(平成25年度決算検査報告2か所参照 03431 08542)
独立行政法人福祉医療機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人福祉医療機構法(平成14年法律第166号)に基づき、政府出資金を原資として労災年金担保貸付事業(以下「労災貸付事業」という。)を行っている。労災貸付事業は、平成22年12月に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」において廃止することとされ、これを受けて、厚生労働省は、23年3月に、「年金担保貸付制度の廃止に向けた今後の対応方針」を策定し、その後、機構が貸付限度額の引下げ等の措置を講じたことなどから貸付残高は年々減少している。しかし、厚生労働省において事業規模に見合った資産規模を十分に検証していなかったことから、機構において貸付金の原資として使用される見込みのない多額の政府出資金に係る資産を保有している事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、労災貸付事業の実績及び今後の事業規模を考慮するなどして真に必要となる政府出資金の額を機構と検討し、必要額を超えて保有されていると認められる政府出資金については、機構において独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)に基づき、不要財産として速やかに国庫に納付することにより、政府出資金が適切な規模となるよう、厚生労働大臣及び独立行政法人福祉医療機構理事長に対して26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、厚生労働本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
厚生労働省は、労災貸付事業の実績及び今後の事業規模を考慮するなどして真に必要となる政府出資金の額を機構と検討し、その結果、機構は、必要額を超えて保有されていると認められた政府出資金14億3359万余円について、独立行政法人通則法第46条の2の規定に基づき、27年2月に不要財産の国庫納付に係る厚生労働大臣の認可を受けて、同年3月に国庫に納付した。