(平成25年度決算検査報告2か所参照 01701 05262))
株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)は、国から出資を受けて、中小企業者への無担保資金の円滑な供給及び資金調達手段の多様化等を図るために、財務大臣及び経済産業大臣を主務大臣として、中小企業事業において、証券化支援保証業務及び売掛金債権証券化等支援業務(以下、これらを合わせて「両業務」という。)を実施している。しかし、両業務の実績については低調又は皆無な状況が継続しており、中小企業者への無担保資金の円滑な供給等を図る両業務の目的が十分に達成されず、ひいては政府出資金が有効に活用されていない事態が見受けられた。
したがって、財務省及び中小企業庁において、公庫と連携して、両業務の現在までの実績、制度創設時からの環境の変化、今後の展望等を踏まえて、両業務の必要性を十分に検討し、両業務が今後も必要であると判断する場合には、制度の枠組み等について検討するなどした上で、中小企業庁において、これらを踏まえた結果、政府出資金に余剰が生ずることとなる場合には、当該政府出資金の取扱いについて具体的な方策を検討するよう、財務大臣及び経済産業大臣に対して平成26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、財務本省及び中小企業庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、財務省及び中小企業庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 財務省及び中小企業庁は、27年6月に、公庫に設置された「新たな中小企業貸付債権証券化に向けた検討会」において、中小企業貸付債権証券化市場を取り巻く現在の環境は厳しいものの、中小企業者への無担保資金の円滑な供給等の必要性は高いことから、同市場のインフラを維持・整備することが重要であり、そのためには、公庫が両業務を継続的に実施していくことが証券化に取り組む関係者のノウハウを維持する観点からも重要であるとの報告が取りまとめられたことを踏まえて、公庫と連携して、両業務の必要性を検討した。その結果、両業務が今後も必要であると判断して、業務の実績を上げるために証券化の対象となる債権の範囲を拡大する新たな取組を行うこととした。
イ 中小企業庁は、アの検討会の報告を踏まえて、27年6月に同時点での経済状況を基に今後の計画を作成し、政府出資金については余剰が生じないとした。なお、同計画については、3年経過後を目途に見直すこととしている。