農林水産省は、農山漁村の6次産業化に向けた取組を推進することなどを目的として、農山漁村6次産業化対策事業等を実施する事業主体に国庫補助金を交付しており、事業主体は、目標年度における成果目標や費用対効果分析により算出した投資効率等を記載した事業実施計画を地方農政局等へ提出し、地方農政局等は提出された事業実施計画の内容を審査することとなっている。しかし、平成20年度から23年度までの同事業等の実施に当たり、目標年度における成果目標等の達成率が低調になっているなどしていて事業効果が十分に発現していなかったり、費用対効果分析が適切に実施されていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、農林水産省において、事業実施計画の審査のための手引等(以下「手引」という。)を作成するとともに実施要領等において投資効率の算定過程が分かる根拠資料等を事業実施計画に添付することを明記したり、また、事業実施計画に記載する成果目標の達成に必要な新商品等の販路の開拓等について、6次産業化を推進する支援機関(以下「サポート機関」という。)等との個別相談を活用するなどして事前の取組を十分に行うとともに事前の取組状況の詳細を事業実施計画に記載するよう事業主体に周知したり、手引により事前の取組状況についての審査を適切に行ったり、事業主体が費用対効果分析を適切に実施できるよう指導等を行うとともにその審査及び確認を適切に行ったり、事業効果が十分発現していないと認められる事業主体に対して目標年度に達していない場合であってもサポート機関等を活用し速やかに改善計画を作成させるなどしてより効果的な指導等を行ったりすることについて地方農政局等に対して指示したり、さらに、25年度以降の6次産業化ネットワーク活動整備交付金事業において交付金を交付している都道府県等に対して通知を発出するなどして地方農政局等に対して指示した内容を周知したりするよう、農林水産大臣に対して26年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 26年10月に、手引を作成したり、実施要領等を改正して費用対効果分析における投資効率の算定過程が分かる根拠資料等を事業実施計画に添付することを明記したりした。
イ 同月に、地方農政局等に対して通知を発出して、サポート機関等との個別相談を活用するなどして成果目標を達成するために行った事前の取組内容が分かる資料を事業実施計画に添付するよう事業主体に周知したり、手引により新商品等の販路の開拓等の事前の取組状況についての審査を行ったり、事業主体が費用対効果分析を適切に実施できるよう指導等を行うとともにその審査及び確認を適切に行ったり、事業効果が十分発現していないと認められる事業主体に対して目標年度に達していない場合であってもサポート機関等を活用し速やかに改善計画を作成させるなどしてより効果的な指導等を行ったりするよう指示した。
ウ 同月に、6次産業化ネットワーク活動整備交付金事業において交付金が交付されている都道府県等に対して地方農政局等を通じて通知を発出して、イの内容を周知した。