(平成25年度決算検査報告2か所参照 1h25-0144 2h25-0841)
外務省及び独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、国際社会の平和と発展に貢献することなどを目的として、開発途上地域の政府等に対する無償資金協力等の政府開発援助を実施している。しかし、一般プロジェクト無償資金協力において、しゅん工前に発生した不具合の原因究明が十分でなく、しゅん工直後から同様の不具合が新たに発生していたり、草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」という。)において、整備した施設が使用されていなかったりして援助の効果が十分に発現していない事態及び草の根無償において、計画変更された事業が進捗せず援助の効果が全く発現していない事態が見受けられた。
したがって、施設整備を伴う一般プロジェクト無償資金協力については、機構において、今後、事業の完了前に不具合が発生した場合は、建設コンサルタントに対してその原因を適切に究明するよう働きかけを行って、その報告内容を十分に確認する要がある。また、草の根無償については、外務省において、事業実施機関に対して、整備した施設の使用に関して事業効果の早期発現に向けた働きかけを行い、今後、宿泊施設を伴う職業訓練施設を建設する事業を実施するに当たっては、施設が計画どおりに使用されているかを随時確認し、計画どおりに使用されていない場合は事業の目的が達成されるよう適時適切な働きかけを行ったり、建設場所を変更するなどして当初想定していた条件が変更になり事業実施機関が自己負担で施設の整備を行うなどの場合はこれによる事業費の増加等が及ぼす事業への影響を十分に検討したり、井戸を掘削する事業を実施するに当たっては、事業実施機関が井戸の掘削前に行う地下水源調査の結果を十分に確認し、当初の計画を変更する場合は事業費の増加等を調査するなどした上で事業が長期化しないよう事業実施機関に十分に働きかけを行ったりする要がある。ついては、援助の効果が十分に発現するよう、外務大臣及び独立行政法人国際協力機構理事長に対して平成26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、外務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、外務省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 一般プロジェクト無償資金協力を含む機構の実施する施設整備を伴う無償資金協力について、機構は、27年6月に通知を発して、事業の完了前に不具合が発生した場合には、建設コンサルタントに対してその原因を適切に究明するよう働きかけを行って、その報告内容を十分に確認することなどについて機構内部に周知した。
イ 草の根無償について、外務省は、事業実施機関等に対して整備した施設における事業効果の早期発現に向けた働きかけを行った結果、施設の使用状況が改善されるなどしていた。また、外務省は、27年5月に在外公館に通知を発して、宿泊施設を伴う職業訓練施設を建設する事業を実施するに当たっては、施設が計画どおりに使用されているかを随時確認し、計画どおりに使用されていない場合は事業の目的が達成されるよう事業実施機関に適時適切な働きかけを行ったり、建設場所を変更するなどして当初想定していた条件が変更になり事業実施機関が自己負担で施設の整備を行うなどの場合は当該事業費の増加等が及ぼす事業への影響を十分に検討したり、井戸を掘削する事業を実施するに当たっては、事業実施前に行う審査時に地下水源調査の結果を十分に確認し、当初の計画を変更する場合は事業費の増加等について調査するなどした上で当該変更により事業が長期化しないよう事業実施機関に十分に働きかけを行ったりすることについて周知した。