財務大臣が衆議院、参議院、内閣、内閣府、各省、最高裁判所及び会計検査院(以下「各省各庁」という。)の長から送付された報告に基づき作成する「国有財産増減及び現在額総計算書」(以下「総計算書」という。)における「(何年度何々の)報告洩」(以下「報告漏れ」という。)及び「(何々の)誤謬訂正」(以下「誤びゅう訂正」という。また、以下、「報告漏れ」及び「誤びゅう訂正」を合わせて「報告漏れ等」という。)による増減額は毎年度多額に上っており、報告漏れ等は、総計算書の正確性を損なうものである。財務省は、平成13年に各省各庁に発した「国有財産増減及び現在額報告書の作成等について」(以下「13年通達」という。)に基づき、1件1000万円以上の報告漏れ等が発生した場合は、理由、今後の防止策等(以下、これらを「報告事項」という。)を記載した報告書(以下「発生報告書」という。)を理財局長宛てに速やかに提出させることとしている。しかし、発生原因に応じて適切な発生防止策を講ずることにより発生を抑制できる内的要因による報告漏れ等の額が多額に上っていたり、報告漏れ等の発生防止に資するために徴している発生報告書の提出が速やかかつ適切に行われていなかったり、財務省においてこれらを防止するための取組が十分に行われていなかったり、明白な誤記、誤算等の整理の誤りではないが誤びゅう訂正として処理されているものなど報告漏れ等に係る取扱いが明確となっていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、財務省において、報告漏れ等の発生原因ごとに効果的な発生防止策を改めて検討して各省各庁に対してそれらを周知するなどして国有財産台帳等の誤りの発生を防止するために適切な措置を徹底するよう求めたり、各省各庁に対して速やかかつ適切に発生報告書の提出を行うよう周知徹底を図るとともに国有財産総合情報管理システムを活用するなどして各省各庁による発生報告書の提出の失念、遅延等がないか確認したり、各省各庁で発生した報告漏れ等の状況を適時適切に把握するために、発生報告書について必要な報告事項、添付資料等を検討して書式等を定めたり、報告漏れ等に係る取扱いが明確になっていないものについてはその適切な取扱いを検討し「国有財産台帳等取扱要領について」(以下「取扱要領」という。)等に定めて各省各庁に周知徹底したりするよう、財務大臣に対して26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、財務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、財務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 27年3月に事務連絡を発し、各省各庁に対して発生原因に応じた効果的な発生防止策を記載した手順書を配布するなどした。
イ 各省各庁に対する説明会等において、速やかかつ適切に発生報告書の提出を行うよう周知徹底を図るとともに、前記のシステムから出力される報告漏れ等のリストを活用して発生報告書の提出漏れを確認することとした。
ウ 27年3月に13年通達を改正して、発生報告書の報告事項を見直し、書式及び添付資料を新たに定めた。
エ 27年3月に取扱要領を改正するなどして、報告漏れ等に係る取扱いが明確となっていないものについて、取扱いの明確化を図り、各省各庁に対して周知徹底した。