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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2)船舶の航行安全に係る業務費について


平成25年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置

国土交通省は、港湾整備事業の一環として、浚渫(しゅんせつ)工事等の港湾工事を毎年度多数実施しており、港湾施設の工事施工区域近辺で工事用船舶と一般船舶(以下「船舶」という。)が輻輳(ふくそう)することとなる工事の実施に当たって、工事に先立って、船舶の航行安全対策を策定している。そして、航行安全対策が必要とされた港湾及び航路における船舶の航行の安全管理等を行うために、船舶航行安全管理業務(以下「管理業務」という。)を請負契約により実施している。そして、管理業務費の積算は、同省港湾局制定の「港湾請負工事積算基準」等(以下「積算基準等」という。)に基づき直接人件費及び直接経費を合算するなどして行われている。直接人件費の積算については、積算基準等において定義されている管理業務に従事する技術者ごとの業務内容に対応した職種を適用して、その職種ごとに定められた労務単価に作業従事人日数を乗ずるなどして行われており、直接経費の積算については、必要経費を積み上げて算出(以下、必要経費を積み上げて算出する直接経費を「積上経費」という。)するなどして行われている。しかし、管理業務費の積算に当たり、管理業務を実施し統括する技術者及びその者の指示の下に工事請負業者等との連絡や資料の作成等の業務を担当する技術者のそれぞれに適用する職種について、業務内容を十分に考慮することなく決定して直接人件費を算出していたり、ファックスその他の通信手段で航行安全対策の対象となる工事情報等を港湾関係者に随時伝達できると考えられるのに、必要性を十分に検討することなく、見積りに基づき工事情報を周知するためのリーフレット等の印刷、配布の作業等に関する経費を積上経費として計上して、当該作業等を実施させていたりしている事態が見受けられた。

したがって、国土交通省において、管理業務費の積算に当たり、職種の適用方法や積上経費として計上する作業等について明確な基準を定めるなどして、直接人件費の算出において適用する職種を業務の内容に即したものとし、また、管理業務において必要性を十分に検討した上で作業等を実施することにより、管理業務費の低減を図るよう、国土交通大臣に対して平成26年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、管理業務費の積算について、職種の適用方法や積上経費として計上する作業等についての明確な基準を定めるなどした「航行安全対策業務積算基準」を作成し、27年3月に各地方整備局等に対して事務連絡を発して、同年4月以降に締結する契約から適用することとし、また、管理業務において必要性を十分に検討した上で作業等を実施するよう各地方整備局等の担当者に周知して、管理業務費の低減を図る処置を講じていた。