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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 厚生労働省|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(4)自立支援医療と医療保険の特定疾病制度の併用者に係る障害者医療費国庫負担金の算定について


平成25年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

厚生労働省は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号。平成25年4月1日以降は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づき、事業主体である市町村(特別区を含む。)が、都道府県知事等の指定する病院等(以下「指定医療機関」という。)から、自立した日常生活等を営むために必要な医療を受けた障害者及び障害児に対して、当該医療に要した費用(以下「自立支援医療費」という。)を支給した場合に、障害者医療費国庫負担金(以下「負担金」という。)を交付している。自立支援医療費の支給に当たっては、医療保険で同等の給付を受けることが可能な部分はその支給対象とならないこととなっている。そして、人工透析療法を受ける慢性腎不全患者のうち、市町村長(特別区にあっては区長)から自立支援医療費の支給認定を受けるとともに、厚生労働大臣が定めた特定の疾病の患者に対する負担軽減制度である医療保険の特定疾病制度による認定を保険者から受けた者(以下「特定疾病併用者」という。)については、医療保険の特定疾病制度による自己負担限度額を超える全額を医療保険が負担することから、自立支援医療費の支給額が通常よりも低額となる。このため、特定疾病併用者に係る自立支援医療費については、医療保険の特定疾病制度の給付対象額が含まれていないことなどを確認し、適正な給付を図ることとされている。しかし、医療保険の特定疾病制度の給付対象額が含まれるなどしていて自立支援医療費が過大に支給されている事態や、事業主体において特定疾病併用者を把握しておらず特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額の審査を全く実施していないため、その額が適正か検証できない状況となっている事態が見受けられた。

したがって、厚生労働省において、事業主体に対して、特定疾病併用者に該当する者の情報の把握及び特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額が適正かの検証を行わせ、過大に支給されていた額について過誤調整を行わせるなどした上で、過大支給額に係る負担金について返還等の措置を講じさせるとともに、都道府県を通じて特定疾病併用者に係る自立支援医療費の審査の必要性、方法等を周知して事業主体が適正に審査を行うよう徹底を図り、特定疾病併用者の情報を的確に把握し、その情報を有効に活用して審査を実施できる体制を整備するよう指導したり、また、都道府県が、事業主体に対して、研修会の開催等により特定疾病併用者に係る自立支援医療費の審査の必要性、方法等を周知して適切に助言等の援助を行ったり、指定医療機関に対して、適正な請求が行われるよう自立支援医療費の支給に係る制度等について明確に周知して指導したりするよう、厚生労働大臣に対して26年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、26年11月に都道府県等に対して通知を発するなどして、特定疾病併用者に係る自立支援医療費が過大に支給されていた事業主体に対して、過大支給額について過誤調整を行わせるなどした上で、当該額に係る負担金について返還等の措置を行わせたり、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額が適正か検証できない状況となっていた事業主体に対して、特定疾病併用者に該当する者の情報の把握及び特定疾病併用者に係る自立支援医療費が適正かの検証を行わせ、過大支給額について過誤調整を行わせるなどした上で、当該額に係る負担金について返還等の措置を行わせたりするとともに、27年4月に都道府県等に対して通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 事業主体に対して、都道府県を通じて、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の審査の必要性、方法等を示して、適正に審査を行うよう周知徹底を図った。特に、特定疾病併用者の情報を把握していない事業主体において、特定疾病併用者の情報を的確に把握し、その情報を有効に活用して審査を実施する体制を整備するよう指導した。

イ 都道府県に対して、研修会の開催等により、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の審査の必要性、方法等について事業主体に周知徹底を図るよう技術的助言等を行ったり、自立支援医療費の支給に係る制度等について指定医療機関に周知徹底を図るよう指導したりした。