文部科学省は、学校情報通信技術環境整備事業(以下「補助事業」という。)を実施しており、公立の小学校、中学校、高等学校等に電子黒板等の情報通信技術を備えた機器(以下「ICT機器」という。)を整備する都道府県、政令指定都市及び市町村(特別区及び組合を含む。以下、これらを合わせて「事業主体」という。)に対して学校情報通信技術環境整備事業費補助金を交付している。また、電子黒板を活用した教育に関する調査研究(以下「調査事業」という。)やICT機器等に関する実証研究等を行う「学びのイノベーション事業」(以下「実証事業」という。)をそれぞれ県市町等に委託して実施している。しかし、補助事業において小学校等に整備した電子黒板について電子黒板特有の機能の活用率や児童生徒の活用が低調となっていたり、調査事業において収集した授業実践例が目的に沿って活用されていなかったり、調査事業の受託者による電子黒板の活用及び普及促進が十分でなかったり、実証事業において作成した事例集等が活用されていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、文部科学省において、補助事業において電子黒板を整備した事業主体に対して電子黒板特有の機能を活用することによる効果や児童生徒の情報活用能力の育成に資することを周知したり、研修の実施、電子黒板の活用計画の策定等を促したり、調査事業において収集した授業実践例の活用を検討したり、調査事業の受託者に対して電子黒板の活用及び普及促進を図るよう促したり、実証事業において作成した事例集等を有効に活用することについて都道府県等に対して周知することにより、ICT機器の教育への活用及び普及促進を図ったりするよう、文部科学大臣に対して平成26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 26年12月に都道府県等に対して通知を発したり、27年1月に都道府県等の担当者を対象とした会議を開催したりして、補助事業において電子黒板を整備した事業主体に対して電子黒板特有の機能を活用することによる効果や児童生徒の情報活用能力の育成に資することを周知したり、研修の実施、電子黒板の活用計画の策定等を促したりした。
イ 27年3月に調査事業において収集した授業実践例を含めた指導資料を新たに作成し、同省のホームページに掲載するなどして周知するとともに、アの通知により、調査事業の受託者において電子黒板の活用及び普及促進が図られるよう促すことを都道府県等に対して周知した。
ウ 都道府県等に対して、アの通知及び会議により、実証事業において作成した事例集等を有効に活用することについて周知することにより、ICT機器の教育への活用及び普及促進を図った。