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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 文部科学省|
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  • 補助金

(6)学校施設環境改善交付金等が過大に交付されていたもの[4道県](32)-(35)


4件 不当と認める国庫補助金 128,338,000円

学校施設環境改善交付金(平成22年度以前は安全・安心な学校づくり交付金。以下「施設交付金」という。)は、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(昭和33年法律第81号)等に基づき、地方公共団体が作成する公立の義務教育諸学校等の施設の整備に関する施設整備計画によって実施される施設整備事業に要する経費に充てるために、国が地方公共団体に対して交付するものである。

施設交付金の交付額は、学校施設環境改善交付金交付要綱(平成23年文部科学大臣裁定)等によれば、当該地方公共団体の施設整備計画に記載された事業のうち、算定の対象となる事業(以下「交付対象事業」という。)ごとに、文部科学大臣が定める方法により算出した配分基礎額に交付対象事業の種別に応じて同大臣が定める割合(以下「算定割合」という。)を乗じて得た額の合計額と、交付対象事業に要する経費の額(以下「交付対象工事費」という。)に算定割合を乗じて得た額の合計額のうち、いずれか少ない額を基礎として算定することとされている。このうち、配分基礎額については、配分基礎額を算定する際の基礎となる面積(以下「配分基礎面積」という。)を算定して、これに交付対象事業の種別に応じて定められた単価を乗ずるなどの方法により算定することとされている。

同要綱等によれば、交付対象事業のうち、学校水泳プール(屋内)新改築事業については、交付対象となる施設は年間を通じて利用できる屋内温水プールであって一般に開放するように配慮されていることとされており、学校屋外運動場照明施設新改築事業については、被照明面積に交付対象となる上限が設けられていて、これを超える面積を有する照明施設に係る交付対象工事費の算定に当たっては、当該超過面積に相当する工事費を除外することとされている。また、地震補強工事等を行う補強事業については、配分基礎面積は補強を要する建物の面積とすることとされており、空調設置工事等を行う大規模改造(質的整備)事業については、通常の算定割合は3分の1とすることとされているが、沖縄県については、特例として、普通教室に空調施設を整備する場合にあっては2分の1とすることなどとされている。

また、総務省所管の「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)」(以下「地域交付金」という。)は、「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)制度要綱」(平成25年府地活第125号、総行応第50号等)等に基づき、地域経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的として、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月閣議決定)の迅速かつ円滑な実施ができるよう、地方公共団体が作成した「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)実施計画」に基づき実施する事業に要する費用のうち、地方公共団体が負担する経費に対して、国が交付するものである。そして、施設交付金の交付を受けて実施される事業は、地域交付金の交付対象にすることができることとなっている。

本院が、18道府県及び177市町村、計195地方公共団体において会計実地検査を行ったところ、4道県の4市において、整備した屋内温水プールが年間を通じて利用できるものとなっていなかったり、整備した照明施設の被照明面積が交付対象となる上限を超えているのに、当該超過面積に相当する工事費を交付対象工事費から除外していなかったり、地震補強工事を実施していない建物の面積を配分基礎面積に含めていたり、普通教室以外の教室等に空調施設を整備していて算定割合の特例を適用できないのに、誤って特例の2分の1を適用していたりなどしていたため、施設交付金計128,338,000円、地域交付金2,750,000円、合計131,088,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4市において施設交付金及び地域交付金の交付要件、交付額の算定方法等についての理解が十分でなかったこと、4道県において4市から提出された交付申請書、実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

札幌市は、平成22、23両年度に桑園小学校学校水泳プール(屋内)新改築事業、北九条小学校学校水泳プール(屋内)新改築事業等30事業を実施し、文部科学省から施設交付金計2,196,246,000円の交付を受けていた。

しかし、同市が上記の事業で整備した桑園小学校及び北九条小学校の学校水泳プールは、夏季の3か月間程度の外気温等を基に同期間にのみ利用するものとして設計されており、プール室や更衣室の室温を適温に保つために必要な暖房装置が設置されていないなどしていて、年間を通じて利用できるものとなっていなかった。そして、実際にも夏季以外は利用されておらず、また、一度も一般に開放されていなかった。このため、両小学校の学校水泳プールは、上記事業に係る施設交付金の交付対象とはならないものであった。

したがって、両小学校の学校水泳プール(屋内)新改築事業に係る経費を除いて適正な施設交付金の交付額を算定すると計2,076,613,000円となり、計119,633,000円が過大に交付されていた。

<事例2>

岐阜県郡上市は、平成24、25両年度に八幡中学校学校屋外運動場照明施設新改築事業を実施し、文部科学省から施設交付金計17,202,000円の交付を受けていた。また、総務省から地域交付金407,264,000円の交付を受けて、上記の事業に要した経費として19,586,000円を充当していた。

しかし、同市が上記の事業で整備した照明施設は、野球グラウンドの面積9,470m2を被照明面積として設計及び施工されていて、被照明面積が交付対象となる上限6,000m2を超えているのに、超過面積3,470m2に相当する工事費を交付対象工事費から除外していなかった。

したがって、当該超過面積に相当する工事費を除外して、適正な施設交付金の交付額を算定すると計13,145,000円となり、また、これにより適正な地域交付金の交付額を算定すると16,836,000円となることから、施設交付金計4,057,000円、地域交付金2,750,000円、合計6,807,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
交付金の種類 年度 交付金の交付額 不当と認める交付金の交付額 摘要
  千円 千円
(32) 北海道 札幌市 施設交付金(学校水泳プール(屋内)新改築事業) 22、23 2,196,246 119,633 整備した屋内温水プールが年間を通じて利用できるものとなっておらず交付対象とならないもの
(33) 岐阜県 郡上市 施設交付金(学校屋外運動場照明施設新改築事業)、地域交付金 24、25 36,788 6,807 交付対象となる上限を超える被照明面積に相当する工事費を交付対象工事費から除外していなかったもの
(34) 熊本県 熊本市 施設交付金(補強事業等) 23 458,343 2,365 地震補強工事を実施していない建物の面積を含めて配分基礎面積を算定するなどしていたもの
(35) 沖縄県 南城市 施設交付金(大規模改造(質的整備)事業) 22 103,753 2,283 普通教室以外の教室等に空調施設を整備していたのに誤って算定割合の特例を適用していたもの
(32)—(35)の計 2,775,544 128,338  

(金額を合計する際には、総務省所管の「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)」に係る金額(総務省の項「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)で行った河川整備事業において護床ブロック工の施工が設計と相違していたなどのもの」に掲記)を控除している。)