6件 不当と認める国庫補助金 39,308,941円
障害者医療費国庫負担金(以下「負担金」という。)は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(平成17年法律第123号。平成25年3月31日以前は障害者自立支援法。以下「法」という。)に基づき、障害者及び障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として、居住地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)又は都道府県が、都道府県知事等の指定する医療機関から自立した日常生活等を営むために必要な医療(以下「自立支援医療」という。)を受けた障害者及び障害児に対して、自立支援医療に要した費用(以下「自立支援医療費」という。)を支給した場合に、その支給に要する費用の100分の50を国が負担するものである。
また、医療保険の高額療養費制度は、費用が著しく高額な治療を著しく長期間にわたって継続しなければならない疾病として、厚生労働大臣が定めた人工透析療法を受ける慢性腎不全等(以下「特定疾病」という。)に係る療養を受けた場合の自己負担の限度額を、被保険者の負担軽減を図るために、特例的に1万円(標準報酬月額等が所定額以上の被保険者で70歳未満の者については2万円)とし、これを超える額全額を保険者が負担する制度である(以下、高額療養費制度のうち特定疾病の患者に対するこの負担軽減制度を「医療保険の特定疾病制度」という。)。
特定疾病のうち、人工透析療法を受ける慢性腎不全の患者(以下「人工透析患者」という。)は、市町村長の支給認定を受けると自立支援医療費の支給認定障害者になるとともに、保険者の認定を受けると医療保険の特定疾病制度の対象者にもなる(以下、自立支援医療及び医療保険の特定疾病制度の両方の認定を受けた人工透析患者を「特定疾病併用者」という。)。そして、特定疾病併用者の自立支援医療費の支給に当たっては、法に基づき、医療保険により同等の給付を受けることが可能な部分については、自立支援医療費の支給の対象とならないこととなっている。
本院が、18道府県の449市町村において会計実地検査を行ったところ、5道県の6市において、特定疾病併用者の自立支援医療費の算定に当たり、誤って、医療保険の特定疾病制度の給付対象とすべき額を計上するなどしていたため、負担金計39,308,941円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、6市において制度の理解が十分でなく自立支援医療費の審査が十分でなかったため適正な実績報告を行っていなかったこと、道県において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
宮崎県宮崎市は、特定疾病併用者の自立支援医療費の算定に当たり、誤って、医療保険の特定疾病制度の給付対象とすべき額を自立支援医療費として計上していたため、平成23年度10,562,231円、24年度8,400,346円、25年度7,124,732円、計26,087,309円過大に算出されていた。
この結果、国庫負担対象事業費が同額過大に算定されており、これに係る負担金計13,043,655円が過大に交付されていた。
前記の事態を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(273) | 北海道 | 釧路市 | 23、24 | 998,928 | 499,464 | 13,948 | 6,974 | 対象外経費を計上していたもの |
(274) | 同 | 帯広市 | 23、24 | 716,263 | 358,131 | 10,327 | 5,163 | 対象外経費を計上していたものなど |
(275) | 栃木県 | 栃木市 | 22、23 | 327,278 | 163,639 | 8,285 | 4,142 | 対象外経費を計上していたもの |
(276) | 島根県 | 松江市 | 23、24 | 291,466 | 145,733 | 15,585 | 7,792 | 同 |
(277) | 長崎県 | 対馬市 | 23 | 43,390 | 21,695 | 4,384 | 2,192 | 同 |
(278) | 宮崎県 | 宮崎市 | 23〜25 | 1,988,443 | 994,221 | 26,087 | 13,043 | 同 |
(273)—(278)の計 | 4,365,771 | 2,182,885 | 78,617 | 39,308 |