 7 721,750
11 206,931 14 222,586 18 239,020 19 227,306 18 227,486 21 8.0% 1,123,332 52.9%
その他 義務的拠出金 27 4,506 27 4,115 27 3,415 27 3,245 28 3,227 28 18,510
任意拠出金 65 39,551 72 36,725 82 43,505 77 38,124 69 56,040 99 213,948
出資金 - - - - - - - - - - - -
90 44,058 97 40,840 107 46,921 102 41,370 94 59,268 124 47.6% 232,458 10.9%
合計 義務的拠出金 52 35,272 52 29,390 52 26,063 52 24,398 53 24,119 53 139,244
任意拠出金 136 215,384 146 278,055 154 264,169 151 264,845 147 239,071 203 1,261,527
出資金 2 136,730 3 150,993 6 156,275 6 139,778 6 137,972 7 721,750
合計 188 387,387 199 458,440 210 446,509 207 429,023 203 401,162 260 100% 2,122,523 100%
(注)
一部の拠出金において、義務的拠出金と任意拠出金が複合的に拠出されているものがあるため、件数 を合計しても計と一致しないものがある。

また、21年度から25年度までの間に11府省庁から拠出等された拠出金等が多い上位10国際機関等について、その各年度の拠出金等の額を取りまとめたところ、表5のとおり、国際開発金融機関等又は国連(基金及び計画)に分類される国際機関等がそれぞれ4国際機関等ある。

国際開発金融機関等の上位2国際機関等についてみると、国際開発協会に対する増資に伴う出資やアジア開発銀行に対する増資に伴う出資等となっている。また、国連(基金及び計画)の上位2国際機関等についてみると、国際連合開発計画における技術協力活動を支援するための拠出や国際連合難民高等弁務官事務所における難民・国内避難民等の支援のための事業に対する拠出となっている。

表5 上位10国際機関等への拠出金等の額(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
国際機関等名 国際機関
等の分類
拠出金等名 府省庁名 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 構成比
国際開発協会 国際開発金融機関等 国際開発協会出資金 財務省 120,898 120,898 111,548 111,856 111,178 576,380 35.1%
アジア開発銀行 国際開発金融機関等 52,695 63,640 63,815 62,307 57,889 300,347 18.2%
アジア開発銀行拠出金 外務省 - 1,880 4,450 3,240 1,066 10,636
アジア開発銀行出資金 財務省 - 9,841 8,762 8,129 10,216 36,949
アジア開発銀行(アジア開発基金) 拠出金 44,001 44,001 44,001 44,001 39,269 215,275
アジア開発銀行拠出金 8,694 7,917 6,601 6,936 7,337 37,486
国際連合開発計
国連(基金及び計画) 34,721 40,457 34,921 24,015 30,316 164,431 10.0%
アジア・アフリカ協力基金拠出金 外務省 115 92 - - - 208
TICADプロセス支援拠出金 - - 76 69 73 219
国際連合開発計画拠出金(コア・ファンド) 7,632 6,891 7,308 6,518 6,598 34,949
日本・パレスチナ開発基金 127 100 96 79 70 474
日UNDPパートナーシップ基金拠出金 26,845 33,067 27,440 16,567 19,666 123,587
国際連合開発計画拠出金(グローバルヘルス技術振興基金) - - - 700 2,800 3,500
国際連合開発計画拠出金 - 305 - - - 305
国際連合開発計画拠出金(アフガニスタン法秩序信託基金) - - - - 1,025 1,025
国際連合開発計画拠出金(ソマリア海賊訴追能力強化支援のための国際信託基金) - - - - 82 82
国際連合政務局拠出金 - - - 81 - 81
気候投資基金 国連専門機関 気候投資基金拠出金 財務省 - 37,062 37,062 37,062 - 111,186 6.7%
国際復興開発銀
国際開発金融機関等 10,276 11,806 40,002 25,972 17,493 105,551 6.4%
国際復興開発銀行・国際開発協会拠出金 外務省 - 1,880 12,282 8,910 5,740 28,812
世銀パレスチナ改革・開発計画信託基金拠出金 - - - 810 - 810
国際復興開発銀行出資金 財務省 - - 19,193 3,921 - 23,114
国際復興開発銀行・国際開発協会拠出金 10,276 9,926 8,527 12,331 11,753 52,815
世界エイズ・結
核・マラリア対
策基金
その他 世界エイズ・結核・マラリア対策基金拠出金 外務省 18,850 16,739 19,233 10,268 33,726 98,818 6.0%
国際連合難民高
等弁務官事務所
国連(基金及び計画) 国際連合難民高等弁務官事務所拠出金 外務省 13,643 19,898 15,334 19,520 15,232 83,630 5.0%
アフリカ開発基
国際開発金融機関等 アフリカ開発基金出資金 財務省 15,831 20,254 12,812 12,812 12,813 74,524 4.5%
国際連合世界食
糧計画
国連(基金及び計画) 14,317 19,267 10,850 12,058 7,909 64,403 3.9%
国際連合世界食糧計画拠出金 外務省 14,112 19,098 10,765 11,981 7,832 63,791
国際連合世界食糧計画拠出金 農林水産省 204 168 84 76 76 611
国際連合児童基
国連(基金及び計画) 国際連合児童基金拠出金 外務省 10,155 11,729 12,611 17,286 10,357 62,140 3.7%
291,389 361,754 358,192 333,161 296,916 1,641,415 100%

ウ 種類別の拠出等の状況

(ア) 義務的拠出金

義務的拠出金は、前記のとおり、国際機関等の事務局運営費等に充てるための財源として、国際機関等の設立条約等により加盟国等が定められた額を義務的に支出するもの、又は、国際機関等の設立条約等には直接定められていないが、当該国際機関等の総会決議等により加盟国等が負担を求められた額を義務的に支出するものである。

そして、その拠出額は、当該国際機関等の予算等と設立条約、総会の決議等によって決定された個々の加盟国の分担率等とにより算定されるものなどとなって いる。

21年度から25年度までの間の我が国の義務的拠出金の拠出状況をみたところ、表6のとおり、義務的拠出金は一般会計予算及び特別会計予算によって拠出され、その件数は21年度から24年度までは52件、25年度は53件とほぼ横ばいで推移しているが、拠出額は毎年度減少しており、25年度の241億余円は21年度の352億余円の3分の2程度となっている。これは主として、国連通常予算分担率(注4)が見直されたことに伴い、多くの義務的拠出金がこの国連通常予算分担率に基づくなどして算出されていることから、我が国の拠出額が減少したことなどによるものである。

表6 我が国の義務的拠出金の拠出状況(平成21年度~25年度)

(単位:件、百万円)
内訳\年度 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
一般会計 51 35,249 51 29,368 51 26,042 51 24,376 52 24,097 52 139,133
特別会計 1 23 1 22 1 21 1 22 1 22 1 111
52 35,272 52 29,390 52 26,063 52 24,398 53 24,119 53 139,244
(注4)
国連通常予算分担率 加盟国の国民総所得を基礎としながら、各種の調整等が加えられて算出される分担率である。3年ごとに国連総会で見直されることとなっていて、我が国の分担率は、平成19年から21年まで16.624%、22年から24年まで12.530%、25年から27年まで10.833%となっている。

また、義務的拠出金の主な使途をみたところ、表7のとおり、件数で事務局運営費が全体の73%、次いで技術協力の実施が16%を占めている。

表7 我が国の義務的拠出金の主な使途(平成21年度~25年度)

主な使途 件数 構成比
事務局運営費 39件 73.5%
技術協力の実施 9件 16.9%
会議の開催 3件 5.6%
その他 2件 3.7%
53件 100 %
(イ) 任意拠出金

任意拠出金は、前記のとおり、国際機関等の実施する事業等のうち、我が国が重視する特定国・地域又は特定分野の事業等、我が国が有益と認め、支援すべきと判断した事業等に対して自発的に支出するものである。そのため、任意拠出金は、事業等ごとに拠出等先の国際機関等において他の事業目的の資金等と区分して経理されている。

そして、その拠出額は、拠出の目的となる事業等の実施経費等に充てるために必要な額が積算されるなどして算定されている。

21年度から25年度までの間の我が国の任意拠出金の拠出状況をみたところ、表8のとおり、任意拠出金は一般会計予算、特別会計予算及び拠出国債によって拠出されている。

一般会計についてみると、21年度の拠出額1582億余円に対して22年度は1801億余円と13%の増加となり、23年度及び24年度は減少が続いたが、25年度は1836億余円と24年度の1680億余円に対して9%の増加となっている。

特別会計についてみると、21年度から24年度まで横ばい傾向が続き、25年度の拠出額は4億7784万円と24年度の2億6372万余円に対して81%の増加となっている。

拠出国債についてみると、21年度の拠出額568億余円に対して、22年度は976億余円と71%の増加となり、それ以降24年度まで横ばい傾向が続き、25年度は549億余円と24年度の965億余円に対して43%の減少となっている。

表8 我が国の任意拠出金の拠出状況(平成21年度~25年度)

(単位:件、百万円)
内訳\年度 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
一般会計 131 158,246 140 180,194 147 168,733 145 168,043 142 183,681 196 858,899
特別会計 1 269 1 257 1 249 1 263 1 477 1 1,518
拠出国債 4 56,868 5 97,603 6 95,187 5 96,538 4 54,912 6 401,110
136 215,384 146 278,055 154 264,169 151 264,845 147 239,071 203 1,261,527

一般会計において、25年度に大幅な増加となったのは、主として、開発途上国におけるエイズ、結核及びマラリアの三大感染症対策に対する支援等を実施するための世界エイズ・結核・マラリア対策基金拠出金が234億余円、国際通貨基金に加盟する開発途上国のマクロ政策等に係る技術支援等を実施するための国際通貨基金拠出金が124億余円、それぞれ増加したことなどによるものである。

特別会計において、25年度に大幅な増加となったのは、開発途上国における知的財産制度、運用の整備支援等を実施するための世界知的所有権機関拠出金(工業所有権)が増加したことによるものである。

拠出国債において、22年度に大幅な増加となったのは、主として、気候投資基金に対する開発途上国の気候変動対策支援プロジェクト等を実施するための気候投資基金拠出金370億余円が新たに拠出されたことや、地球環境ファシリティ拠出金における第5次増資に伴う拠出が第4次増資よりも36億余円増加したことなどによるものである。また、25年度に大幅な減少となったのは、主として、上記の気候投資基金拠出金における拠出が24年度まであったことと、アジア開発銀行(アジア開発基金)拠出金の拠出が47億余円減少したことなどによるものである。

拠出国債については、発行の上限額が「アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律」(昭和41年法律第138号)等にそれぞれ規定されるなどしており、その範囲内で拠出国債の発行による拠出が行われている。一般会計からの支出に代えて拠出国債を発行することにより、その償還期日まで支出を繰り延べることができることとなる。そして、発行された拠出国債は、国際機関等の増資時等における総務会決議等で定められた償還のスケジュールに従うなどして償還が順次行われている。

拠出国債の発行額、償還額及び当該年度末における全ての発行済拠出国債に係る未償還額の状況をみたところ、表9のとおり、拠出国債の発行時の償還条件により未償還額が生じているものと生じていないものがあり、米州開発銀行(特別業務基金)拠出金については、拠出国債を発行した年度内にその発行額の償還を行っていることから、未償還額が生じていない。一方、国際農業開発基金拠出金、気候投資基金拠出金、地球環境ファシリティ拠出金、アジア開発銀行(アジア開発基金)拠出金及び米州開発銀行(多数国間投資基金)拠出金の5拠出金については、拠出国債の発行年度の翌年度以降に償還期日が到来するものがあるため、未償還額が生じている。そして、25年度末における未償還額は、国際農業開発基金拠出金が44億余円、気候投資基金拠出金が231億余円、地球環境ファシリティ拠出金が295億余円、アジア開発銀行(アジア開発基金)拠出金が1079億余円、米州開発銀行(多数国間投資基金)拠出金が22億余円となっている。

表9 拠出国債の発行額等の状況(平成21年度~25年度)

(単位:件、百万円)
拠出金等名 区分\年度 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
国際農業開発基金拠出金 発行額 1 3,187 1 3,187 1 213 1 2,965 1 2,965 1 12,518
償還額 1 908 1 2,502 1 1,807 1 1,593 1 3,076 1 9,889
未償還額 1 4,096 1 4,781 1 3,187 1 4,558 1 4,447
気候投資基金拠出金 発行額 - - 1 37,062 1 37,062 1 37,062 - - 1 111,186
償還額 - - 1 32,429 1 18,531 1 18,531 1 18,531 1 88,022
未償還額 - - 1 4,632 1 23,163 1 41,694 1 23,163
地球環境ファシリティ拠出金 発行額 1 8,421 1 12,094 1 12,094 1 12,094 1 12,094 1 56,799
償還額 1 10,491 1 6,101 1 12,619 1 9,862 1 9,480 1 48,557
未償還額 1 19,282 1 25,274 1 24,749 1 26,980 1 29,593
アジア開発銀行 (アジア開発基金)拠出金 発行額 1 44,001 1 44,001 1 44,001 1 44,001 1 39,269 1 215,275
償還額 1 27,890 1 34,037 1 39,032 1 39,760 1 46,981 1 187,702
未償還額 1 96,511 1 106,475 1 111,444 1 115,685 1 107,973
米州開発銀行(特別業務基金)拠出金 発行額 - - - - 1 558 1 416 1 583 1 1,557
償還額 - - - - 1 558 1 416 1 583 1 1,557
未償還額 - - - - - - - - - -
米州開発銀行(多数国間投資基金)拠出金 発行額 1 1,257 1 1,257 1 1,257 - - - - 1 3,773
償還額 1 3,370 1 817 1 1,069 1 1,257 1 1,257 1 7,773
未償還額 1 4,150 1 4,590 1 4,778 1 3,521 1 2,263
発行額  計 4 56,868 5 97,603 6 95,187 5 96,538 4 54,912 6 401,110
償還額  計 4 42,661 5 75,888 6 73,618 6 71,422 6 79,910 6 343,501
未償還額  計 4 124,040 5 145,754 5 167,323 5 192,440 5 167,442

また、任意拠出金の主な使途をみたところ、表10のとおり、件数で技術協力の実施が全体の49%を占めている。そして、この技術協力の具体的な内容としては、研修生の受入れ、専門家の派遣、調査研究の実施、セミナー等の開催等となっている。

表10 我が国の任意拠出金の主な使途(平成21年度~25年度)

主な使途 件数 構成比
技術協力の実施 100件 49.2%
事務局運営費 19件 9.3%
会議の開催 13件 6.4%
融資 5件 2.4%
日本からの派遣職員の人件費 4件 1.9%
その他 62件 30.5%
203件 100 %

任意拠出金は、拠出する国等が使途を特定したもの(以下「イヤーマーク拠出金」という。)と、拠出する国等が使途を特定することなく国際機関等へその使途を委ねたもの(以下「ノンイヤーマーク拠出金」という。)に区分される。そして、イヤーマーク拠出金については、その使途が拠出する国等の特定した事業に限られることとなり、事業実施の際には拠出する国等の承認が必要となるなど、拠出する国等の裁量の幅がノンイヤーマーク拠出金に比べ大きくなっている。

イヤーマーク拠出金及びノンイヤーマーク拠出金の拠出状況をみたところ、表11のとおり、各年度とも、イヤーマーク拠出金の拠出件数がノンイヤーマーク拠出金の拠出件数の約2倍となっているが、拠出額については両者に大きな差はなく、1件当たりの1年度の平均拠出額は、イヤーマーク拠出金11億3811万余円であるのに対して、ノンイヤーマーク拠出金24億3113万余円と約2倍となっている。これはノンイヤーマーク拠出金に拠出額が大きい拠出国債が含まれていることなどによるものである。

表11 イヤーマーク拠出金及びノンイヤーマーク拠出金の拠出状況(平成21年度~25年度)

(単位:件、百万円)
区分\年度 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
イヤーマーク 拠出金 104 118,933 110 140,979 119 124,685 118 134,500 117 127,352 160 646,450
ノンイヤーマーク 拠出金 47 96,451 53 137,076 54 139,484 51 130,345 48 111,718 65 615,077
136 215,384 146 278,055 154 264,169 151 264,845 147 239,071 203 1,261,527
(注)
一つの任意拠出金においてイヤーマーク拠出金とノンイヤーマーク拠出金が複合的に拠出されているものなどがあるため件数の計は一致しない。
(ウ) 出資金

出資金は、前記のとおり、開発途上国が実施する開発プロジェクト等に必要な資金に対して緩やかな条件で融資等を行う国際開発金融機関等の資本金への出資の形で支出するものである。なお、拠出金と異なり、出資額等に応じて当該国際開発金融機関等の議決権等が与えられる。

そして、各加盟国等の出資額は、国際開発金融機関等の増資等の計画に応じて、当該国際開発金融機関等の総務会等で決定されている。

21年度から25年度までの間の我が国の出資金の出資状況をみたところ、表12のとおり、出資金は一般会計予算及び出資国債によって出資されている。

一般会計についてみると、22年度から25年度までの間に、アジア開発銀行の増資に対する出資としてアジア開発銀行出資金が144億余円計上され、23年度に、国際復興開発銀行の増資に対する国際復興開発銀行出資金が24億余円、アフリカ開発銀行の増資に対するアフリカ開発銀行出資金が24億余円計上されている。また、25年度に、米州投資公社の増資に対する米州投資公社出資金が8118万円計上されている。

出資国債についてみると、21年度から25年度までの間に、主なものとして、国際開発協会における第15次増資及び第16次増資に伴う国際開発協会出資金が5763億余円、アフリカ開発基金における第11次増資及び第12次増資に伴うアフリカ開発基金出資金が745億余円出資されている。また、上記のアジア開発銀行、国際復興開発銀行及びアフリカ開発銀行については、一般会計のほかに、出資国債によっても出資されている。

なお、21年度から25年度まで出資の実績はないが、20年度以前に出資の実績があったのは、国際金融公社、多数国間投資保証機関及び欧州復興開発銀行の3国際機関等となっている。

表12 我が国の出資金の出資状況(平成21年度~25年度)

(単位:件、百万円)
内訳\年度 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
一般会計 - - 1 4,004 3 8,471 1 3,121 2 3,872 4 19,470
特別会計 2 136,730 3 146,989 5 147,803 6 136,657 5 134,099 6 702,280
2 136,730 3 150,993 6 156,275 6 139,778 6 137,972 7 721,750
(注)
一部の出資金において、一般会計及び出資国債によって出資されているものがあるため、件数を合計しても計と一致しないものがある。

出資国債については、拠出国債と同様に、発行の上限額が「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律」(昭和27年法律第191号)等にそれぞれ規定されるなどしており、その範囲内で出資国債の発行による出資が行われている。そして、発行された出資国債は、国際開発金融機関等の増資時等における総務会決議等で定められた償還のスケジュールに従うなどして償還が順次行われている。

出資国債の発行額、償還額及び当該年度末における全ての発行済出資国債に係る未償還額の状況をみたところ、表13のとおり、出資国債の発行時の償還条件により未償還額が生じているものと生じていないものがあり、国際復興開発銀行出資金、米州開発銀行出資金及びアフリカ開発銀行出資金の3出資金については、出資国債を発行した年度内にその発行額の償還を行っていることから、未償還額が生じていない。一方、国際開発協会出資金、アジア開発銀行出資金及びアフリカ開発基金出資金の3出資金については、出資国債の発行年度の翌年度以降に償還期日が到来するものがあるため、未償還額が生じている。そして、25年度末における未償還額は、国際開発協会出資金が600億余円、アジア開発銀行出資金が224億余円、アフリカ開発基金出資金が400億余円となっている。また、欧州復興開発銀行出資金については、21年度に3億余円の償還が行われており、22年度以降、出資国債の発行及び償還は行われていない。

表13 出資国債の発行額等の状況(平成21年度~25年度)

(単位:件、百万円)
拠出金等名 区分\年度 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
国際復興開発銀行
出資金
発行額 - - - - 1 16,716 1 3,921 - - 1 20,637
償還額 - - - - 1 16,716 1 3,921 - - 1 20,637
未償還額 - - - - - - - - - -
国際開発協会出資
発行額 1 120,898 1 120,898 1 111,548 1 111,856 1 111,178 1 576,380
償還額 1 188,359 1 87,409 1 144,463 1 104,240 1 105,947 1 630,420
未償還額 1 46,666 1 80,155 1 47,240 1 54,857 1 60,088
アジア開発銀行出
資金
発行額 - - 1 5,836 1 5,213 1 5,008 1 6,425 1 22,483
償還額 - - - - - - - - - - - -
未償還額 - - 1 5,836 1 11,050 1 16,058 1 22,483
アフリカ開発基金
出資金
発行額 1 15,831 1 20,254 1 12,812 1 12,812 1 12,813 1 74,524
償還額 1 17,407 1 16,850 1 13,635 1 18,213 1 14,889 1 80,996
未償還額 1 44,996 1 48,399 1 47,576 1 42,174 1 40,099
米州開発銀行出資
発行額 - - - - 1 1,512 1 949 1 1,580 1 4,043
償還額 - - - - 1 1,512 1 949 1 1,580 1 4,043
未償還額 - - - - - - - - - -
アフリカ開発銀行
出資金
発行額 - - - - - - 1 2,109 1 2,100 1 4,209
償還額 - - - - - - 1 2,109 1 2,100 1 4,209
未償還額 - - - - - - - - - -
欧州復興開発銀行
出資金
発行額 - - - - - - - - - - - -
償還額 1 380 - - - - - - - - 1 380
未償還額 - - - - - - - - - -
発行額計 2 136,730 3 146,989 5 147,803 6 136,657 5 134,099 6 702,280
償還額計 3 206,147 2 104,260 4 176,328 5 129,434 4 124,518 6 740,689
未償還額  計 2 91,662 3 134,392 3 105,867 3 113,090 3 122,670

国際機関等への出資金は、国有財産法(昭和23年法律第73号)に基づき、国有財産として管理されている。そして、国有財産法施行令(昭和23年政令第246号)第23条の規定等に基づき、各省各庁の長は、その所管に属する出資金等の国有財産について、毎会計年度、当該年度末の現況において、財務大臣の定めるところにより評価し、その評価額(注5)により国有財産の台帳価格を改定しなければならないこととなっている。

(注5)
評価額 国際機関等への出資金については、市場価格のない政府出資等として、次の算式により評価することとなっている。
評価額=(総資産額-総負債額)×出資割合×基準外国為替相場等

そこで、24年度末現在において国有財産として管理されている国際機関等への出資金について、21年度から24年度までの間の出資額、20年度以前の出資額を含めるなどした24年度末国有財産台帳上の出資累計額及び24年度末国有財産台帳上の評価額をみたところ、表14のとおり、国際復興開発銀行等8国際機関等は出資累計額より評価額の方が計5311億余円大きくなっているが、国際開発協会及びアフリカ開発基金の2国際機関等は出資累計額より評価額の方が計1兆4552億余円小さくなっている。

表14 我が国の出資金の評価額(平成24年度末現在)

(単位:百万円)
国際機関等名 平成21年度から24年度までの間の出資額 国有財産台帳上
の出資累計額
(A)
国有財産台帳
上の評価額
(B)
差額
(B)-(A)
平成21年度 22年度 23年度 24年度
国際復興開発銀行 - - 19,193 3,921 98,998 288,742 189,744
国際金融公社 - - - - 11,435 99,217 87,782
国際開発協会 120,898 120,898 111,548 111,856 3,437,953 2,104,180 △ 1,333,773
アジア開発銀行 - 9,841 8,762 8,129 100,592 202,463 101,871
アフリカ開発基金 15,831 20,254 12,812 12,812 316,623 195,112 △ 121,511
米州開発銀行 - - 1,512 949 18,343 79,312 60,969
アフリカ開発銀行 - - 2,446 2,109 20,688 39,233 18,545
米州投資公社  (注) - - - - 1,890 2,133 243
多数国間投資保証機関 - - - - 1,493 3,719 2,226
欧州復興開発銀行 - - - - 54,899 124,626 69,727
136,730 150,993 156,275 139,778 4,062,914 3,138,737 △ 924,177
(注)
米州投資公社に対して、平成20年度以前に加えて25年度において出資の実績がある。

上記の2国際機関等のうち、出資累計額より評価額の方が1兆3337億余円小さくなっている国際開発協会は、所得水準の特に低い開発途上国に対して超長期・低利の融資、贈与及び技術支援を行い、当該国の経済開発や貧困削減を支援する国際開発金融機関等である。評価額が減少した主な要因は、1996年(平成8年)に世界銀行及び国際通貨基金によって提唱され、各国政府によって合意された重債務貧困国を対象とした債務救済計画が実施されるなどして対象国の債務免除等を行った結果、純資産が毀損したことによるものである。

エ 20年度以前に拠出された拠出金の状況

国際機関等に拠出された義務的拠出金及び任意拠出金は、当該国際機関等において管理され、開発途上国への支援事業等に使用されることになる。また、これらの中には、開発途上国への支援事業等が複数年にわたるものや、国際情勢等の変化により事業が延期されるなどして長期化しているものも見受けられる。

そこで、21年度から25年度までの間は拠出されていないが、拠出金等報告書の作成が始まった15年の同報告書の記載対象年度である14年度から20年度までの間に拠出された義務的拠出金及び任意拠出金のうち、26年3月末時点において存続しているもの(以下「20年度以前の拠出金」という。)をみたところ、表15のとおり、拠出等の種類は、10件全てが任意拠出金となっていて、最終拠出年度は14年度から19年度となっている。

表15 20年度以前の拠出金

府省庁名 国際機関等名 拠出金等名 最終拠出年度 事業実施状況
外務省 国際連合 国連開発協力信託基金拠出金 平成14年度 継続
昭憲皇太后基金合同委員会 昭憲皇太后基金拠出金 14年度 継続
国際連合アフリカ経済委員会 国際連合アフリカ経済委員会拠出金 15年度 21年度終了。残余金返納手続中。
ASEAN 日ASEAN包括的経済連携協力基金拠出金(AJCEP) 18年度 継続
ASEAN 東アジア青少年交流基金拠出金(ASEAN事務局)(JENESYS) 18年度 23年度終了。残余金算定中。
南アジア地域協力連合 日本・SAARC特別基金(JENESYS) 18年度 23年度終了。残余金返納手続中。
アジア欧州財団 アジア欧州財団拠出金(鳥・新型インフルエンザ対策支援事業) 19年度 継続
国際原子力機関 核不拡散基金拠出金(ユーロ分) 19年度 継続
財務省 国際連合貿易開発会議 国連貿易開発会議・特恵技術援助計画拠出金 15年度 25年第1四半期まで休止後、第2四半期より事業開始
世界エイズ・結核・マラリア対策基金 世界エイズ・結核・マラリア対策基金拠出金 16年度 継続

そして、これらの21年度から25年度までの事業実施状況をみると、国連開発協力信託基金拠出金等6拠出金については継続して事業が実施されていたが、国際連合アフリカ経済委員会拠出金については、21年度に事業が終了し、国際連合アフリカ経済委員会において残余金の返納手続が行われている。また、東アジア青少年交流基金拠出金(ASEAN事務局)(JENESYS)及び日本・SAARC特別基金(JENESYS)は定められていた事業終期が到来するなどしたため、いずれも23年度に事業が終了し、前者についてはASEAN事務局において残余金の算定が行われ、後者については南アジア地域協力連合において残余金の返納手続が行われている。さらに、国連貿易開発会議・特恵技術援助計画拠出金は2013年(平成25年)第1四半期まで事業が休止され、同年第2四半期から新たな事業が開始されている。

(2) 11府省庁における拠出金等の管理等の状況

ア 拠出金等の管理の状況

(ア) 国際機関等からの会計報告

国際機関等は、設立条約等に基づき、その事業を主体的に実施している。このため、拠出等を受けた拠出金等の使途及び管理については、合理的な範囲内で当該国際機関等の判断等を尊重することが求められている。

しかし、我が国が拠出等する拠出金等の原資は、我が国の国民が納める税金等により賄われていることなどを考慮すると、所管府省庁は、国際機関等から定期的に会計報告等を受領し、その資金の管理状況、事業の進捗状況等を適時適切に把握、分析するなどした上で、拠出等の効果を把握し、更なる追加拠出等の必要性について判断を行ったり、当該国際機関等に対して、事業内容の見直しなどの意見を提示したりなどすることが重要となる。

そこで、検査の対象とした拠出金等273件から一つの拠出金等において複数の国際機関等に拠出されているなどのため分類が困難な2件を除いた271件について、11府省庁が国際機関等に拠出等する際に、国際機関等と締結した拠出等の条件等を定める覚書又は合意書等における会計報告の提出に係る規定の有無及びその提出状況を会計実地検査時点においてみたところ、表16のとおり、会計報告の提出に係る規定があるものは全体の88%を占める240件ある一方、規定がないものも31件ある状況となっている。

また、会計報告が提出されていたものは全体の87%を占める238件ある一方、事業ごとに区分経理された会計報告のうち一部の事業に係る会計報告が提出されていないものが13件、また、会計報告が提出されていないものが20件、計33件ある状況となっている。

さらに、会計報告の提出と会計報告の提出に係る規定との関係についてみると、会計報告が提出されていた238件のうち、規定があるものが212件、規定がないものが26件となっており、また、会計報告が提出されていない計33件のうち、規定があるものが28件、規定がないものが5件となっている。

表16 会計報告に係る規定の有無及びその提出状況

(単位:件)
会計報告の提出状況 拠出金等数
規定があるもの 規定がないもの
会計報告が提出されていたもの 212 26 238
事業ごとに区分経理された会計報告のうち一部の事業に係る会計報告が提出されていないもの(注) 11 2 13
会計報告が提出されていないもの(注) 17 3 20
240 31 271
(注)
新たに拠出等が開始され、その拠出等の属する会計期間の末日がまだ到来していないものなどを含む。

拠出等されてから会計報告の提出までには一定期間を要することを考慮して、会計報告が提出されていない計33件のうち、拠出等されてから2年以上経過している23年度以前の拠出等がある9件についてみると、8件は会計報告の提出に係る規定があるにもかかわらず提出されていなかったものであり、残りの1件は会計報告の提出に係る規定がないものである。

次に、会計報告が提出されていた238件及び事業ごとに区分経理された会計報告のうち一部の事業に係る会計報告が提出されていない13件の計251件について、その提出時期についてみると、このうち235件は拠出等先の国際機関等の翌会計期間内に提出されていたが、16件は翌会計期間終了後に提出されていた。そして、この翌会計期間終了後に提出されていた16件の会計報告の提出に係る規定との関係をみると、このうち5件は会計報告の提出に係る規定がないものであり、また、9件は会計報告の提出に係る規定はあるものの時期について定めがないものである。

所管府省庁は、前記のとおり、国際機関等から定期的に会計報告を受領することによって、国際機関等の資金の管理状況、事業の進捗状況等を適時適切に把握し、これらの状況等を分析するなどした上で拠出等の効果を把握し、更なる追加拠出等の必要性について判断等を行うことになる。

このため、会計報告の提出に係る規定がなかったり、規定があっても提出の時期について定めがなかったりしているものは適切に定めるよう、規定があっても規定どおりに提出されていないものは適時適切に提出されるよう、さらに、一定期間が経過しているのに会計報告が提出されていないものは速やかに提出されるよう、国際機関等に対して照会や働きかけなどを行う必要があると認められる。

前記の事業ごとに区分経理された会計報告のうち一部の事業に係る会計報告が提出されていないものについて、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

外務省は、国際連合環境計画の内部機関である国際環境技術センターが実施する水質管理や廃棄物管理の分野で開発途上国等に対して環境上適正な技術を移転するための事業等に対して、平成3年度以降UNEP国際環境技術センター拠出金を拠出していて、19年度に拠出した1億0440万余円は、イラク南部湿原の保全等を目的としたイラク南部湿原管理プロジェクトに使途を特定したイヤーマーク拠出金として拠出したものである。

しかし、同プロジェクトに係る会計報告については、会計報告の提出に係る規定はあるものの、同拠出金に係るプロジェクトが2009年(平成21年)に終了しているのに、同センターから同省に対して提出されておらず、同拠出金の執行状況を把握できない状況となっていた。

なお、同省は、従来、同センターに対して会計報告の提出を依頼しているとしている。

また、拠出先の国際機関等において財務管理の体制等が整備されていなかったことから、会計報告が提出されていないものについて、事例を示すと次のとおりである。

<事例2>

日・アセアン経済産業協力委員会は、ASEANの産業競争力の強化、日本とASEANとの産業協力の推進等を目的として、平成9年10月の日・アセアン経済大臣会合及び同年12月の日・アセアン首脳会議における合意の下、設立された機関であり、同委員会の事務局業務は、10年11月の同委員会の本会合の合意により、ASEAN事務局と財団法人海外貿易開発協会(24年3月30日から25年3月31日までは財団法人海外産業人材育成協会、25年4月1日以降は一般財団法人海外産業人材育成協会。以下「協会」という。)が共同で行うこととなっている。

経済産業省は、上記目的のために、同委員会に対して14年度から毎年度拠出し、25年度までの間に計9億0667万余円を拠出している。そして、拠出に当たっては、事務局業務を行っている協会に全額支出し、協会が拠出金の管理を行っている。

しかし、同省は同委員会と会計報告の提出に係る規定を定めていないなど財務管理の体制等について具体的な取決めを行っていなかったことから、当該拠出金の経理は協会の財務諸表に計上されているものの、同委員会において財務諸表等の会計書類は作成されておらず、協会から同省に対して当該拠出金に係る収支が示されるのみとなっていた。

なお、同省は、現在、同委員会の財務管理の体制等を整備するために、同委員会及びASEANと協議を行っているとしている。

(イ) 国際機関等における会計監査

国際機関等において、会計報告が適切な会計処理に基づいて作成されるためには、会計監査等のチェック体制が整備されていることが必要となる。

そこで、会計報告が提出されていた238件及び事業ごとに区分経理された会計報告のうち一部の事業に係る会計報告が提出されていない13件の計251件の拠出等先である132国際機関等における会計監査の実施状況をみたところ、表17のとおり、132国際機関等の全てにおいて会計監査が実施されていた。

そして、その内訳をみると、全体の93%を占める123国際機関等において外部監査が実施されていたが、9国際機関等においては内部監査のみが実施されていた。

表17 会計監査の実施状況

(単位:国際機関等、件)
会計監査の実施状況 国際機関等数 拠出金等数
会計監査が実施されていたもの 132 251
内部監査のみ実施 9 13
外部監査のみ実施 60 86
内部監査及び外部監査の両方を実施 63 152

次に、外部監査が実施されていた123国際機関等について、その監査実施機関をみると、国連(事務局)、国連(基金及び計画)及び国連専門機関に分類される国連関係の41国際機関等のうち25国際機関等では国連会計検査委員会により実施されており、また、上記の国連関係以外に分類される82国際機関等のうち72国際機関等では民間の監査法人等により、7国際機関等では国際機関等の加盟国の会計検査院により実施されていた。

所管府省庁は、国際機関等の資金の管理状況、事業の進捗状況等の把握を適切なものとするために、国際機関等における会計監査等のチェック体制やその監査結果を十分に把握していくことが必要である。

(ウ) 国際機関等における事後評価

拠出金等の拠出先となっている国際機関等の中には、その実施した事業について、各国際機関等の評価基準等に従って事後評価を行っているものもある。

そこで、検査の対象とした拠出金等273件から分類が困難な2件を除いた271件の拠出等の事後評価の実施状況をみたところ、表18のとおり、188件(69%)において事後評価が実施されていた。

表18 事後評価の実施状況

(単位:件)
事後評価の実施状況 拠出金等数
事後評価が実施されていたもの 188
事後評価が実施されていなかったもの 83
271

所管府省庁は、国際機関等が実施した事業の事後評価の結果を適切に把握することによって、拠出等の効果を把握することにもなり、当該事業について、追加の拠出等を行ったり、事業内容の見直しを求めたりすることの適否をより適切に判断することができることになるから、国際機関等における事後評価の実施状況やその評価結果を十分に把握していくことが必要である。

イ 拠出金等の繰越等の状況

任意拠出金は、前記のとおり、義務的拠出金や出資金と異なり、その拠出額が我が国において算定され、支援すべきと判断した事業に対して自発的に支出するものである。

そのため、所管府省庁は、任意拠出金の拠出に当たっては、国際機関等から提出される会計報告等により支出状況や繰越額の状況等を把握した上で追加拠出の必要性やその拠出額について判断したり、事業の実施が低調な場合はその実施を働きかけたりして、国際機関等に資金が滞留することがないようにすることが重要となる。

そこで、任意拠出金213件から一つの拠出金等において複数の国際機関等に拠出されているなどのため分類が困難な2件を除いた211件のうち、会計報告が提出されている191件(事業ごとに区分経理された会計報告のうち一部の事業に係る会計報告が提出されていないものを含む。)について、区分経理された事業単位ごとに、11府省庁に直近に提出された会計報告をみたところ、298事業のうち195事業において繰越額が生じていた。

そして、この195事業について直近の会計期間終了時点での当該年度の支出額に対する繰越額の倍率をみたところ、表19のとおり、126事業は2.0未満である一方、全体の35%を占める69事業は2.0を超えるか又は繰越額があるのに支出額がないかのいずれかとなっている。

表19 繰越額が生じていた任意拠出金の支出額に対する繰越額の倍率の状況

(単位:事業)
倍率 1.0未満 1.0以上
2.0未満
2.0以上
4.0未満
4.0以上
6.0未満
6.0以上
8.0未満
8.0以上
10.0未満
10.0
以上
支出なし
事業数 84 42 22 12 4 2 16 13 195

そこで、上記69事業の倍率の推移を直近3会計期間分についてみたところ、3会計期間継続して倍率が2.0を超えるか又は繰越額があるのに支出額がないかのいずれかとなっているものが24事業見受けられた。

さらに、この24事業への直近3会計期間の間の我が国の拠出状況をみると、拠出されていなかったものは4事業、減少傾向となっていたものは15事業、ほぼ同額が拠出されていたものは3事業、増加傾向となっていたものは2事業となっている。

所管府省庁は、任意拠出金の拠出に当たり、緊急支援等を行うなどの場合に備えて必要な額を保有しておく任意拠出金には留意しつつ、特に支出額に対する繰越額の倍率が継続的に大きくなっている拠出金等について、拠出金等の支出額や繰越額等を適時適切に把握し、これに応じて拠出等する必要があると認められる。

また、会計報告が提出されていない拠出金等について、拠出金等の支出額や繰越額等を把握することができない状況となっており、会計報告の提出を受けてこれらを把握する必要があると認められる。

上記の3会計期間継続して支出額に対する繰越額の倍率が2.0を超えるものについて、事例を示すと次のとおりである。

<事例3>

総務省は、情報通信技術及び知見を移転することなどを目的として、ASEANに設置された日ASEAN情報通信技術基金に対して、イヤーマーク拠出金として平成21年度から毎年度拠出しており、25年度までに計8640万円を拠出している。

上記のとおり、同省は毎年度拠出をしているが、ASEANから提出された同基金の直近3会計期間の会計報告における繰越額の状況をみると、2011年(平成23年)の支出額9万余米ドルに対して約3.0倍の29万余米ドル、2012年(平成24年)の支出額1万余米ドルに対して約41.6倍の57万余米ドル、2013年(平成25年)の支出額9万余米ドルに対して約8.1倍の78万余米ドルとなっている。

また、表19の直近の会計期間において支出がなかった13事業のうち、拠出開始年度であったことなどから支出がなかったものを除いた8事業について、提出された会計報告を遡って支出がなかった期間をみると、直近の1会計期間で支出がなかったものは6事業、直近の前会計期間から2会計期間連続で支出がなかったものは2事業となっている。

所管府省庁は、複数の会計期間にわたって支出のない拠出金等については、長期化することのないよう、事業の進捗状況や今後の事業計画について国際機関等と協議等を行う必要があると認められる。

ウ 拠出金等の返納の状況

拠出金等において事業が終了して残余金が生ずるなどした場合、国際機関等に対し、残余金等のうち我が国拠出等の割合に応じた額(以下「要返納額」という。)の返納等を速やかに求め、その返納手続等が速やかに実行されることが重要である。

そこで、検査の対象とした拠出金等計273件における要返納額の返納状況をみたところ、会計実地検査時点において、拠出金等に剰余金が生じたり、事業が終了して残余金が生じたりなどしたため、拠出金等17件から31回計119億2387万余円が返納されており、このうち事業終了によるものが28回と大部分を占めている。

そして、この事業終了により返納が行われた28回について、事業終了から返納までに要した期間をみたところ、表20のとおり、12回が1年以内(全体の42%)となっているが、3年超となっているものも見受けられた。

表20 要返納額の事業終了から返納までに要した期間の状況

(単位:回)
要返納額の事業終了から
返納までに要した期間
1年以内 1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
返納回数 12 11 4 1 28

事業終了から返納までの期間が3年を超えていた1回についてみると、事業終了後、拠出金の精算に時間を要したため、国際機関等から要返納額の報告を受けるまでに3年以上が経過していて、これにより返納まで長期間を要したものであった。

また、表15のとおり、20年度以前の拠出金10件のうち、事業終了から3年以上経過しているが、残余金の返納手続中で、返納が完了していないものも1件見受けられた。

所管府省庁は、要返納額の返納等を速やかに求め、その返納手続等が速やかに実行されることが必要であるから、事業終了後、要返納額の返納が完了していないものについては、国際機関等に対して適時適切に照会や働きかけを行い、それらの状況等を的確に把握するよう、より一層努める必要があると認められる。

(3) 拠出金等に係る情報開示の状況

前記のとおり、外務省は、関係府省庁と連携して、15年以降、拠出金等報告書を作成し、同省のホームページ等で公表している。

拠出金等報告書の作成に当たり、同省は記載要領を定めており、関係府省庁はそれに従って拠出金等報告書の基となる資料を作成した上で同省に提出し、同省はそれらを取りまとめるなどして拠出金等報告書を作成している。

拠出金等報告書による拠出金等に係る情報の公表状況を、26年4月公表の平成25年版拠出金等報告書において確認したところ、11府省庁が23年度又は24年度に拠出等した拠出金等を対象に、義務的拠出金については最近1か年(23年度又は24年度)の拠出実績等、任意拠出金又は出資金については、拠出等先の国際機関等の活動目的や財政状況等、当該任意拠出金又は出資金の目的・用途・意義、最近3か年(21年度から23年度まで又は22年度から24年度まで)の拠出等実績、成果に対する我が国の評価等が公表されている。

しかし、前記のとおり、任意拠出金及び出資金の中には、近年拠出等を行っていなくても国際機関等において事業が継続して実施されるなどしているものがあるが、検査対象とした拠出金等のうち23年度以降に拠出等されていない40件の任意拠出金及び出資金に係る情報を含めて上記に係る情報は公表されていない。また、任意拠出金は、前記のとおり、事業ごとに国際機関等において他の事業目的の資金等と区分して経理されているが、拠出先の国際機関等の財政状況は公表されているものの、当該任意拠出金の財政状況に係る情報は個別に公表されておらず、その財政状況が分からないものとなっている。

国際機関等への拠出金等について、より一層透明性の向上を図るために、外務省は関係府省庁と連携して、過年度に拠出等した任意拠出金及び出資金のうち現在も存続しているものはその現状について、また、任意拠出金についてはその財政状況についてできる限りの情報開示を行えるよう、拠出金等報告書の記載要領を整備するなどする必要があると認められる。

(4) 拠出・出資予算とDAC基礎資料等

前記のとおり、各府省庁等は、DAC報告の基礎となるODA事業の支出額、案件概要等を記載したDAC基礎資料を外務省に報告するなどしており、同省がこれらを取りまとめるなどして、我が国の援助実績としてDACに報告している。

DAC報告は、DAC加盟国の国際貢献の度合いを測る指標となるものであり、各府省庁は、DAC基礎資料等の作成に当たり、作成の対象となる事業に遺漏等がないよう留意する必要がある。

そこで、拠出・出資予算による多国間援助について、DAC基礎資料等への2012年(平成24年)の計上状況を確認したところ、ODAに該当する拠出金等として拠出・出資予算に計上された拠出金等であることの確認が十分に行われていなかったり、DAC基礎資料作成に係る担当者への連絡が徹底されていなかったりなどしていたことから、DAC基礎資料等に計上することができるのに計上されていなかった事態が、表21のとおり、3省において8件見受けられた。

表21 DAC基礎資料等に計上されていなかった拠出金等(2012年(平成24年))

(単位:千円)
府省庁名 国際機関等名 拠出金等名 支出額
外務省 持続可能な開発委員会 持続可能な開発委員会拠出金 28,938
国際連合環境計画 北西太平洋地域海行動計画富山地域
調整部運営費拠出金
13,350
UNEP国際環境技術センター・国
際機関の主催する会議の被災地にお
ける開催拠出金
15,817
アジア工科大学 アジア工科大学拠出金 12,442
国際連合大学 私費留学生育英資金貸与事業拠出金 28,616
経済産業省 世界知的所有権機関 世界知的所有権機関拠出金(工業所 有権) 263,727
世界知的所有権機関事務局分担金 22,582
国土交通省 東南アジア諸国連合貿易
投資観光促進センター
東南アジア諸国連合貿易投資観光促
進センター拠出金
85,271
計 8件 470,744

このような事態は、我が国の国際貢献の度合いが正しく評価されないことにつながることから、DAC基礎資料等に記載される支出額の正確性、ひいてはDAC報告の内容の正確性について、より一層の確保を図る必要がある。

DAC基礎資料の作成に当たり、拠出金等がDAC基礎資料に計上されていなかった事例を示すと次のとおりである。

<事例4>

観光庁は、日本とASEAN構成国との緊密な協力を通じて、貿易や投資を加速させ、経済上の連携を強化し、観光客の数の増加や人的交流の拡大等の活動を行っている東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターの活動を支援するために、同センターに対して、義務的拠出金を外務省及び経済産業省とともに拠出している。そして、平成24年度の同庁の拠出額は8527万余円となっている。

しかし、国土交通本省から同庁に対して外務省からの集計依頼文書が通知されていなかったことなどから、全額がDAC基礎資料への計上の対象から除外されていた。