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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(6)もうかる漁業創設支援事業の実施について


平成25年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

水産庁は、新しい操業体制等による収益性の向上を実証し、その結果の普及や啓発を図るなどする「もうかる漁業創設支援事業」を実施しており、平成19、20両年度に社団法人大日本水産会(25年4月1日以降は一般社団法人大日本水産会。以下「水産会」という。)に対して、21年度及び23年度から25年度までの間に特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構(以下「機構」といい、機構と水産会を合わせて「機構等」という。)に対して、それぞれ補助金を交付している。そして、機構等は、補助金により基金を造成し、機構等が設置した漁業に関する有識者等で構成される漁業改革推進集中プロジェクト中央協議会(以下「中央協議会」という。)により、収益性の向上が確保されると認められた改革計画(以下「認定改革計画」という。)に基づき実証事業を実施する水産業協同組合等(以下「事業実施者」という。)に対して、同基金から本件事業に必要な経費を助成金として交付している。しかし、事業実施者が認定改革計画に基づく取組の一部を実施していない事態、多数の本件事業において、漁船等の減価償却費計上前の利益が認定改革計画における目標を下回っていたり、赤字になっていたりしている事態及び実証事業として実施した取組の効果の検証が十分でないなどの事態が見受けられた。

したがって、水産庁において、事業実施者が本件事業の目的等について十分に理解して認定改革計画に基づく取組を実施するよう、機構を通じて事業実施者に周知等するための方策を検討したり、厳しい経営環境の下でも操業が継続できる経営体の効率的かつ効果的な育成を図るために、収益性の向上が十分に期待できる事業とするための方策を検討したり、事業実施者が、事業終了後に、実施した取組の結果と認定改革計画とを比較して検証することや新船建造の見通しなどを検証することができるようにするための方策を検討したりするよう、水産庁長官に対して26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、水産庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、水産庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 26年10月に、機構に対して通知を発して、事業実施者が事業の目的等を理解して認定改革計画に基づく取組を実施するように、機構から事業実施者等に周知等するよう指示した。

イ 27年2月に、本件事業に係る要綱等を改正して、収益性の向上が期待できるよう、中央協議会が本件事業の実施に係る指導、助言を行うことなどを定めるとともに、助成内容を変更した。

ウ イの要綱等の改正において、中央協議会において事業実施者が実施した取組の結果等を検証することなどを定め、事業終了後に、実施した取組の結果と認定改革計画とを比較して検証したり、新船建造の見通しなどを検証したりできるようにした。