1件 不当と認める国庫補助金 5,908,460円
生活保護費等負担金(保護施設事務費負担金に係る分。以下「負担金」という。)(生活保護費等負担金の概要については、「生活扶助費等負担金等が過大に交付されていたもの」参照)は、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下「事業主体」という。)が、身体上又は精神上著しい障害があるため日常生活を営むことが困難な被保護者等について、社会福祉法人等が設置する救護施設等の保護施設(以下「保護施設」という。)に入所を委託するなどした場合に、これに伴い事業主体が支弁した保護施設の事務費(以下「施設事務費」という。)の一部(4分の3)を国が負担するものである。
施設事務費の月額は、施設事務費支弁基準額(以下「基準額」という。)に各月初日の入所実人員を乗ずるなどして算定することとなっている。
この基準額は、入所者1人当たりの月額単価であり、保護施設ごとに保護施設を管轄する都道府県知事又は政令指定都市若しくは中核市の市長(以下「都道府県知事等」という。)が、保護施設の所在する地域区分、取扱定員ごとに定められた一般事務費単価に看護師加算、指導員加算等の所定の単価を加算して設定することとなっている。そして、事業主体の長が保護施設に入所を委託するなどした場合、事業主体は当該保護施設を管轄する都道府県知事等が設定した基準額に基づき施設事務費を支弁することになる。
上記の加算のうち、看護師の増員が必要と認定される場合に算定される看護師加算は、「生活保護法による保護施設事務費及び委託事務費の取扱いについて」(昭和63年社施第85号)に定める職員配置基準による職員数が充足され、かつ、各月初日時点において、加算配置数として規定された看護師が配置されていることなどの要件を全て満たす場合に加算されることとなっている。
本院が、23都道府県及び20市において会計実地検査を行ったところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (基準額を設定した者) |
補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(239) | 東京都、秋田県 | 秋田市 | 16事業主体 | 23、24 | 515,169 | 386,376 | 7,877 | 5,908 | 加算の要件を満たしていなかったものなど |
秋田市は、管轄する1救護施設について、前記の職員配置基準で定める2名に加算配置数1名を加えた3名以上の看護師が配置されているなどの看護師加算の要件を満たしているとして、一般事務費単価に看護師加算等の単価を加算して当該救護施設に係る基準額(平成23年4月148,340円、同年5月から24年3月まで145,530円、同年4月149,730円、同年5月及び6月146,930円、同年7月から10月まで146,390円、同年11月から25年3月まで146,840円)を設定していた。
そして、16事業主体(注)は、上記の秋田市が設定した基準額に基づき、施設事務費として23、24両年度に計515,169,324円を支弁し、これに係る負担金計386,376,981円の交付を受けていた。
しかし、実際には、当該救護施設は、23年4月から24年10月までの間は看護師を2名しか配置していなかったことから、前記の看護師加算の要件を満たしていないのに、秋田市は加算の要件の理解が十分でなかったことから、前記のとおり、当該加算の単価を加算するなどして基準額を設定していた。
したがって、適正な基準額(23年4月144,760円、同年5月から24年3月まで141,950円、同年4月147,410円、同年5月及び6月144,580円、同年7月から10月まで144,050円、同年11月から25年3月まで148,090円)により施設事務費を算定すると23、24両年度の施設事務費は計507,291,374円となり、支弁された施設事務費との差額7,877,950円が過大に支弁されていた。そして、適正な施設事務費に基づき負担金を算定すると計380,468,521円となり、交付額との差額5,908,460円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、当該救護施設において制度に対する理解が十分でなかったことにもよるが、秋田市において制度に対する理解が十分でなかったため、基準額の設定に当たり施設の実態確認及び審査が十分でなかったことなどによると認められる。